

2026年9月5日
令和8年度 埼玉県林業技術者育成研修
FORESTRY TRAINING REPORT|DAY 15
2026年9月5日(土)、令和8年度埼玉県林業技術者育成研修Day15を実施しました。
本日は、チェーンソー特別教育・実技7時間。
参加者は5名です。
これまで2日間にわたって、チェーンソーの構造、安全装置、伐倒の基本、ソーチェンの取り付け、目立て、整備などを学んできました。
今日は、いよいよ実際にチェーンソーを扱います。
実習内容は、
目立て、デプスの確認、混合燃料の作り方、下肢切創防護衣の着用、エンジン始動、玉切り、橋状材・片持ち材の切断、枝払い。
派手な伐倒ではありません。
しかし、今日行ったことは、チェーンソーを安全に使うための土台になるものばかりです。
チェーンソー実技の日も、スタートは恒例の表情体操です。
今日は初めて実際にチェーンソーを扱う研修生もいます。
だからこそ、いきなり機械を持つのではなく、まず自分の身体と気持ちを研修モードへ切り替えます。
緊張しすぎてもいけない。
気を抜いてもいけない。
チェーンソー作業では、落ち着いて周囲を見ることが大切です。
今日、特に時間をかけたのがソーチェンの目立てです。
講師の手元をスマートフォンで撮影しながら、研修生も真剣に説明を聞いています。
目立ては、単に「切れ味をよくする作業」ではありません。
刃の形や左右の状態が崩れれば、チェーンソーの挙動にも影響します。
どこを研ぐのか。
ヤスリをどのように当てるのか。
角度はどうするのか。
一つずつ確認していきます。
説明を聞いたら、今度は自分で目立てを行います。
見ているだけなら簡単そうに見えます。
しかし、実際にヤスリを持つと、
角度が変わる。
高さが変わる。
力の入れ方が変わる。
一本一本のカッターを同じように研ぐことの難しさが分かります。
そこで、昔から目立てでよく言われる言葉があります。
「泣くほど研げば、笑うほど切れる。」
最初は時間がかかって構いません。
速さより、正確さです。
きちんと目立てされたチェーンソーは、無理に押し付けなくても木へ入っていきます。
ここも基本を身につけるまでの辛抱です。
目立てと同時に重要なのが、デプスの確認です。
今回の実習では、0.65mmを基準としてデプスゲージを使い、正しく確認する方法を練習しました。
目で見て、
「このくらいかな」
では済ませません。
専用のゲージを使って確認します。
特にデプスの状態は、ソーチェンの食い込み方やキックバックの危険にも関わります。
チェーンソーでは、わずかな寸法にも意味があります。
測れるものは、きちんと測る。
安全のために大切な姿勢です。
続いて、燃料の作り方を実習しました。
チェーンソーに使用する混合燃料は、適当に作るものではありません。
使用する燃料とオイルを確認し、指定された混合比を守ってつくります。
ここも、
「だいたいこれくらい」
ではいけません。
機械を長く、正常な状態で使うためには、正しい燃料を使用することが基本です。
伐倒技術だけがチェーンソー技術ではありません。
燃料を正しく準備するところから、作業はすでに始まっています。
混合燃料を準備し、下肢切創防護衣など必要な保護具を着用して、エンジン始動へ進みます。
学科で何度も学んできた始動方法も、実際に自分で行うとなると勝手が違います。
機械の置き方。
身体の位置。
周囲の確認。
チェーンブレーキ。
一つずつ確認してから始動します。
最初から速くできる必要はありません。
安全な手順を崩さずにできることが最優先です。
チェーンソーによる切断の基本として、玉切りを行いました。
丸太を横断方向へ切断する、一見すると単純な作業です。
しかし、
チェーンソーの持ち方。
身体の位置。
ガイドバーの使い方。
アクセル操作。
切断中の丸太の動き。
基本ができているかどうかがよく分かります。
初めてチェーンソーを持ったときこそ、無理に速く切ろうとせず、正しい姿勢と操作を身につけます。
次に、橋状材と片持ち材の切断方法を学びました。
丸太は、置かれ方によって木にかかる力が変わります。
上側が圧縮されるのか。
下側が圧縮されるのか。
どこから切ればガイドバーが挟まれないのか。
木の状態を見ずに、いつも同じ方向から切ればよいわけではありません。
切り始める前に、
「この木には、どのような力がかかっているのか」
を考える。
チェーンソーを木へ当てる前の判断が重要です。
本日の最後は枝払いです。
枝払いは、伐倒された木の枝をチェーンソーで落としていく作業ですが、キックバックなどによる事故にも注意が必要です。
どの部分を使って切るのか。
身体をどこに置くのか。
ガイドバー先端をどこへ向けるのか。
次の枝へ移るときはどうするのか。
今日は、上手な枝払いだけではなく、
「これはやってはいけない」
という危険な操作もしっかり学びました。
事故を減らすには、できることを増やすだけでは足りません。
やってはいけない行動を知り、それを実際にやらないこと。
これが重要です。
本日は枝払いまで進み、Day15の実習を終えました。
初めてのチェーンソー実技。
目立て。
デプス。
燃料。
エンジン始動。
玉切り。
橋状材・片持ち材。
枝払い。
一日を振り返ると、細かな基本の連続です。
でも、実はそこが一番大事です。
大きな木を倒す技術も、こうした基本の上に成り立っています。
研修生も今日一日を通して、
「基本を飛ばして先へ進んではいけない」
ということを感じたと思います。
今日の研修で一番伝えたかったことがあります。
目立てを適当にしない。
デプスを適当にしない。
燃料を適当に作らない。
保護具を適当に着けない。
始動方法を自己流にしない。
玉切りも枝払いも、我流で行わない。
どれも派手な技術ではありません。
しかし、普段あまり注意されない細かなところに、安全の核心があります。
現場で長く働くために必要なのは、一発だけ上手に木を切れることではありません。
毎回、正しい基本を繰り返せることです。
次回は9月6日(日)、Day16。
チェーンソー特別教育実技2時間、刈払機安全衛生講習実技1時間、チェーンソースキルアップ講習(チェーンソートラブル対処法)を行います。
学科で学んだ知識を実技で確認しながら、さらにチェーンソーのトラブル対処まで一歩踏み込んで学びます。
そのために、正しい基本操作と、異常が起きたときに原因を考えられる力を身につけていきます。
※フォレストカレッジホームページ
https://www.young-leaves.com/