コンテンツ本文へスキップ
プリローダーイメージ
スマートフォンサイトはこちら

令和8年度埼玉県林業技術者育成研修

コンテンツタイトル下地
  • カテゴリー

  • アーカイブ

林業研修Day4|木を科学し、ヒノキの香りを取り出す精油づくり

2026年7月19日

令和8年度 埼玉県林業技術者育成研修
FORESTRY TRAINING REPORT|DAY 4

木を科学する

一本の木から、森の新しい価値を見つける

 

2026年7月19日(日)、令和8年度埼玉県林業技術者育成研修Day4を実施しました。

前日は、森林の多面的機能、人工林と天然林、日本の代表的な林業樹種について学びました。

本日のテーマは、さらに一歩進んだ、

「木を科学する」

です。

木は、山に立っている間だけ価値を持つものではありません。

伐採され、木材として利用され、建築物や家具として長く使われる。

枝葉からは、精油や芳香蒸留水を取り出すこともできます。

今日は、木材の性質や樹木の営みを座学で学び、午後にはヒノキの葉を使った精油づくりに取り組みました。

 


樹木たちの知られざる生活

午前の講義では、樹木が森林の中でどのように生きているのかを考えました。

森の木々は、一本ずつ独立して立っているように見えます。

しかし、根や菌類、土壌、水、光、生き物など、さまざまな存在と関係しながら生きています。

木は言葉を話しません。

それでも、光を求めて枝を伸ばし、水を吸い上げ、周囲の環境に適応しながら長い年月を生き続けます。

林業技術者には、木を単なる作業対象として見るのではなく、森の中で生きてきた存在として見る目も必要です。

 


木材のライフサイクルを考える

続いて、木材のライフサイクルについて学びました。

森林で育った木は、伐採された後、

  • 丸太として搬出される
  • 製材される
  • 乾燥・加工される
  • 建築材や製品として利用される
  • 長い年月を経て再利用、再資源化される

という過程をたどります。

林業は、木を伐って終わる仕事ではありません。

伐った木をどのように使い、次の森林をどのように育てるのかまで考える必要があります。

植える。

育てる。

伐る。

使う。

そして、再び植える。

この循環を成立させることが、持続可能な林業につながります。

 


木の重さから性質を知る

講義では、木材の比重についても学びました。

同じ大きさの木材でも、樹種や含水率によって重さは異なります。

一般に、組織が緻密な木材は重く、柔らかく空隙の多い木材は軽くなる傾向があります。

ただし、伐採直後の木材には多くの水分が含まれているため、乾燥状態によっても重量は大きく変わります。

比重や含水率は、

  • 木材の強度
  • 加工のしやすさ
  • 乾燥のしやすさ
  • 燃え方
  • 運搬重量
  • 用途

にも関係します。

樹種の名前を覚えるだけでなく、その木材がどのような性質を持っているのかを理解することが大切です。

 


森から材料を採取する

午後は、ヒノキの葉を使った精油づくりを行いました。

まず、研修場所周辺にあるヒノキから、蒸留に使用する枝葉を集めます。

普段の林業作業では、枝葉は木材として搬出されず、その場に残されることも少なくありません。

しかし、その枝葉にも香りの成分が含まれています。

これまで十分に使われてこなかった部分へ目を向けることで、森林資源の新しい活用方法が見えてきます。

 


ヒノキの葉を蒸留装置へ

集めたヒノキの葉を細かく整え、蒸留用の容器へ詰めていきます。

葉をただ押し込めばよいわけではありません。

水蒸気が材料全体を通り抜けるように、量や詰め方を考える必要があります。

研修生同士で確認しながら、ヒノキの葉を蒸留装置へ入れていきました。

森林で集めた枝葉が、ここからどのように香りへ変わるのか。

実験が始まります。

 


水蒸気で香りを取り出す

精油づくりには、水蒸気蒸留という方法を使いました。

ヒノキの葉へ水蒸気を通すことで、葉に含まれている揮発性の香り成分を水蒸気とともに取り出します。

その蒸気を冷却管で冷やすと、再び液体になります。

蒸留装置の中では、

加熱する

水蒸気が葉を通る

香りの成分を運ぶ

冷却する

液体として回収する

という変化が起きています。

森の香りを取り出す作業ですが、内容は立派な科学実験です。

 


小さな精油の層を確認

蒸留によって得られた液体は、精油と芳香蒸留水に分かれます。

写真の液体表面に、薄い膜のように見える部分が精油です。

大量の枝葉を使用しても、得られる精油はわずかです。

実際に精油の層を目で確認することで、一滴の精油がどれほど貴重なものなのかが分かります。

一方、精油成分をわずかに含んだ水は、芳香蒸留水と呼ばれます。

精油だけでなく、この芳香蒸留水も森林資源から生まれる大切な産物です。

 


芳香蒸留水を慎重に取り出す

完成した芳香蒸留水を容器へ移します。

見た目には簡単な作業ですが、精油の層を確認しながら液体を取り出すため、意外に緊張する場面です。

研修生が目盛りや液面を確かめながら、慎重に作業しました。

林業の研修というと、大きな木を伐る力強い作業を思い浮かべます。

しかし、こうした細かな変化を観察し、丁寧に扱う力も大切です。

 


木を伐るだけが林業ではない


完成した芳香蒸留水は、研修生がお土産として持ち帰りました。

森に立つ木を見る。

木材の性質を学ぶ。

枝葉を集める。

香りの成分を取り出す。

一日の学びを通して、一本の木には木材以外にも、さまざまな利用方法があることを体験しました。

林業は、木を伐るだけの仕事ではありません。

森林にある資源を理解し、それをどのように社会へつなげるかを考える仕事でもあります。

 


森林資源の可能性を見つける

日本の森林には、まだ十分に活用されていない資源があります。

間伐材。

小径木。

枝葉。

樹皮。

木粉。

これらを「使えないもの」として終わらせるのか、新しい製品や地域の仕事につなげていくのか。

それを考えることも、これからの林業に必要です。

本日の研修では、木材を科学的に理解するとともに、ヒノキの葉から精油と芳香蒸留水を取り出しました。

座学で得た知識を、実際の体験へつなげる。

知識と五感の両方を使って、木を学ぶ一日となりました。

次回は7月25日(土)。

安全衛生知識と林業の災害事例について学びます。

森で働く。未来を育てる。

チームビギナー2026は、森に眠る可能性を一つずつ発見しています。

 

 

 

※フォレストカレッジホームページ
https://www.young-leaves.com/

※X
https://x.com/wooden_tinys

※アメブロ
https://ameblo.jp/woodendreams/entrylist.html

コンテンツ本文の先頭へ戻る ページの先頭へ戻る
コンテンツ本文の先頭へ戻る ページの先頭へ戻る