

2026年9月4日
9月に入りました。
暦の上では、夏から秋へ向かう季節です。
でも昼間に外へ出れば、
「まだ夏じゃないか」
と思うような暑い日もあります。
森もまだ濃い緑です。
だから、つい8月と同じ感覚で山へ入ってしまいます。
でも森をよく見ると、少しずつ変化が始まっています。
朝の空気。
草についた露。
日の入り。
風。
虫の声。
9月の森は、夏の続きのようでいて、もう完全に同じではありません。
9月1日になった瞬間に、森が秋へ切り替わるわけではありません。
暑い日もあります。
湿度の高い日もあります。
防護具を着けて作業すれば、まだ十分に暑い。
だから、
「9月だから熱中症はもう大丈夫」
とは考えられません。
一方で、
「まだ暑いから8月と全部同じ」
でもありません。
大切なのは月ではなく、
その日の気温、湿度、風、地面、空を見ること。
森の季節は、カレンダーより少し複雑です。
9月になると、朝の草や地面に露を感じる日が増えてきます。
見た目には何でもない草でも、濡れている。
落ち葉や根も湿っている。
斜面では、それだけで足元の感覚が変わります。
昼には乾く場所でも、朝は滑りやすいことがあります。
「昨日の午後は大丈夫だった」
ではなく、
今朝はどうか。
時間帯によって同じ場所でも条件が違う。
これも季節を読む一つのポイントです。
真夏は暑さが厳しいので、
「無理をしない」
と意識します。
ところが少し涼しくなると、体が動きやすく感じます。
その結果、
午前中からペースを上げる。
休憩を後回しにする。
予定より多く作業する。
そんなこともあります。
でも533弾で書いたように、夏の疲れが残っている時期でもあります。
涼しく感じることと、疲れがなくなったことは同じではありません。
9月こそ、自分の動き方も少し丁寧に見たいものです。
夏の感覚が残っていると、
「まだ明るいだろう」
と思いがちです。
でも少しずつ、夕方が早くなります。
山の中では、周囲に木があるため、町より早く暗く感じることもあります。
作業をどこで終えるか。
片付けにどれだけ時間が必要か。
林道を明るいうちに戻れるか。
こうしたことも、季節とともに変えていきます。
作業時間は時計だけでなく、森の明るさでも考える。
これも秋へ向かう時期の大切な判断です。
森へ入ると、景色だけでなく音も変わっていきます。
真夏に響いていた蝉の声。
少しずつ増えてくる秋の虫の声。
風が葉を揺らす音。
朝の静けさ。
毎日聞いていると、大きな変化には感じません。
でも意識して聞くと、
「あれ、少し違うな」
と気づきます。
534弾では、チェーンソーの「いつもと違う音」に気づく話を書きました。
森そのものにも同じことがあります。
いつもとの違いを感じることが、変化に気づく入口になります。
季節が進めば、森にいる生き物の様子も変わります。
夏には気づかなかった虫が目につく。
逆に、よく見ていた虫が少なくなる。
鳴き声が変わる。
動物の痕跡を見つける。
林業では、生き物を観察することが仕事の中心ではない日もあります。
それでも、
「森の様子が少し変わった」
と感じる材料になります。
季節を見るというのは、気温計だけを見ることではありません。
森全体から情報を受け取ることです。
作業には、その季節に合ったリズムがあります。
暑い夏には、
早めの水分補給。
こまめな休憩。
暑い時間帯を避ける。
といった工夫をします。
秋へ向かえば、また別のことも考えます。
朝露。
日没。
気温差。
天候の変化。
ただし、ある日突然全部変える必要はありません。
森を見ながら、
少しずつ仕事のやり方も季節に合わせていく。
それでいいのです。
第530弾では、
「森では、昨日と同じ道も同じではない」
と書きました。
9月になると、その変化が一日単位だけでなく、季節という長い時間でも見えてきます。
先週より朝が涼しい。
少し日が短くなった。
草の様子が変わった。
虫の声が違う。
森は、急に姿を変えるわけではありません。
小さな変化が積み重なって、いつの間にか次の季節になります。
その途中に気づけることも、森を見る力です。
9月の森は、まだ緑です。
暑い日もあります。
見た目だけなら、夏とそれほど変わらない日もあります。
でも、
朝露。
風。
光。
日の長さ。
虫の声。
少しずつ、森は次の季節へ動いています。
だから、
9月の森は、夏と同じつもりで入らない。
「9月だからこうだ」
と決めつけるのでもありません。
大切なのは、
今日の森を見ること。
今日の自分を見ること。
そして、その日に合った働き方を選ぶことです。
カレンダーではなく、森から季節を読む。
それも、森で働く人が身につけていく大切な感覚なのだと思います。
「9月になったら、もう秋だと思っていました。
でも森の季節って、日付で一斉に切り替わるわけじゃないんですね。
暑さは残っている。
でも朝露や風、日の長さは少し変わっている。
『何月だから』ではなく、今日の森を自分で見る。
それが季節を読むということなんだと思いました。」
※フォレストカレッジホームページ
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