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NPO法人森林活用研究会こぴす

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子どもは、森で“自分で決める力”を育てる|小さな選択が自信につながる

2026年7月23日

こぴすの森だより 第3号

子どもは、森で“自分で決める力”を育てる

 


はじめに

子どものためを思うと、大人は多くのことを決めてあげたくなります。

今日はここで遊びなさい。
この道を通りなさい。
この枝を使いなさい。
この子と一緒にやりなさい。
もう終わりにしなさい。

大人には経験があります。

危険を避けられる方法。
失敗しにくい方法。
時間のかからない方法。
きれいに完成する方法。

それを教えることは、決して悪いことではありません。

しかし、大人がすべてを決めてしまうと、子どもが自分で選ぶ機会は少なくなります。

森には、決められた遊び方がありません。

どこへ行くか。
何を見つけるか。
どの枝を使うか。
何を作るか。
誰と一緒に取り組むか。
続けるか、やめるか。

子どもは、たくさんの小さな選択をします。

そして、その選択の積み重ねが、
自分で考えて決める力
を育てていきます。

今日は、
「子どもは、森で“自分で決める力”を育てる」
という話を書きます。


森には、決められた遊び方がない

遊具のある公園では、遊び方がある程度決まっています。

滑り台は滑る。
ブランコはこぐ。
鉄棒にはぶら下がる。

もちろん、そこにも工夫や発見はあります。

しかし、森にあるのは、名前のついた遊具ではありません。

枝。
石。
落ち葉。
木の実。
土。
坂道。
切り株。
木の根。

それを何に使うかは、子どもが決めます。

枝を杖にする。
剣にする。
家の柱にする。
地面へ絵を描く道具にする。
何にも使わず、形を眺める。

同じ枝でも、子どもによって使い方は違います。

森は「こう遊びなさい」と答えを示しません。

だから子どもは、自分で考えます。

森は、子どもが遊び方から自分で決められる場所です。

 


小さな選択がたくさんある

森の中では、子どもが選ぶ場面がたくさんあります。

どちらの道を歩くか。
何を拾うか。
どこで立ち止まるか。
何を作るか。
誰に声をかけるか。
助けを求めるか。
もう一度試すか。
今日はやめるか。

一つひとつは、とても小さな選択です。

大人から見れば、どちらでもよいことに見えるかもしれません。

しかし、子どもにとっては、

「自分はどうしたいのか」

を考える経験です。

日常生活では、大人が時間や予定を決めることが多くあります。

だからこそ、森の中で自分が選べる時間には価値があります。

自分で決める力は、大きな決断ではなく、小さな選択の積み重ねから育ちます。

 


「どっちでもいい」の中に迷いがある

子どもに、

「どっちにする?」

と尋ねると、

「どっちでもいい」

と答えることがあります。

大人は、考える気がないように感じるかもしれません。

しかし、その言葉の中には、いろいろな気持ちがあります。

間違えたくない。
友達と違うものを選ぶのが不安。
大人が望む答えを探している。
本当に決められない。
まだ考えている途中。

そんな時、すぐに大人が決めてしまうのではなく、少し待ちます。

「ゆっくり見てから決めていいよ」
「途中で変えてもいいよ」
「どちらを選んでも大丈夫だよ」

そう言われると、子どもは安心して考えられます。

自分で決めるためには、
間違えても大丈夫だと思える環境
が必要です。

 


選んだ理由を、うまく説明できなくてもいい

子どもが一本の枝を選んだ時、大人は理由を聞きたくなります。

「どうしてそれにしたの?」
「何を作るの?」
「その枝で大丈夫?」

しかし、子ども自身も理由を言葉にできないことがあります。

形が気に入った。
持った感じがよかった。
何となく使えそうだと思った。
友達とは違うものを選びたかった。

はっきり説明できなくても、自分で選んだことには意味があります。

選択は、いつも論理だけで行われるものではありません。

見た感じ。
触った感じ。
過去の経験。
その時の気持ち。

いろいろな感覚を使って決めています。

理由を説明できなくても、自分で選んだ経験は子どもの中に残ります。

 


自分で決めると、行動が変わる

大人から言われて始めたことと、自分で選んで始めたことでは、取り組み方が変わることがあります。

「これを作りなさい」と言われた時には、受け身になるかもしれません。

でも、

「これを作りたい」
「この枝を使いたい」
「ここでやりたい」

と自分で決めた時には、動きが変わります。

どうすればできるかを考える。
必要なものを探す。
失敗してもやり直す。
友達へ協力を頼む。

自分で決めたことだから、簡単には手放さない。

そこに主体性が生まれます。

子どもは、自分で決めた時に、活動の主人公になります。

 


