

2026年5月14日
先週は、NPOこぴすの原点として、
子どもと森、森の幼稚園、バリアフリーの森を見てきました。
森は、子どもを育てる場所です。
でも、それは子どもだけの話ではありません。
大人になっても、人はまだ育ちます。
森に入ると、見る力、待つ力、判断する力、助けを求める力が問われます。
今週は、
森で育つ力は、大人にも必要だ
というテーマで、林業の魅力を見ていきます。
現場で強い人とは、どんな人でしょうか。
力がある人。
経験が長い人。
道具をうまく使える人。
判断が早い人。
怖がらずに動ける人。
たしかに、それらも強さです。
でも、林業の現場で本当に強い人は、それだけではありません。
できないことを、できないと言える人。
分からないことを、分からないと言える人。
必要な時に、手伝ってくださいと言える人。
こういう人は、現場で強いです。
なぜなら、林業では無理をすることが一番危ないからです。
できないことを隠す。
分からないことを分かったふりをする。
怖いのに平気なふりをする。
これは、強さではありません。
現場では、危険に近づく行動です。
大人になると、
「できません」と言いにくくなることがあります。
特に仕事の場ではそうです。
迷惑をかけたくない。
頼りないと思われたくない。
怒られたくない。
恥をかきたくない。
経験者だと思われているから、今さら聞けない。
そう思ってしまう。
でも、林業の現場では、できないことを隠す方が危険です。
チェーンソーの扱いが不安なのに、不安だと言わない。
伐倒方向の判断が曖昧なのに、曖昧なまま作業する。
足場が悪くて怖いのに、無理に進める。
これは危ない。
「できません」と言えることは、自分を守るだけではありません。
周りの人を守ることにもなります。
現場では、できないことを認めることが安全の第一歩です。
技術を学ぶ時、分からないことがあるのは当然です。
初めての道具。
初めての現場。
初めての木。
初めての作業。
分からなくて当たり前です。
問題は、分からないことではありません。
分からないまま進むことです。
分からないままチェーンソーを使う。
分からないまま刈払機を振る。
分からないまま木の傾きを判断する。
分からないままロープを使う。
これは危険です。
現場では、曖昧なまま進むほど怖いものはありません。
分からないなら聞く。
不安なら確認する。
迷ったら止まる。
それができる人は、現場で伸びます。
逆に、分かったふりをする人は、最初は格好がつくかもしれません。
でも、どこかで危なくなります。
分からないと言える人ほど、上達が早いのです。
「手伝ってください」
この一言を言えるかどうか。
これは現場では大きな差になります。
林業は、一人で何でもやる仕事ではありません。
もちろん、一人でできる技術は必要です。
自分で判断する力も必要です。
でも、現場は一人で完結しません。
重いものを動かす。
危険な木を処理する。
足場の悪い場所で作業する。
周囲の安全を確認する。
こういう時は、協力が必要です。
無理に一人でやろうとすると、体も危ない。
判断も狭くなる。
周囲にも危険が及ぶ。
助けを求めることは、甘えではありません。
現場全体を安全に進めるための判断です。
助けを求められる人は、現場を一人で抱え込まない強さを持っています。
現場で強がっている時、人は意外と周りが見えていません。
大丈夫です。
できます。
問題ありません。
このくらいなら平気です。
そう言いながら、本当は焦っていることがあります。
焦っていると、視野が狭くなります。
足元が見えない。
周囲の人の位置が見えない。
木の動きが見えない。
道具の違和感に気づかない。
自分の疲れに気づかない。
これが危ない。
強がることは、一見すると前向きに見えるかもしれません。
でも現場では、強がりが判断を鈍らせることがあります。
本当に強い人は、強がる必要がありません。
できることはできる。
できないことはできない。
分かることは分かる。
分からないことは確認する。
その切り分けができる人が、現場で強いのです。
林業では、動く技術ばかりが目立ちます。
切る。
運ぶ。
払う。
倒す。
組む。
整備する。
でも、本当に大切なのは、動かない判断です。
止まる。
聞く。
頼る。
確認する。
やり直す。
これらは、消極的な行動ではありません。
安全のための積極的な行動です。
危ないと思ったら止まる。
分からなければ聞く。
一人で無理なら頼る。
不安なら確認する。
違うと思ったらやり直す。
これができる人は、事故を遠ざけます。
現場では、止まれる人が強い。
聞ける人が強い。
頼れる人が強い。
できないことを認められる現場にするには、教える側にも責任があります。
「そんなことも分からないのか」
「前にも言っただろう」
「見れば分かるだろう」
こういう言い方をしてしまうと、学ぶ人は聞けなくなります。
聞けない現場は危険です。
分からないことを隠すようになる。
失敗を隠すようになる。
不安を言えなくなる。
そうなると、事故の芽が育ちます。
だから、教える側は、質問しやすい空気を作らなければいけません。
もちろん、甘やかすという意味ではありません。
安全に関わることは厳しく伝える。
やってはいけないことは、はっきり言う。
でも、分からないことを聞いた人を潰してはいけない。
質問できる現場は、安全な現場です。
子どもは森で育つ。
先週は、そんな話をしてきました。
でも、大人も同じです。
大人も、全部一人でできるわけではありません。
教わる。
聞く。
見てもらう。
助けてもらう。
失敗して、もう一度やる。
そうやって育ちます。
大人になると、助けられることを恥ずかしく感じることがあります。
でも、それは違います。
助けられながら育つことは、子どもだけのものではありません。
大人にも必要です。
林業の現場は、大人がもう一度学ぶ場所です。
できない自分を認める。
分からない自分を認める。
助けが必要な自分を認める。
そこから、成長が始まります。
できないことを認める人は、現場で強い。
これは、甘い言葉ではありません。
安全の話です。
分からないまま進まない。
無理なまま続けない。
怖いのに平気なふりをしない。
一人で抱え込まない。
これができる人は、現場で長く育ちます。
林業は、自然相手の仕事です。
木も、地形も、天候も、毎回違います。
だからこそ、分からないことがあるのは当たり前です。
できないことがあるのも当たり前です。
大切なのは、それを認めて、次の判断をすること。
止まる。
聞く。
頼る。
確認する。
それができる人は、現場で強い人です。
本当の強さは、無理を押し通すことではありません。
できないことを認め、安全な判断に変えられることです。
「できません、と言うのは少し勇気がいります。
でも、現場では分かったふりをする方が危ないんですね。
分からない時に聞く。
不安な時に確認する。
無理な時に頼る。
それは弱さではなく、安全のための大事な力なんだと思いました。
私も、強がるより、ちゃんと聞ける人になりたいです。」
※フォレストカレッジホームページ
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