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NPO法人森林活用研究会こぴす

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子どもは、森で“失敗していい力”を育てる|こぴすの森だより

2026年7月9日

こぴすの森だより 1号

子どもは、森で“失敗していい力”を育てる

 


はじめに

子どもが何かに挑戦している時、大人はつい手を出したくなります。

危ないからやめなさい。
それでは失敗するよ。
こうすればできるよ。
貸してごらん。
代わりにやってあげる。

もちろん、本当に危険な時には止めなければなりません。

でも、すべての失敗を先回りして取り除いてしまうと、子どもが自分で考える機会も失われます。

森では、思い通りにならないことがたくさんあります。

枝を積んでも崩れる。
木に登ろうとしても届かない。
坂を上ろうとして滑る。
作った秘密基地が傾く。
川に石を置いても、水に流される。

そんな時、子どもは考えます。

どうしたら崩れないだろう。
どこに足を置けばいいだろう。
もう一度やってみよう。
誰かと一緒ならできるかもしれない。

森は、子どもに正解をすぐ教えません。

だからこそ、子どもは自分で試し、自分で失敗し、自分でやり直すことができます。

今日は、
子どもは、森で“失敗していい力”を育てる
という話を書きます。

 


森には、決められた正解がない

学校や家庭では、正しい答えがある場面が多くあります。

決められた時間。
決められた場所。
決められた方法。
正解と不正解。

それは社会生活のために必要です。

しかし、森には一つの正解がありません。

この枝はどこに置くか。
どの木を使うか。
どこから登るか。
どうやって渡るか。
何を作るか。

子どもは、自分で決めることになります。

大人が想像していなかった使い方をすることもあります。

枝を剣にする子。
家の柱にする子。
料理道具にする子。
地面に絵を描く子。
虫を探すための棒にする子。

どれが正解ということではありません。

自分で考え、自分で試す。

森には、その自由があります。

 


うまくいかないから、考える

最初から何でもうまくいけば、考える必要はありません。

枝を置けば必ず固定される。
木に触れれば簡単に登れる。
石を並べれば橋ができる。

そんな環境では、工夫は生まれにくいでしょう。

森では、思った通りにならないことが普通です。

枝の形は一本ずつ違います。
地面は平らではありません。
木の表面は滑ることがあります。
土は乾いている時も、湿っている時もあります。

だから子どもは、試しながら考えます。

太い枝を下に置いてみる。
石で支えてみる。
別の場所から登ってみる。
友達に持ってもらう。
少し小さく作り直す。

これは大人から見れば、小さな遊びかもしれません。

しかし子どもにとっては、

考える力
試す力
修正する力

を育てる経験です。

 


失敗しても、自分が否定されたわけではない

子どもにとって大切なのは、失敗した時に、

「自分はだめだ」

と思わないことです。

作ったものが壊れた。
木から降りてしまった。
途中で怖くなった。
うまくできなかった。

これは、その子自身がだめなのではありません。

ただ、今回の方法がうまくいかなかっただけです。

森は、それを自然に教えてくれます。

枝が折れても、森は怒りません。
積んだものが崩れても、点数は下がりません。
途中でやめても、失格にはなりません。

またやればいい。
別の方法を試せばいい。
今日はやめてもいい。

そう思える経験が、子どもの心を強くします。

失敗しても、自分の価値は変わらない。

この感覚は、成長してからも大切です。

 


「できなかった」で終わらせない

失敗した時、大人がすぐに答えを教えると、その場は早く進みます。

でも、少し待つことで、子ども自身が考え始めます。

「もう一回やる」
「こっちを使ってみる」
「手伝って」
「今日はやめる」

どの答えも、その子が考えた答えです。

大切なのは、必ず成功させることではありません。

やり直すのか。
助けを求めるのか。
方法を変えるのか。
いったん離れるのか。

自分で次を選ぶことです。

森で育つ「失敗していい力」とは、失敗を怖がらないことだけではありません。

失敗した後に、自分で次を選べる力です。

 


大人には「待つ力」が必要

子どもが森で挑戦する時、大人にも必要な力があります。

それは、待つ力です。

転ばないようにすぐ支える。
失敗しないように先に教える。
危なくない道だけを歩かせる。

それも優しさです。

しかし、すべてを大人が整えると、子どもが自分で考える余白がなくなります。

もちろん、命に関わる危険は止めなければなりません。

高すぎる場所。
落下の危険。
刃物や火。
毒のある生き物。
崩れる可能性のある場所。

そこは大人が判断します。

でも、少し汚れること。
小さく転ぶこと。
作ったものが崩れること。
うまくできず悔しがること。

そこまで奪う必要はありません。

安全を見ながら、少し待つ。

これが森で子どもを見守る大人の役割です。

 


