

2026年8月26日
草が一面に伸びています。
刈払機を持つと、どうしても目の前の草へ意識が向きます。
どこから刈るか。
どの高さで刈るか。
どこまで進めるか。
もちろん、それも大切です。
でも刈払機の安全で、本当に見てほしいのは草だけではありません。
その草の下に何があるのか。
そして、その向こうに何があるのか。
そこまで見て、初めて作業を始めます。
伸びた草の中は、外から見ただけでは分かりません。
石。
切株。
落ち枝。
空き缶。
金属片。
ひもや針金。
地面のくぼみ。
昨日まで見えていたものでも、草が伸びれば隠れてしまいます。
刈刃が硬い物へ接触すれば、機械や刃へ大きな負担がかかります。
そして、当たった物やその破片が飛散する危険もあります。
だから、
「草があるから刈る」
ではなく、
「この草の中には何が隠れているだろう」
と考えることから始めます。
初めて刈る場所なら、作業前にできる範囲で確認します。
歩ける場所なら、一度見て回る。
大きな石はないか。
低い切株はないか。
捨てられた物はないか。
杭やフェンス、構造物はないか。
草が深くて地面が見えにくい時ほど慎重になります。
この時間、刃は一枚の草も刈っていません。
でも決して無駄な時間ではありません。
刈る前に見るところから、草刈り作業は始まっています。
実際に作業を始めると、刈刃の近くへ視線が集中しがちです。
でも、本当に見たいのは少し先です。
これから進む場所に何があるか。
地面の傾きは変わらないか。
木や杭はないか。
人が近づいてきていないか。
車や建物など、飛散物の影響を受けるものはないか。
危険なものへ近づいてから気づくのではなく、近づく前に見つける。
そのためには、視線を刃先だけに固定しないことが大切です。
草の中から石や切株を見つけた時、
「うまく避ければ大丈夫」
と思って、刈払機を器用に振ってかわそうとすることがあります。
でも、そこで無理に刃先だけを操作すると、姿勢まで乱れることがあります。
必要なら、一度止まる。
位置を確認する。
安全に取り除ける物なら、機械を停止してから取り除く。
動かせない物なら、そこへ刃を近づけない方法を考える。
大切なのは、
「見つけたら、まず判断する」
ことです。
上手に避けることより、危険へ近づかないことの方が先です。
特に忘れてはいけないのが、人です。
草丈が高い。
地形に高低差がある。
木や藪で見通しが悪い。
そんな場所では、作業者から相手が見えないことがあります。
逆に、相手からも刈払機が見えているとは限りません。
「さっきはいなかったから」
ではなく、作業中も繰り返し周囲を確認します。
刈払機は、自分だけ安全ならよい道具ではありません。
周囲にいる人まで含めて安全をつくる道具です。
毎年刈っている場所でも同じです。
去年なかった物が、今年はあるかもしれません。
昨日なかった枝が、今日は落ちているかもしれません。
石が動いている。
誰かが物を置いている。
草が伸びて、今まで見えていた物が隠れている。
第530弾では、
「森では、昨日と同じ道も同じではない」
という話をしました。
草刈りも同じです。
知っている場所だから確認しないのではなく、
知っている場所だからこそ、変わったところを見る。
その習慣が安全につながります。
刈払機が上手な人を見ると、刃の動きに目が行きます。
一定の高さで刈る。
動きが滑らか。
疲れにくい姿勢で作業する。
でも、もう一つ見てほしいところがあります。
それは視線です。
刃だけを見ていない。
少し先を見る。
地面を見る。
周囲を見る。
必要なら止まる。
上手さとは、刈る技術だけではありません。
何を見るかを判断できることも技術です。
刈払機を使う時、目の前には草があります。
でも、安全のために見るのは草だけではありません。
その下。
その先。
その周囲。
石はないか。
切株はないか。
異物はないか。
人はいないか。
次の一歩は安全か。
刈払機は、草ではなく「その向こう」を見て使う。
見えている草を刈るだけなら、機械は動かせます。
でも、見えないものまで想像して動ければ、作業はもっと安全になります。
刈る技術と同じくらい、
刈る前に見る技術を身につける。
それが、刈払機を安全に扱うための大切な基本です。
「刈払機を持ったら、つい目の前の草ばかり見てしまいそうです。
でも本当に大切なのは、その下や向こうに何があるかなんですね。
石、切株、枝、そして人。
見えてから避けるのではなく、『何かあるかもしれない』と先に考える。
草刈りって、刈る仕事であると同時に“見る仕事”でもあるんだと思いました。」
※フォレストカレッジホームページ
https://www.young-leaves.com/