

2026年11月7日
令和8年度 埼玉県林業技術者育成研修|製材工場
FORESTRY TRAINING REPORT|DAY 31
2026年11月7日(土)、令和8年度埼玉県林業技術者育成研修Day31では、埼玉県秩父市にある株式会社ウッディーコイケの製材工場とプレカット工場を見学しました。
本日の参加者は3名。
これまでの研修では、チェーンソーの構造や整備を学び、伐木造材作業の実技にも取り組んできました。
森に立つ木を、どのように安全に伐るのか。
狙った方向へ倒すためには、どのような技術が必要なのか。
そして、伐った木をどのように造材するのか。
研修生たちは、少しずつ林業の技術を身につけてきました。
しかし、林業の仕事は、木を伐って終わりではありません。
山から運び出された丸太は、その後どこへ行くのでしょうか。
どのように加工され、どんな製品になり、どこで使われるのでしょうか。
今日は、その答えを実際に確かめるための現地視察研修です。
森で育った木が、私たちの暮らしを支える木材になるまで。
一本の木の、その先を見に行きました。
今回お世話になったのは、秩父市の株式会社ウッディーコイケです。
案内してくださったのは、毎年おなじみの小峰さん。
今年も、どうぞよろしくお願いいたします。
ウッディーコイケは、森林の管理から木材の製材、さらにプレカット加工まで、幅広く事業を展開している会社です。
まず目に入ってきたのは、貯木場に積み上げられた大量の丸太。
山で一本ずつ伐採された木が、ここに集められています。
丸太の木口には、数字などの印も見られます。
林業の現場では、木を伐り、枝を払い、決められた長さに造材します。
そのようにして山から送り出された木が、ここでは製材の原料になります。
山での仕事の終わりは、木材産業にとって新しい仕事の始まりです。
そのことを、貯木場に並んだ丸太が教えてくれます。
次に見学したのは、樹皮を剥いた丸太です。
小峰さんの説明を聞きながら、研修生たちは実際の丸太を間近で観察しました。
山から運び出されたばかりの丸太には、当然ながら樹皮がついています。
製材工場では、加工の工程に合わせて樹皮を取り除き、次の作業へと進めていきます。
樹皮が取り除かれた丸太は、表面の木肌がよく見えるようになります。
普段、森林の中で見ている立木とは、少し違った姿です。
ここで考えてほしいことがあります。
同じような大きさに見える丸太でも、すべてが同じ製品になるわけではありません。
径級や長さ、曲がり、節など、木材にはそれぞれ異なる特徴があります。
そうした特徴を見ながら、どのような材料として利用するかを考えることが大切です。
木は、ただ切ればよいのではありません。どのように使うかを考えることで、その価値が生まれます。
林業の現場で行う造材作業にも、その考え方がつながっています。
続いて、製材加工工場へ移動しました。
工場の中には、丸太を加工するための大きな設備が並んでいます。
山でチェーンソーを使って木を切る作業と、工場で機械を使って木材を加工する作業。
どちらも同じ木を扱っていますが、求められる技術は異なります。
製材は、丸太から柱や梁に使う角材、板などを取り出すための加工です。
ここで重要になるのが、木取りという考え方です。
一本の丸太から、どのような寸法の材料を、どのように取り出すのか。
木材の性質や必要な製品の寸法を考えながら、加工の方法を決めていきます。
同じ丸太でも、木取りの考え方によって、得られる製品の組み合わせや歩留まりが変わります。
林業では、丸太の長さや径を考えて造材します。
製材工場では、そこからさらに一歩進み、丸太の内部にある木材を、どのように製品として取り出すかを考えます。
森での造材と、工場での製材。
別々の仕事のように見えて、実は深くつながっているのです。
製材工場の中には、加工された木材が整然と積み上げられていました。
先ほど貯木場で見た丸太とは、すっかり姿が変わっています。
丸い木が、四角い柱材や板材になっているのです。
寸法がそろい、同じ形の木材が並んでいる光景は、丸太が積まれた貯木場とはまた違った印象を与えます。
木を伐るときには、どうしても立木や丸太そのものに意識が向きがちです。
しかし、木材を使う側が求めているのは、用途に適した寸法や品質を備えた材料です。
家を建てるための柱。
床や壁に使う板。
建物を支える梁。
そうした製品へと加工されることで、丸太は新たな役割を持つようになります。
ここで改めて感じるのは、林業の技術が、木材を使う人たちの仕事につながっているということです。
山で伐った一本の木が、誰かの家を支える材料になる。
そのつながりを、実際に目で確かめることができました。
こちらは、ウッディーコイケで加工されている造作加工品の一覧です。
展示されたさまざまな断面形状の木材を見ながら、研修生たちは説明を聞きました。
木材は、柱や梁のような構造材として使われるだけではありません。
建物の内装や仕上げに使われる造作材にも、さまざまな形があります。
必要な用途に合わせて、木材を細かく加工していくのです。
一見すると小さな木片ですが、それぞれに役割があります。
大きな柱だけが、価値のある木材ではありません。
