

2026年6月12日
林業は、木を伐る仕事という印象が強いかもしれません。
しかし、森で働く人の一日は、いきなりチェーンソーを動かすところから始まるわけではありません。
朝、天気を見る。
体調を見る。
道具を見る。
防護具を見る。
今日の作業を確認する。
仲間の動きを考える。
森に入る前から、安全は始まっています。
今週は、林業の一日を少しのぞくように、
朝の準備、木を見る時間、チェーンソーの確認、休む判断、無事に帰ること をテーマに取り上げています。
今週は、森で働く人の一日をのぞいてみよう というテーマで書いてきました。
月曜日は、林業の朝は道具を見ることから始まる、という話。
火曜日は、木を伐る前に、まず木を見る、という話。
水曜日は、チェーンソーは使う前の準備で差がつく、という話。
木曜日は、休むことも林業の大事な技術である、という話。
そして金曜日の今日は、林業の一日の最後にある、一番大切なことを考えます。
それは、無事に帰ることです。
林業の現場では、木を伐ることも大切です。
丸太を出すことも大切です。
技術を身につけることも大切です。
仕事を進めることも大切です。
でも、それ以上に大切なことがあります。
今日も怪我をしないで帰る。
仲間も無事に帰る。
家族のもとへ帰る。
明日また仕事ができる体で帰る。
これが一番です。
林業で一番大事な仕事は、今日も無事に帰ることです。
山での作業が終わった時、仕事が終わったように感じます。
チェーンソーを止める。
道具を片付ける。
丸太を確認する。
作業場所を見回す。
車へ戻る。
でも、本当に仕事が終わるのは、無事に帰った時です。
山の中で怪我をしない。
帰り道で気を抜かない。
道具を安全に片付ける。
疲れた体で無理をしない。
家族のもとへ帰る。
そこまで含めて、その日の林業です。
現場では、作業が終わった瞬間に気が緩むことがあります。
「終わった」
「今日は無事だった」
「早く帰ろう」
「片付けはあとでいい」
こういう時も注意が必要です。
事故は、作業中だけに起きるわけではありません。
片付け中。
移動中。
道具を車に積む時。
疲れて足元を見なくなった時。
そういうところにも危険はあります。
仕事は、家に帰って初めて終わります。
無事に帰るための仕事は、夕方に始まるわけではありません。
朝から始まっています。
道具を見る。
防護具を見る。
体調を見る。
天気を見る。
木を見る。
足元を見る。
チェーンソーを見る。
休む判断をする。
今週書いてきたことは、すべて最後の「無事に帰る」につながっています。
朝の道具確認は、無事に帰るため。
木を見る時間も、無事に帰るため。
チェーンソーの始動前確認も、無事に帰るため。
休む判断も、無事に帰るため。
安全作業は、特別なことではありません。
一つ一つの確認の積み重ねです。
派手な技術よりも、地味な確認。
勢いよりも、落ち着いた判断。
根性よりも、体調管理。
それが無事に帰る力になります。
安全は、朝から少しずつ積み上げるものです。
林業の現場では、成果が求められます。
何本伐ったか。
どれだけ片付いたか。
どれだけ材が出たか。
予定通り進んだか。
もちろん、それは仕事として大切です。
でも、そこだけを見すぎると危険です。
今日は何本できた。
今日は早く終わった。
今日は予定以上に進んだ。
それは良いことです。
しかし、その裏で無理をしていたら、良い仕事とは言えません。
疲れているのに続けた。
危ないと思いながら進めた。
防護具を適当にした。
チェーンソーの違和感を見逃した。
仲間の疲れに気づかなかった。
これではいけません。
林業では、今日できた量も大切です。
でも、今日無事だったことはもっと大切です。
一番の成果は、全員が怪我なく帰ることです。
これは甘い考えではありません。
現場を続けるための一番硬い考えです。
林業は、続けることが大切です。
一日だけ頑張る仕事ではありません。
今日も森に入る。
明日も森に入る。
来月も、来年も、森に関わり続ける。
そのためには、体を守らなければなりません。
怪我をすれば、仕事が止まります。
家族にも心配をかけます。
仲間にも負担がかかります。
自分の暮らしにも影響します。
大きな事故でなくても、怪我は現場に影響します。