森では、助けを求めることも覚える

何でも一人でできることだけが成長ではありません。

森では、一人では難しいことがあります。

大きな枝を運ぶ。
重い石を動かす。
高い場所へ登る。
基地の屋根を支える。

そんな時、子どもは誰かに声をかけます。

「一緒に持って」
「そこを押さえて」
「手伝って」
「どうしたらいい?」

助けを求めることは弱さではありません。

自分だけでは難しいと判断し、相手に伝える力です。

これは、社会に出てからも大切です。

森の遊びの中で、子どもは自然に協力することを覚えていきます。

 


失敗から、仲間との関係が生まれる

一人の秘密基地が崩れた時、別の子が枝を持ってくる。
木に登れない子に、友達が足場を教える。
水路がうまく流れない時、みんなで溝を掘り直す。

失敗は、一人だけの問題ではなく、仲間との関係を生むことがあります。

誰かが困っている。
自分にできることはあるか。
一緒にやればできるか。

森の中では、役割が自然に生まれます。

力のある子。
細かいことに気づく子。
アイデアを出す子。
励ます子。
黙って支える子。

全員が同じでなくていい。

失敗した時に、それぞれの良さが見えてくることがあります。

 


汚れることも、大切な経験

森で遊べば、服が汚れます。

泥がつく。
葉がつく。
手が黒くなる。
靴が濡れる。

大人から見ると、洗濯のことが気になるかもしれません。

でも、子どもにとって汚れは、その日の経験の跡でもあります。

どこで転んだか。
何を作ったか。
どこを歩いたか。
何に夢中になったか。

服が汚れないようにすることばかり考えていると、遊びは小さくなります。

汚れてもいい服で森に入る。
帰ったら洗えばいい。

そのくらいの余白があると、子どもは思いきり動けます。

 


大人が失敗を笑わない

子どもが失敗した時に、周りの大人がどう反応するかは大切です。

「だから言ったでしょう」
「そんなこともできないの」
「また失敗したの」

こう言われると、子どもは挑戦しなくなります。

失敗そのものよりも、失敗した時に笑われることや責められることが怖くなるからです。

森では、

「どうしたかったの?」
「次はどうする?」
「もう一度やる?」
「手伝おうか?」

と声をかけたいものです。

答えを与えすぎず、気持ちを否定せず、次を一緒に考える。

そういう大人が近くにいれば、子どもは安心して挑戦できます。

 


安全と失敗は分けて考える

「失敗していい」と言っても、何でも自由にしていいということではありません。

森には危険があります。

転落。
倒木。
枯れ枝。
蜂。
マダニ。
刃物。
火。
急な斜面。

だから大人は、危険を見ておく必要があります。

その上で、

重大な事故につながる危険は止める。
小さな失敗は経験させる。

この二つを分けて考えることが大切です。

危険を全部なくしてしまえば、森らしい体験が失われます。

反対に、危険を放置すれば、教育ではなく無責任になります。

子どもが挑戦できる範囲を大人が整え、その中では自分で考えさせる。

それが、こぴすの森で大切にしたい見守り方です。

 


こぴすの森で育てたいもの

こぴすの森で育てたいのは、木の名前をたくさん知っている子だけではありません。

虫に詳しい子だけでもありません。
木登りが上手な子だけでもありません。

うまくいかなくても、もう一度試せる子。
困った時に助けを求められる子。
友達の失敗を笑わない子。
違う方法を考えられる子。
今日は無理だと判断できる子。

そんな子どもたちが育ってほしいと思っています。

森は、知識を教える教室であるだけではありません。

自分で考え、自分で選び、失敗から立ち上がる力を育てる教室です。

 


おわりに

子どもは、森でたくさん失敗します。

枝は折れる。
積んだものは崩れる。
泥で滑る。
木に登れない。
作りたいものが作れない。

でも、その失敗が無駄になるわけではありません。

なぜうまくいかなかったのか。
次はどうするのか。
誰かに頼るのか。
方法を変えるのか。
いったんやめるのか。

子どもは、自分で考えます。

そして少しずつ、

失敗しても大丈夫。
またやり直せばいい。

と思えるようになります。

これは、子どもが生きていく上で大切な力です。

森は、何でもうまくできる子を育てる場所ではありません。

うまくいかない時にも、自分で次へ進める子を育てる場所です。

 


彩ちゃんのひとこと

「森では、失敗することも大切な学びなんですね。

枝が崩れたり、木に登れなかったり、思った通りに作れなかったり。

でも、そこで終わりではなくて、もう一度考える。
誰かに助けを求める。
別の方法を試してみる。

失敗しても、自分まで否定しなくていい。

森は、子どもにそう教えてくれる場所なんだと思いました。」

 


note更新のお知らせ(7月8日更新)

彩ちゃんの安全物語 43話

『その合図、全員に伝わっているか?』

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