

2026年7月26日
令和8年度 埼玉県林業技術者育成研修
FORESTRY TRAINING REPORT|DAY 6
2026年7月26日(日)、令和8年度埼玉県林業技術者育成研修Day6を実施しました。
本日の研修は、森林・林業の基礎「森林の調査方法」です。
参加者は5名。
午前は、測量・測樹と森林調査のねらいについて学びました。
午後は、
を確認しました。
今日は実際の森林へ入って調査を行ったわけではありません。
次回の現地実習に備え、「何を調べるのか」「どのように測るのか」を理解し、教室内で器械の操作方法を練習する一日でした。
朝会では、伊達政宗の言葉を紹介しました。
物事、小事より大事は発するものなり。油断すべからず。
前日のDay5では、チェーンソーや刈払機の災害事例について学びました。
重大な事故も、始まりは小さな確認不足や油断であることが少なくありません。
少しくらい大丈夫だろう。
これくらいなら問題ないだろう。
後で直せばよいだろう。
こうした小さな判断が積み重なり、やがて大きな事故や失敗へつながります。
これは安全作業だけでなく、測量でも同じです。
器械がわずかに傾いている。
目標の中心がずれている。
数字を一つ書き間違える。
その小さな誤差が、測量全体へ影響します。
小さなことをおろそかにしない。
今日の測量学習にふさわしい言葉となりました。
最初に、測量・測樹と森林調査のねらいについて学びました。
林業では、森を見た印象だけで施業を決めることはできません。
森林の状態を判断するためには、
などを調べる必要があります。
数字として把握することで、森林が混みすぎているのか、間伐が必要なのか、成長状態は良いのかを判断できます。
測量や測樹は、単に数字を測る作業ではありません。
森の状態を正しく読み取り、これからの施業を考えるための技術です。
森の健康診断では、人工林の中へ入り、木だけでなく林床の状態も調べます。
間伐が遅れた人工林は、外から見ると緑豊かに見えることがあります。
しかし、林内へ入ると光が届かず、地面の植物が少なく、土がむき出しになっている場合があります。
こうした森林では、雨滴によって土が流れ、根が露出し、土砂流出や災害につながる危険もあります。
一方、適切に管理された森林では、林内へ光が入り、草や低木が育ち、地表が落ち葉や植物に覆われます。森の健康診断では、こうした違いを調査し、人工林の状態を判断します。
森の健康診断では、まず調査地を設定します。
人工林の中から、周辺と同じような状態が続いている場所を選び、中心木を決めます。
その後、調査枠を設けて、
などを調べます。
森の健康診断では、半径5.65メートルの円を使います。
半径5.65メートルの円の面積は、ほぼ100平方メートルです。
この範囲にある植栽木の本数や太さを測ることで、1ヘクタール当たりの本数や、森林の混み具合を計算できます。
今日はまだ森へ入って測定していません。
来週の実習で迷わないように、記録用紙と手順を確認しました。
午後は、コンパス測量について学びました。
コンパス測量は、森林内で測点と測点を結び、
を測る方法です。
森林は、平らで見通しの良い場所ばかりではありません。
斜面があり、木が立ち並び、見通しの悪い場所もあります。
そのため、持ち運びやすく、比較的操作しやすいポケットコンパスは、林地の測量で広く使われてきました。
コンパスには、
などが付いています。
器械の名称だけでなく、それぞれが何のためにあるのかを確認しました。
講義の後は、実際のコンパスと三脚を使って練習しました。
今日の主な練習は、三脚を使って方位分度盤を水平にすることです。
測量では、器械が水平になっていなければ、正しい数値を読むことができません。
三脚の脚を適当に広げればよいわけではありません。
床の状態を確認しながら、
を確認して調整します。
研修生は順番に器械へ触れ、三脚の脚を動かしながら水平を取る練習を行いました。
講師の操作を見るだけでは、実際の感覚は分かりません。
脚をどの方向へ動かせば気泡が動くのか、どの程度調整すればよいのかは、自分で触ることで少しずつ理解できます。
一見すると地味な作業ですが、ここが狂えば、その後の測量全体も狂います。
まさに、朝会で紹介した「小事より大事は発する」です。
コンパス測量では、次の測点に立つポールを視準器で正確に捉えます。
ただポールが見えればよいわけではありません。
接眼レンズをのぞき、十字線と目標を正しく合わせます。
目標がずれていれば、方位角も正しく測れません。
また、磁針が完全に止まってから数値を読み取る必要があります。
測量では、
という一つひとつの手順が重要です。
測量テキストでも、野帳の一か所の間違いが測量全体へ影響するため、復唱しながら記録することが示されています。
本日は、森の健康診断もコンパス測量も、実際の森林では行いませんでした。
今日の目的は、
次回の現地で、何をすればよいのか分からず立ち止まらないこと
です。
森の健康診断では、調査地を決め、役割を分担し、木や植生を測ります。
コンパス測量では、コンパスマン、ノートマン、ポールマンに分かれて測量を行います。
それぞれが自分の役割を理解し、チームで正確に進めなければなりません。
現場へ出る前に、方法を理解し、器械へ触れておく。
この準備が、次回の実習の質を大きく左右します。
林業では、経験によって森の状態を感じ取る力も重要です。
しかし、感覚だけでは、他の人へ正確に説明することはできません。
この森は混んでいる。
この森は暗い。
この森は間伐が必要だ。
そう判断した理由を、木の本数、太さ、高さ、相対幹距、植生などの数字で示すことが必要です。
測量・測樹・森林調査は、森を見る目を数字で裏付ける技術です。
次回は8月1日(土)。
森の健康診断とコンパス測量を行います。
今日覚えた器械の据え付け方や調査手順を、実際の森林で使います。
森で働く。未来を育てる。
そのために、まず森の状態を正しく知る力を身につけます。
※フォレストカレッジホームページ
https://www.young-leaves.com/