

2026年6月25日
梅雨の森は、晴れの日とはまったく違う情報を出しています。
雨粒、湿り気、足元、木肌、香り、音、ぬかるみ、水の流れ。
林業の現場では、そうした変化を読む力がとても大切です。
今週は、梅雨の森をどう読むか をテーマに、雨の季節ならではの林業の魅力を見ていきます。
梅雨の森では、上ばかり見ていてはいけません。
葉についた雨粒。
濡れた木肌。
しっとりした森の空気。
深くなった緑。
たしかに、雨の日の森には美しさがあります。
しかし、林業の現場では、まず気にしなければいけない場所があります。
それが、足元です。
雨の後の山では、足元が大きく変わります。
ぬかるみ。
濡れた落ち葉。
滑る根。
水を含んだ土。
踏ん張れない斜面。
泥がついた靴底。
見た目より柔らかい地面。
晴れた日には何でもなかった場所が、雨の後には危険な場所になることがあります。
林業では、木を見る力が大切です。
道具を見る力も大切です。
でも、それ以前に、自分がどこに立っているのかを見る力が必要です。
今日は、今週テーマ 「梅雨の森を読む」 の木曜日として、
ぬかるみは、足元を見る力を育てる という話を書いていきます。
林業の仕事は、足元が土台です。
木を見る。
道具を持つ。
チェーンソーを扱う。
枝を払う。
丸太を動かす。
斜面を歩く。
どの作業も、足元が安定していなければ危険です。
足元が滑る。
靴底が泥で詰まる。
斜面で踏ん張れない。
濡れた落ち葉に足を取られる。
根に乗った瞬間に滑る。
こうなると、姿勢が崩れます。
姿勢が崩れると、道具の扱いも乱れます。
道具の扱いが乱れると、判断も焦ります。
焦ると、周囲を見る余裕がなくなります。
つまり、足元の悪さは、作業全体に影響します。
「少し滑るだけ」ではありません。
足元の不安定さは、事故の入口になります。
林業の安全は、足元から始まります。
ぬかるみは、見た目だけでは分からないことがあります。
表面は少し湿っているだけに見える。
でも踏むと沈む。
黒く見える場所が深い。
落ち葉の下に泥がある。
草の下に水がたまっている。
斜面の途中だけ柔らかい。
雨の後の山では、こういうことがあります。
だから、歩きながら足元を読む必要があります。
どこに水が集まっているか。
どこが踏み固められているか。
どこが滑りやすいか。
どこを避けるべきか。
どこなら踏ん張れるか。
山の足元は、道路のように均一ではありません。
一歩ごとに条件が違います。
梅雨の現場では、その違いがさらに大きくなります。
ぬかるみは、一歩ごとに足元を見る力を試してきます。
雨の日や雨上がりの山で注意したいものに、濡れた落ち葉があります。
落ち葉は乾いている時も滑ることがありますが、濡れるとさらに危険です。
特に斜面では、足の下で落ち葉が動きます。
落ち葉の下に泥があると、さらに滑ります。
見た目は普通の地面でも、実際には薄い滑り台のようになっていることがあります。
濡れた落ち葉は、足元の危険を隠します。
石。
根。
泥。
段差。
穴。
小さな枝。
こうしたものが落ち葉の下に隠れていることがあります。
だから、雨の日の森では、落ち葉の上を軽く見てはいけません。
「ここなら大丈夫だろう」と思った一歩が危ないのです。
濡れた落ち葉は、山の足元にある見えにくい危険です。
雨の日に意外と危ないのが、木の根です。
乾いている時には足をかけられるように見える根でも、濡れると滑ります。
特に、表面がつるっとしている根。
斜面に横たわる根。
土から少し浮いている根。
苔や泥がついた根。
こうした根は、踏み方を間違えると足を取られます。
木の根は、森を支えている大切なものです。
でも、人間が歩く時には、時に危険にもなります。
木の根を踏むなら、足の置き方に注意する。
濡れている時は、できるだけ避ける。
どうしても踏むなら、滑る前提でゆっくり乗る。
梅雨の森では、木の根も「読む」対象になります。
森を読むとは、木を見るだけでなく、根元の危険を見ることでもあります。
平らな場所なら、少し足元が悪くても立て直せることがあります。
しかし斜面では違います。
少し滑る。
少し沈む。
少し足が流れる。
少し踏ん張れない。
