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森の仕事人日記

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講師は、「できなかったこと」より「できるようになったこと」を伝えている

2026年10月13日

森の仕事人日記 第14回

はじめに|林業研修では「できるようになったこと」を見つける

 

林業研修では、研修生がうまくできなかったところが目につくことがあります。

手順を間違えた。

立つ位置が違った。

確認を忘れた。

思うように道具を扱えなかった。

講師は、そうしたところに気づかなければなりません。

特に安全に関わる間違いは、そのままにできません。

でも、できなかったところばかりを伝えていたら、研修生はどう感じるでしょうか。

「今日も間違えてしまった」

「自分はなかなか覚えられない」

そう思ってしまうかもしれません。

そこで講師は、もう一つのことを見ています。

前より何ができるようになったのか。

昨日は迷っていたことが、今日は少しできた。

何度も確認していたことを、今日は自分で判断できた。

そんな小さな変化を見つけて、本人へ伝える。

林業研修では、できなかったことを直すだけでなく、できるようになったことを確認するのも大切な指導です。

 


林業研修で研修生ができるようになった作業を具体的に認め、次の練習につなげるFOREST COLLEGEの彩ちゃん

 


林業研修では、できないところほど目につきやすい

実技研修では、講師はたくさんのことを見ています。

安全な位置に立っているか。

道具を正しく扱っているか。

作業の順番を守っているか。

周囲を確認しているか。

どうしても、間違いや危険につながる動作に注意が向きます。

それは講師として必要なことです。

でも、間違いを見つけることばかりに集中すると、できるようになった部分を見落としてしまうことがあります。

最初は手順が分からなかった。

何度も聞き直していた。

でも今日は、自分で次の作業を始められた。

その変化も、見逃してはいけない大切な成長です。

 


「よくできたね」だけでは伝わらないことがある

研修生がうまくできた時、

「よくできました」

と声をかけることがあります。

もちろん、褒められることはうれしいものです。

でも、もう少し具体的に伝えてみます。

「さっきより立つ位置が安定していたね」

「今度は始める前に周囲を確認できたね」

「前回は迷っていた手順を、自分で進められたね」

こう言われると、本人にも分かります。

自分のどこが良くなったのか。

何ができるようになったのか。

次も何を続ければいいのか。

ただ「上手だった」と伝えるより、成長したところを具体的に伝える方が、次の練習につながりやすくなります。

 


林業研修では、昨日の自分と比べてみる

同じ研修に参加していても、覚える速さは人によって違います。

一度見ただけでできる人。

何度も繰り返して覚える人。

頭では理解していても、実際に体を動かすと迷う人。

それぞれ違います。

そこで、隣の人と比べるのではなく、

以前の自分と比べてみる。

先週はできなかったこと。

昨日は時間がかかったこと。

午前中は講師の助けが必要だったこと。

それが、今は少しできるようになった。

その変化を見ます。

林業研修では、全員が同じ速度で上達するとは限りません。

だからこそ、一人ひとりの変化を見ることが大切です。

 


「できたこと」を伝えると、次の課題も見えてくる

できるようになったところを伝えるのは、ただ褒めるためだけではありません。

例えば、

「作業前の確認ができるようになったね」

と伝えたとします。

その次には、

「では、今度は確認の順番も自分で考えてみよう」

と進められます。

一つできるようになったから、次の課題が見えてくる。

成長したところを認めることと、次の目標を示すことは、別々の仕事ではありません。

前へ進むためにつながっています。

「できた」で終わらせず、

「では、次はここまでやってみよう」

と少しずつ積み重ねていく。

そこに実技研修の面白さがあります。

 


