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森の仕事人日記

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講師は、「できた瞬間」より次もできるかを見ている

2026年10月6日

森の仕事人日記 第13回

はじめに|林業研修では「一度できた」で終わらない

 

 

林業研修で実技をしていると、

「できた!」

という瞬間があります。

正しい位置に立てた。

順番どおりに操作できた。

前より動きが良くなった。

本人もうれしい。

講師もうれしい。

もちろん、その成功は大切です。

でも講師は、そこで完全に終わりとは考えません。

次にもう一度やった時。

少し条件が変わった時。

誰にも言われず始めた時。

同じようにできるか。

そこを見ています。

一度成功したことと、身についたことは、まだ同じではないからです。

 


林業研修で一度成功した研修生が次の作業でも再現できるか見守るFOREST COLLEGEの彩ちゃん

 


林業研修では「偶然できた」と「身についた」を分けて見る

初めてうまくできた時には、いろいろな要素があります。

講師が直前に声をかけた。

見本を見たばかりだった。

隣の人の動きを参考にできた。

たまたま位置が合った。

それでも成功は成功です。

でも、

「次もできるかな」

ともう一度見てみます。

そこで同じ動きができれば、

自分の中に少しずつ技術が残り始めている

ことが分かります。

だから講師は、一回目の成功だけで判断しません。

 


「できた!」の直後に、もう一度やってみる

一度できたら、

「よし、次へ」

と進みたくなります。

でも、その前にもう一度やってみる。

これだけで見えてくることがあります。

二回目も自然にできた。

途中で少し迷った。

順番を忘れた。

また講師の顔を見た。

同じ課題でも、二回目には違う反応が出ます。

林業研修では、繰り返すことで理解の深さが見えてきます。

一回目は「成功した」。

二回目は「再現できるか」。

見るところが少し違います。

 


林業研修で大切なのは、条件が少し変わってもできること

現場では、毎回まったく同じ条件にはなりません。

立つ位置が少し違う。

材料が違う。

斜面が違う。

道具の置かれ方が違う。

そんな小さな違いがあります。

練習した形が少し変わっただけで動けなくなるなら、まだ「覚えた形」に頼っているのかもしれません。

そこで講師は、

少し位置を変える。

順番だけを聞く。

自分で準備してもらう。

など、少しずつ条件を変えます。

同じ技術を、違う場面でも使えるか。

そこまで行くと、技術は一段深くなります。

 


講師が声をかけない時間にも意味がある

最初は細かく声をかけます。

「次はここ」

「足の位置を見て」

「その前に確認」

でも、いつまでも全部言い続けていたら、

講師がいないとできない

状態になってしまいます。

だから少しずつ、声を減らします。

見守る。

待つ。

本人が次の動きを思い出す。

必要な時だけ声をかける。

林業研修では、教えない時間も教えるために必要です。

自分で判断して動けた時、技術が本人のものへ近づいていきます。

 


失敗した二回目にも意味がある

一回目はできた。

二回目はうまくいかなかった。

そうなると本人は、

「さっきできたのに」

と落ち込むかもしれません。

でも講師から見ると、そこにも大切な情報があります。

どこで迷ったのか。

何を忘れたのか。

何が変わるとできなくなったのか。

それが分かれば、次に練習するところが見えます。

二回目の失敗は、一回目の成功を否定するものではありません。

むしろ、

「まだここが安定していない」

と教えてくれています。

 


林業研修では、速さより再現性を見る

できるようになると、

もっと速く。

もっとスムーズに。

と思いたくなります。

でも最初から速さを求める必要はありません。

ゆっくりでもいい。

確認しながらでもいい。

大切なのは、

同じ手順をもう一度できること。

安全な位置を取る。

確認する。

順番を守る。

その動きが繰り返せる。

速さは、そのあとでも身につけられます。

技術の土台になるのは、速さより再現性です。

 


第12回の「伝わったか」から、第13回の「残ったか」へ

前回の森の仕事人日記 第12回では、

「講師は、質問が出ない時ほど教え方を見直している」

という話を書きました。

説明した。

でも、本当に伝わったのかを見る。

今回の第13回では、さらにその先です。

伝わった。

一度できた。

では、

その技術は本人の中に残ったのか。

次もできるか。

少し条件が変わってもできるか。

講師が声をかけなくてもできるか。

ここまで見て、ようやく「身につき始めた」と言えます。

 


林業研修のゴールは「講師がいなくてもできること」

研修の間は、講師がいます。

困れば聞ける。

間違えば止めてもらえる。

確認してもらえる。

でも現場へ出れば、いつも講師が横にいるわけではありません。

だから林業研修のゴールは、

講師の前で上手にできることだけではありません。

自分で考える。

自分で確認する。

自分で判断する。

そして、安全に作業する。

そのために研修では何度も繰り返します。

一度の成功を、次の成功へつなげていきます。

 


おわりに|林業研修では「次もできる」が技術になる

一度できた。

それはうれしい瞬間です。

でも講師は、その先を見ています。

もう一度できるか。

少し違う条件でもできるか。

声をかけなくてもできるか。

失敗しても、自分で修正できるか。

林業研修では、成功の回数が増えるほど、技術は自分のものになっていきます。

「できた!」

から、

「いつでもできる」

へ。

その間には、何度もの繰り返しがあります。

講師が見ているのは、完璧な一回ではありません。

次もできる、その次もできる。

そこまで続いた時、初めて技術が根を張り始めます。

それが、現場で長く使える技術になるのだと思います。

 


彩ちゃんのひとこと

「一度うまくできたら、私はすぐ『できるようになった!』と思ってしまいそうです。

でも、本当に身についたかは次でもできるかなんですね。

一回成功する。

もう一回やってみる。

少し条件を変えてみる。

『できた』を何度も再現できて、初めて自分の技術になる。

講師が二回目を見ている理由が分かりました。」

 


note更新のお知らせ(9月30日更新)

彩ちゃんの安全物語55話

『その数字、朝に測ったままになっていないか?』

noteで読む

 

 

 

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