この「少し」が大きな危険になります。
林業の現場には斜面が多くあります。
そこに雨が加わると、足元の条件はさらに難しくなります。
上りは滑る。
下りは止まりにくい。
横移動では足が流れる。
道具を持っているとバランスが取りにくい。
斜面では、足元の判断が作業の安全を大きく左右します。
どこを歩くか。
どこで止まるか。
どこに道具を置くか。
どこで作業姿勢を取るか。
これを考えずに動くと危険です。
梅雨の斜面では、一歩の判断が安全を分けます。
雨の日の現場では、靴底に泥がつきます。
この泥が意外と厄介です。
靴底の溝が泥で詰まる。
滑り止めが効きにくくなる。
丸太や根に乗った時に滑る。
車や作業場に戻った時も足元が悪くなる。
足元が悪いのは地面だけではありません。
自分の靴の状態も足元の一部です。
泥がついているなら、落とす。
靴底の状態を見る。
滑りやすくなっていないか確認する。
こうした小さな確認が大事です。
道具の手入れと同じように、靴も現場を支える道具です。
靴底を見ることも、安全作業の一部です。
現場で足元をよく見る人は、作業も落ち着いています。
どこに立つか。
どこに体重をかけるか。
どこに逃げるか。
どこに道具を置くか。
どこなら踏ん張れるか。
それを考えてから動くからです。
逆に、足元を見ない人は、動きが雑になります。
とにかく先へ進む。
すぐに作業に入る。
道具を持ったまま不安定な場所に立つ。
滑ってから慌てる。
これは危険です。
林業では、速く動くことよりも、安全に動くことが大切です。
一歩を丁寧に置く。
足場を決めてから作業する。
危ない場所では無理をしない。
こうした基本が、事故を遠ざけます。
足元を見る人は、自分の安全を自分で作れる人です。
ぬかるみは、ただ厄介なだけではありません。
無理をしない判断を教えてくれます。
ここは歩かない方がいい。
この斜面は今日はやめた方がいい。
この場所に道具を置くのは危ない。
この作業は順番を変えた方がいい。
一人で動かさず、手伝ってもらった方がいい。
ぬかるみがあることで、作業者は考えます。
晴れの日なら進めた場所でも、雨の後は止まる判断が必要になることがあります。
林業では、止まることも技術です。
「今日は条件が悪い」と判断する力。
「ここは無理をしない」と決める力。
「安全な場所へ移動してから作業する」と考える力。
ぬかるみは、そうした現場判断を育ててくれます。
ぬかるみは、足元だけでなく判断力も鍛える先生です。
彩ちゃんが梅雨の森を歩いたら、最初は歩きにくさに戸惑うかもしれません。
足が沈む。
泥がつく。
落ち葉が滑る。
根に足を取られそうになる。
斜面で踏ん張りにくい。
でも、その一つ一つが学びです。
どこに足を置けばいいのか。
どこは避けるべきなのか。
どんな地面が滑りやすいのか。
靴底に泥がつくとどうなるのか。
安全に立てる場所はどこなのか。
彩ちゃんには、ぬかるみをただ「嫌なもの」と見るのではなく、
足元を見る力を育ててくれるものとして見てほしいと思います。
山仕事は、上手に木を伐る前に、まず安全に立つことから始まります。
安全に立てる人が、安全に作業できる人です。
ぬかるみは、足元を見る力を育てます。
雨の後の森では、地面が変わります。
滑る。
沈む。
踏ん張れない。
落ち葉が動く。
根が滑る。
靴底に泥がつく。
斜面の危険が増す。
こうした変化を読めるかどうかが、林業の安全につながります。
木を見ることは大切です。
道具を見ることも大切です。
でも、自分がどこに立っているかを見ることも同じくらい大切です。
足元を見ない林業は危ない。
梅雨の森は、その基本をはっきり教えてくれます。
ぬかるみは、足元を見る力を育てる。
雨の日の山は歩きにくい。
けれど、その歩きにくさの中に、林業の大切な学びがあるのです。
「ぬかるみって、ただ歩きにくいだけだと思っていました。
でも、滑る場所、沈む場所、踏ん張れない場所、濡れた落ち葉や木の根。
足元にはたくさんの情報があるんですね。
木を見る前に、まず自分が安全に立てる場所を見る。
それが山仕事の基本なんだと分かりました。」
※フォレストカレッジホームページ
https://www.young-leaves.com/