細かな部材にも、きちんとした使い道があります。
そして、木材を無駄なく使うためには、用途に合わせて材料を加工する技術も必要です。
一本の木から、できるだけ多くの価値を生み出す。
製材や木材加工の仕事には、そんな工夫が積み重ねられています。
これまで研修生たちが学んできた伐木造材作業も、その出発点にあります。
製材工場の次は、プレカット工場へ移動しました。
プレカットとは、住宅などの建築に使用する木材を、設計に基づいてあらかじめ工場で加工することです。
柱や梁などの構造材には、建物を組み立てるために必要な加工が施されます。
例えば、木材同士をつなぐための継手や仕口です。
以前は、こうした加工を大工さんが墨付けを行い、手道具や機械を使って加工することが一般的でした。
現在では、設計データを利用し、専用の加工機械で正確に加工する方法が広く使われています。
写真に写っているのは、プレカット工場の加工設備を見学している様子です。
大きな機械を目の前にすると、木材加工が高度な技術に支えられていることが分かります。
しかし、その機械が加工している材料も、もとをたどれば森で育った一本の木です。
最先端の加工技術も、森林という自然の資源があってこそ成り立っています。
そのことを忘れてはいけないと思います。
こちらは、プレカットされた住宅の構造材です。
木材の端部や途中には、ほぞや溝など、部材同士を組み合わせるための加工が施されています。
製材されたままの角材とは、明らかに違う姿になっています。
木材は、ただ四角く加工するだけでは家の材料として完成しません。
建物のどの位置で、どのように使うのか。
どの部材と、どのように組み合わせるのか。
そのことまで考えて加工されています。
ログハウスや木造建築でも、木と木を正確に組み合わせることは重要です。
木材の寸法。
継手や仕口の形。
加工の精度。
どれか一つでも適切でなければ、思い描いたとおりには組み上がりません。
プレカットされた構造材を見ながら、木材を使う技術の精密さを感じることができました。
山の中でチェーンソーを扱う仕事と、工場で木材を加工する仕事。
作業の方法は違っても、どちらも正確さが求められる仕事です。
森で育った木が、人の技術によって建築材料へと変わっていく。
その過程を、今日は間近で学ぶことができました。
今回の現地視察研修を通して、改めて考えたいことがあります。
それは、林業の仕事をどこまでの範囲で捉えるかということです。
森林で木を育てる。
必要な木を伐採し、山から搬出する。
製材工場で丸太を加工する。
そして、プレカット加工を経て、建物に使われる。
これらの仕事は、決して別々に存在しているわけではありません。
一つひとつがつながり、木材が私たちの暮らしの中で使われるようになります。
林業は「川上」、木材加工や流通は「川中」、建築などの利用は「川下」と呼ばれることがあります。
しかし、川上だけが頑張っても、川下で木材が使われなければ、森林資源の活用にはつながりません。
反対に、木材を使いたい人がいても、森林を育て、木を伐り出す人がいなければ、材料は届きません。
木を育てる人、伐る人、加工する人、使う人。
そのすべてがつながって、森林と私たちの暮らしは結ばれているのです。
林業技術者を目指す研修生にも、ぜひこのつながりを理解してほしいと思います。
見学の最後は、今年もご案内いただいた小峰さんを囲んで記念撮影です。
貯木場に積み上げられた丸太から始まり、製材工場、そしてプレカット工場まで。
一連の製造工程を、分かりやすく説明していただきました。
毎年、研修生たちのために貴重な時間を割いていただけることに、心から感謝しています。
今日の見学で、研修生たちは、これまで自分たちが練習してきた伐木造材作業の先に、どのような仕事があるのかを知ることができました。
チェーンソーで木を切ることも大切です。
しかし、その木がどのように加工され、どこで使われるのかを知ることで、林業という仕事の意味もさらに深まっていきます。
株式会社ウッディーコイケの皆さま、小峰さん、本日はありがとうございました。
次回は2026年11月8日(日)、Day32。
伐木造材作業実技に戻り、追いヅル伐倒の練習を予定しています。
今日は、森林から送り出された木が、どのように加工され、使われていくのかを学びました。
明日は、再び森で木を扱う技術を磨きます。
木を伐ることの意味を知り、その木が使われる先を知る。
その両方を学ぶことが、林業技術者としての視野を広げていきます。
森で育った一本の木は、伐られたところで役割を終えるのではありません。
人の手によって加工され、家を支え、暮らしを支える木材へと生まれ変わります。
森の仕事は、森の中だけでは終わらない。
そのことを実感できたDay31でした。
※フォレストカレッジホームページ
https://www.young-leaves.com/
※アメブロ
https://ameblo.jp/woodendreams/entrylist.html
※note(彩ちゃんの安全物語)
https://note.com/forestcollege/n/n3f22f4a6ef23