林業研修の安全指導では、小さな進歩を見逃さない

林業の実技で大切なのは、速く作業することだけではありません。

むしろ最初のうちは、立ち止まって確認できることの方が重要な場合があります。

作業前に周囲を見た。

危険を感じて作業を止めた。

分からない時に講師へ確認した。

指示を待つだけでなく、自分で安全を考え始めた。

こうした行動も、立派な成長です。

安全に関する判断が自分でできるようになったことは、技術が身についてきた大切な証拠の一つです。

もちろん、危険な動作をした時には、その場で止めて正しく指導する必要があります。

でも、正しい判断ができた時にも、それを具体的に伝える。

危険を指摘することと、安全な行動を認めること。

林業研修では、その両方が大切です。

 


前回の「次もできるか」から、今回の「成長を伝える」へ

森の仕事人日記 第13回では、

「講師は、『できた瞬間』より次もできるかを見ている」

という話を書きました。

一度成功する。

もう一度やってみる。

少し条件が変わっても再現できるか確かめる。

それが技術の定着につながります。

今回の第14回では、さらにその先を考えます。

何度か繰り返す中で、

どこが安定してきたのか。

何が自分でできるようになったのか。

その変化を講師が本人へ伝える。

自分では気づかなかった進歩を、誰かに教えてもらうことで、

「確かに前よりできるようになっている」

と実感できることがあります。

技術を確認することと、成長を伝えること。

どちらも講師の大切な仕事です。

 


講師自身も、伝え方を振り返っている

研修生が成長するのは、本人が練習を重ねているからです。

でも講師も、その過程で学んでいます。

この説明では伝わらなかった。

実演する位置を変えたら理解しやすくなった。

動きを一つずつ分けたらできるようになった。

短い言葉で伝えた方が迷いが少なかった。

研修生の変化を見ることで、講師自身も自分の教え方を振り返れます。

研修生ができるようになったことは、教え方を考え直す材料にもなるのです。

うまく伝わった時も、伝わらなかった時も。

そこから次の指導が少しずつ変わっていきます。

 


林業研修では、小さな成功が次の一歩をつくる

最初はできなかった。

何度も練習した。

少しできるようになった。

でも、本人はまだ自信がないかもしれません。

そんな時、

「前よりここが良くなったよ」

と具体的に伝えられたらどうでしょう。

自分の変化に気づく。

次もやってみようと思う。

今度は自分で確かめてみようと思う。

小さな成功を自分で理解できることは、次の練習に向かう力になります。

大きな成果ばかりを待つ必要はありません。

一つの確認ができた。

一つの手順を覚えた。

一つの判断ができた。

その積み重ねが、やがて現場で使える技術になります。

 


おわりに|林業研修では、成長したところを言葉にする

講師は、間違いを見つけます。

危険な動作を止めます。

できなかったところを直します。

それは、安全に技術を身につけるために必要なことです。

でも、それだけではありません。

昨日よりできるようになったこと。

自分で判断できるようになったこと。

繰り返して安定してきたこと。

そうした変化も見ています。

そして、その成長を本人へ伝えます。

「前はできなかったけれど、今はできるようになったね」

この言葉には、ただ褒めるだけではない意味があります。

これまでの努力を確かめる。

今できることを知る。

次の課題を見つける。

そして、もう一度挑戦する。

講師は、「できなかったこと」より「できるようになったこと」を伝えている。

できないところを見つけて終わるのではなく、できるようになったところから次の成長を考える。

それも、森で人を育てる仕事の大切な技術なのだと思います。

 


彩ちゃんのひとこと

「私は、講師の仕事って、間違えたところを見つけて直すことだと思っていました。

でも、それだけではないんですね。

昨日はできなかったことが、今日はできるようになった。

講師がその変化を見つけて伝えることで、研修生も自分の成長に気づける。

もちろん、危険なことはきちんと直さなければいけません。

でも、良くなったところも伝える。

『できないところを探す目』と『できるようになったところを見つける目』。

講師には、その両方が必要なんですね。」

 

 


note更新のお知らせ(10月7日更新)

彩ちゃんの安全物語56話

『その場所、さっきと同じ暑さだと思っていないか?』

noteで読む

 

 

 

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