自分で決めたことが、必ず成功するとは限らない

自分で選んだ方法が、うまくいくとは限りません。

細い枝を選んだら折れた。
坂道を選んだら歩きにくかった。
大きなものを作ろうとして完成しなかった。
一人でやろうとして運べなかった。

そんなこともあります。

しかし、それも大切な経験です。

自分で決めた。
やってみた。
うまくいかなかった。
次はどうするか考えた。

この流れが学びになります。

失敗しない選択だけを大人が用意してしまえば、結果は整うかもしれません。

しかし、子どもは自分の選択を振り返る機会を失います。

自分で決める力は、選択を成功させる力だけではありません。選んだ結果から学ぶ力でもあります。

 


選び直してもいい

一度決めたら、最後まで変えてはいけない。

そう考えると、子どもは選ぶことが怖くなります。

でも森では、選び直すことができます。

この枝では難しかったから、別の枝を使う。
一人では運べないから、友達に頼む。
作る場所を変える。
予定していた形を小さくする。
途中で別の遊びに変える。

それは、最初の選択が間違いだったということだけではありません。

やってみたから、分かったのです。

状況を見て考え直し、新しい選択をする。

これは大切な判断力です。

自分で決める力には、決め直す力も含まれています。

 


「やめる」と決めることも大切

自分で決めるというと、挑戦を続けることだけを考えがちです。

しかし、

「今日はやめる」
「怖いから降りる」
「これは自分には難しい」
「少し休む」

と決めることも大切です。

無理をして続けることだけが勇気ではありません。

自分の怖さや疲れに気づき、やめる判断をすることも、自分を守る力です。

大人が、

「せっかく始めたのだから最後までやりなさい」

と強く求めれば、子どもは自分の感覚より大人の期待を優先するようになるかもしれません。

安全に関わる場面では、大人が止める必要があります。

しかし、子ども自身が「やめたい」と言った時、その判断も大切にしたいものです。

やめることを自分で決められる子は、自分の状態を見られる子です。

 


助けを求めるかどうかも、自分で選ぶ

森では、一人ではできないことがあります。

大きな枝を運ぶ。
重い丸太を動かす。
小屋の一部を支える。
分からないことを確認する。

子どもは考えます。

もう少し一人でやってみるか。
友達に頼むか。
大人へ聞くか。
別の方法へ変えるか。

助けを求めることも、立派な選択です。

何でも一人でできることが、自立ではありません。

自分にできることと、難しいことを判断する。

必要な時に誰かへ伝える。

これも自分で決める力です。

 


友達と違う選択をしてもいい

集団の中では、友達と同じことを選ぶと安心します。

みんなが右へ行くから自分も右へ行く。
みんなが基地を作るから自分も参加する。
友達が選んだ枝と似た枝を選ぶ。

それも自然なことです。

しかし時には、

一人で木の実を集めたい。
静かに虫を観察したい。
別の場所で作りたい。
今は参加したくない。

と思う子もいます。

安全や活動全体の約束を守ることは必要です。

その上で、友達と違う選択をしてもよいという安心があれば、子どもは自分の気持ちを大切にできます。

周りと違っていても、自分で選んでよいと思えることが主体性を育てます。

 


大人の期待を答えにしない

大人は、無意識のうちに正解を表情へ出すことがあります。

子どもが選ぼうとしている時に、

「そっちなの?」
「こっちの方がいいんじゃない?」
「本当にそれでいいの?」

と言う。

すると子どもは、自分の考えより大人の表情を見るようになります。

大人が喜びそうな方。
褒めてもらえそうな方。
失敗しなさそうな方。

それを選ぶようになります。

もちろん、危険な選択は止めなければなりません。

しかし、安全な範囲であれば、子どもの答えを受け止めることが大切です。

「そう決めたんだね」
「やってみよう」
「途中で変えてもいいよ」

この言葉が、子どもの選択を支えます。

 


大人は選択肢を奪わず、安全な枠を作る

子どもにすべてを自由に決めさせればよいわけではありません。

森には危険があります。

急斜面。
枯れ枝。
倒木。
蜂。
マダニ。
刃物。
火。
道路や水辺。

命に関わる危険については、大人が判断しなければなりません。

大人の役割は、危険を放置することではありません。

安全に選べる範囲を作ることです。

この場所の中なら選べる。
この材料なら使える。
この高さまでなら挑戦できる。
困った時には声をかけられる。

その枠の中で、子どもに選択を委ねます。

安全な枠を大人が作り、その中の答えは子どもに任せる。

これが森での見守りに必要です。

 