指を切る。
足をひねる。
腰を痛める。
熱中症になる。
転倒する。
こうしたことを軽く見てはいけません。
長く森に関わる人は、無理をしません。
慎重に見ます。
道具を整えます。
休みます。
危ない時は止めます。
それは弱さではありません。
続けるための強さです。
怪我をしないことは、林業を続けるための技術です。
林業の現場では、自分一人が無事ならよいわけではありません。
仲間も無事に帰ることが大切です。
自分の作業が、仲間に危険を与えていないか。
仲間の位置を確認しているか。
声かけはできているか。
合図は伝わっているか。
疲れている人はいないか。
無理をしている人はいないか。
現場の安全は、一人だけでは作れません。
仲間を見ること。
仲間に声をかけること。
仲間の異変に気づくこと。
これも仕事です。
「大丈夫?」
「少し休もう」
「そこは危ないよ」
「一度止めよう」
「水を飲もう」
こうした声がある現場は強いです。
逆に、誰も声をかけない現場は危ない。
無事に帰るということは、
自分だけでなく、仲間も一緒に帰るということです。
林業の安全は、仲間と一緒につくるものです。
無事に帰るのは、人だけではありません。
道具も無事に帰す。
これも大切です。
チェーンソーをきちんと止める。
汚れを確認する。
燃料やオイルの扱いに注意する。
刃物を安全な向きにする。
ヘルメットや手袋を片付ける。
ヤスリやクサビをなくさない。
次に使える状態に戻す。
道具を乱暴に扱う人は、次の現場で困ります。
使った道具をそのままにしておくと、
次の日の安全が崩れます。
道具は相棒です。
相棒を雑に扱えば、次の仕事で自分に返ってきます。
道具を整えて帰ることは、
今日の仕事を締めることであり、
明日の安全を準備することでもあります。
道具を無事に帰す人は、次の安全も考えている人です。
作業が終わったら、帰る前にもう一度見る。
これも大切です。
火の気はないか。
道具の置き忘れはないか。
刃物は安全か。
作業場所に危険が残っていないか。
倒木や枝の状態はどうか。
歩く道は安全か。
仲間は全員いるか。
体調を崩している人はいないか。
終わったからといって、すぐに気を抜かない。
最後にもう一度見る。
この習慣が事故を遠ざけます。
「帰る前の確認」は、山に入る前の確認と同じくらい大切です。
始まりの確認。
終わりの確認。
この両方があって、一日の仕事が整います。
帰る前にもう一度見る人は、最後まで安全を手放さない人です。
彩ちゃんが林業を学ぶなら、技術を身につけることは大切です。
木を見る力。
道具を扱う力。
チェーンソーの確認。
足元を見る力。
休む判断。
でも、最後に身につけてほしいのは、帰る力です。
無事に帰る力。
仲間と一緒に帰る力。
道具を整えて帰る力。
今日の仕事を振り返って、明日に備える力。
林業は、一回の作業で終わる仕事ではありません。
続ける仕事です。
だからこそ、無事に帰ることが大切です。
彩ちゃんには、作業ができる人になるだけでなく、
安全に帰れる人になってほしい。
帰る力は、林業人として一番大事な力です。
森で働く人は、今日も無事に帰る。
この言葉は、当たり前のようで、林業ではとても重い言葉です。
朝、道具を見る。
木を見る。
チェーンソーを確認する。
防護具を着ける。
休む判断をする。
仲間を見る。
帰る前にもう一度見る。
その一つ一つが、無事に帰るためにつながっています。
林業は、木を伐る仕事です。
でも、それだけではありません。
森に入り、森と向き合い、必要な仕事をして、
そして無事に帰る仕事です。
どれだけ上手に木を伐っても、怪我をして帰れなければ良い仕事ではありません。
どれだけ多く作業しても、仲間が無事でなければ良い一日とは言えません。
一番の成果は、今日も無事に帰ること。
その当たり前を、これからも大切にしたいと思います。
「林業の一日は、木を伐って終わりではないんですね。
道具を見て、木を見て、チェーンソーを確認して、休む判断をして、最後に無事に帰る。
一番の成果は、怪我なく帰ること。
私も、作業ができる人ではなく、ちゃんと帰れる人になりたいです。」
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