

2026年7月30日
子どもが何かへ挑戦している時、大人は応援したくなります。
「もう少しだよ」
「せっかく始めたんだから」
「最後までやってみよう」
「みんなもできているよ」
励ますつもりでかけた言葉が、子どもの背中を押すこともあります。
しかし、その一方で、子どもが感じている怖さや疲れを見えにくくしてしまうこともあります。
高い場所が怖い。
足元が不安。
疲れてきた。
今日は気持ちが乗らない。
途中で考えが変わった。
そんな時、子どもが、
「やめる」
「降りる」
「少し休む」
「別のことをする」
と決めてもよいのです。
自分で始める力と同じように、
自分でやめる力も大切な成長です。
最後まで続ける経験には価値があります。
簡単に諦めず、工夫し、やり切ることで自信が生まれることもあります。
しかし、どんな時でも最後まで続けることが正解とは限りません。
怖さが強くなっている。
体が疲れている。
足元が不安定になっている。
集中力が切れている。
そのような状態で続ければ、怪我や事故につながることがあります。
大切なのは、始めたことを必ず終わらせることではありません。
今の自分の状態を見て、
「まだできる」
「少し休もう」
「今日はやめよう」
と判断できることです。
やめることは、逃げることではなく、自分を守る選択になる場合があります。
森では、子どもが少し怖さを感じる場面があります。
丸太を渡る。
坂を下りる。
木の根を越える。
暗い森の奥を見る。
初めての遊びへ参加する。
その怖さは、悪いものではありません。
体と心が、
「本当に大丈夫かな」
「もう少し確かめたい」
「今は難しいかもしれない」
と知らせていることがあります。
もちろん、少しの不安を越えて挑戦する経験も大切です。
しかし、大人が怖さを否定してはいけません。
「怖くないよ」
「そんなことで怖がらないの」
「みんなできているよ」
と言われると、子どもは自分の感覚を信じられなくなります。
まずは、
「怖いと感じたんだね」
と受け止めます。
そのうえで、続けるか、休むか、やめるかを一緒に考えます。
「やめる」と「諦める」は、いつも同じではありません。
一度やめて休む。
難しい部分だけ手伝ってもらう。
高さを低くする。
距離を短くする。
別の方法で試す。
今日は見学して、次回挑戦する。
こうした選択もあります。
子どもが、
「もう無理」
と言った時に、すぐ励まして続けさせるのではなく、何が難しいのかを聞きます。
「どこが怖い?」
「少し休む?」
「低いところからやってみる?」
「今日はここまでにする?」
選択肢を示しながら、最後は子どもの気持ちを尊重します。
やめる力には、方法を変える力や、もう一度選び直す力も含まれています。
友達が続けていると、自分だけやめるのは恥ずかしいと感じることがあります。
みんなが渡っている。
みんなが登っている。
みんなが遊びへ参加している。
その中で、
「自分はやめる」
と言うのは勇気のいることです。
大人が、
「みんなできているよ」
と比べれば、子どもは自分の感覚より周りへ合わせるようになります。
しかし、体力も怖さも、その日の気分も人によって違います。
友達が続けていても、自分は休んでよい。
友達が挑戦していても、自分は見ていてよい。
周囲と違う選択をしても受け止めてもらえる安心が、自分を守る判断を育てます。
子どもが途中でやめると、大人は残念に感じることがあります。
せっかく準備したのに。
もう少しでできそうなのに。
本人のために続けさせたい。
しかし、大人の期待が強すぎると、子どもは自分の感覚より、大人をがっかりさせないことを優先します。
そのため大人は、始める前から伝えておくことが大切です。
「途中で休んでもいいよ」
「やめても大丈夫だよ」
「またやりたくなったら挑戦できるよ」
そう言われれば、子どもは安心して挑戦できます。
無理になった時にも、自分から伝えやすくなります。
やめられる安心があるからこそ、挑戦できることもあります。
自己決定を大切にするといっても、すべてを子どもの判断へ任せるわけではありません。
転落の危険。
倒木や枯れ枝。
急な斜面。
刃物や火。
蜂や危険な生き物。
増水した水辺。
重大な事故につながる可能性がある時は、大人がすぐ止めます。
「本人がやりたいと言ったから」では済みません。
安全を確保することは、大人の責任です。
そのうえで、安全な範囲にある挑戦については、子どもが続けるかやめるかを選べる余白を残します。
危険を止めることと、子どもの選択を尊重することは両立できます。
子どもが自分で決める力には、始める力だけでなく、やめる力も含まれています。
怖い。
疲れた。
今日は難しい。
少し休みたい。
別の方法にしたい。
そう感じた時に、自分の状態へ気づき、言葉にし、選択できることは大切です。
大人は、最後まで続けさせることだけを成長だと考えない。
安全を見ながら、子どもの気持ちを聞く。
休む。
降りる。
選び直す。
また今度挑戦する。
そのすべてを認めます。
子どもは、森で「やめる」を自分で決めてもいい。
自分を守る判断も、自分で生きていくための大切な力です。
「挑戦したら、最後まで続けることが大切だと思っていました。
でも、怖い、疲れた、今日はやめると自分で決めることも、自分を守る大切な力なんですね。
少し休む。
方法を変える。
また今度挑戦する。
やめることは終わりではなく、次の選択へつながることもあるんだと思いました。」
※フォレストカレッジホームページ
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