すぐに褒めすぎないこともある

子どもが選んだ時、大人は褒めたくなります。

「すごいね」
「正解だね」
「それが一番いいよ」

もちろん、認めることは大切です。

しかし、すぐに正解と評価すると、子どもは次から大人に褒められる選択を探すようになることがあります。

そんな時は、

「それを選んだんだね」
「どんなふうになるか楽しみだね」
「やってみてどうだった?」

と返す方法もあります。

選択そのものを大人が採点するのではなく、子どもの考えと経験へ目を向ける。

すると子どもは、評価されるためではなく、自分で確かめるために行動できます。

 


小さな決定が、自信を育てる

自信は、何でも上手にできることだけから生まれるわけではありません。

自分で決めた。
自分で始めた。
うまくいかなければ考え直した。
必要な時には助けを求めた。
最後は自分なりに納得できた。

その経験が、

「自分で考えても大丈夫」
「自分で選んでも大丈夫」

という気持ちにつながります。

大きな決断を急に求められても、子どもは迷います。

でも、森の中で小さな選択を積み重ねていれば、少しずつ自分の考えを信じられるようになります。

自分で決めた経験が、自分を信じる力になります。

 


自由と責任を一緒に学ぶ

自分で決めることには、結果もついてきます。

使った枝は元の場所へ戻す。
作ったものをどうするか考える。
友達と決めた約束を守る。
危険なことはしない。
森にごみを残さない。

自分で選べるからこそ、その後のことも考えます。

これは、失敗を責めるという意味ではありません。

自分の行動が周りへどんな影響を与えるかを見ることです。

自由に選ぶ。
結果を見る。
必要なら直す。

その経験が、責任感を育てます。

 


森を傷つけない選択も学ぶ

森の中で自由に遊ぶといっても、何をしてもよいわけではありません。

生きている木の枝をむやみに折らない。
小さな生き物を傷つけない。
巣やすみかを壊さない。
持ち帰ってよいものか確認する。
ごみを残さない。

子どもには、

「禁止だからやめる」

だけでなく、

「森のためにどうするか」

を考えてほしいと思います。

落ちている枝を使う。
観察した生き物は元の場所へ戻す。
必要以上に採らない。
使った場所を片付ける。

森との関わり方も、自分で考えて選びます。

自分で決める力は、自分のためだけでなく、自然を大切にする判断にもつながります。

 


こぴすの森で育てたい主体性

こぴすの森で育てたいのは、何でも大人の言う通りにできる子だけではありません。

自分は何をしたいのかを考えられる子。
自分で選べる子。
違ったら選び直せる子。
困った時に助けを求められる子。
友達の選択も尊重できる子。
自然への影響を考えられる子。

そんな主体性を育てたいと思っています。

主体性とは、好き勝手に行動することではありません。

自分で考え、周りを見て、責任を持って選ぶことです。

森には、その練習ができる小さな場面がたくさんあります。

 


彩ちゃんが子どもの選択を見守るなら

彩ちゃんが森で子どもを見守るなら、きっと安全を大切にすると思います。

危険な場所を確認する。
周囲の木を見る。
子どもの様子を見る。
必要な時には止める。

その上で、子どもへ聞きます。

「何をしてみたい?」
「どれを使いたい?」
「一人でやる? 一緒にやる?」
「続ける? 少し休む?」

答えを先に教えるのではなく、子ども自身の考えを待つ。

そして子どもが決めたら、

「そう決めたんだね」

と受け止める。

彩ちゃんには、安全を守りながら、
子どもが自分で決められる余白を残せる人
になってほしいと思います。

 


おわりに

森には、子どもが自分で決める場面がたくさんあります。

どこで遊ぶか。
何を使うか。
何を作るか。
誰と取り組むか。
助けを求めるか。
続けるか。
やめるか。
選び直すか。

一つひとつは小さな選択です。

しかし、その積み重ねが、

自分で考える力。
行動する力。
結果から学ぶ力。
自分を守る力。
周りを尊重する力。

を育てます。

大人に必要なのは、すべてを決めてあげることではありません。

安全な範囲を作り、子どもが選べる余白を残すことです。

子どもは、森で“自分で決める力”を育てる。

自分で選んだ経験が、やがて自分を信じる力へつながっていきます。

 


彩ちゃんのひとこと

「森には、子どもが自分で選べることがたくさんあるんですね。

どの枝を使うか。
どこで遊ぶか。
誰かに助けを求めるか。
続けるか、やめるか。

自分で決めて、やってみて、違ったら選び直す。

その小さな経験が、自分を信じる力につながるんだと思いました。

大人は安全を守りながら、子どもが選べる余白を残すことが大切なんですね。」

 


note更新のお知らせ(7月22日更新)

彩ちゃんの安全物語 45話

『その思い込み、確認を飛ばしていないか?』

noteで読む

 

 

 

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