

2026年5月5日
森が、子どもの居場所になる3日間
ゴールデンウィーク後半の3日間は、少し立ち止まって、
特定非営利活動法人森林活用研究会こぴすの原点を見つめ直します。
今のフォレストカレッジにつながる前に、
森を仕事の場としてだけでなく、
子どもたちの居場所、学びの場、育つ場として
開いてきた活動がありました。
こぴすの原点は、森です。
そして、子どもです。
森は、子どもに教え込む場所ではありません。
子どもが自分で見つけ、触れ、転び、考え、助け合う場所です。
この3日間は、難しい技術の話ではなく、
森の中で子どもが育つ力を見ていきます。
今日は5月5日。
こどもの日です。
だから今日は、まっすぐ子どもの話をします。
子どもをどう育てるか。
何を教えるか。
どんな力を身につけさせるか。
大人は、ついそう考えます。
もちろん、それも大事です。
でも、森に入ると少し見え方が変わります。
子どもは、大人が全部教えなくても、
自分で見つけます。
自分で触ります。
自分で試します。
自分で失敗します。
そして、自分でまた動き出します。
子どもは森で勝手に育つ。
これは放っておくという意味ではありません。
子どもの中にある育つ力を、森が引き出してくれるということです。
「森の幼稚園」という考え方があります。
建物の中だけが教室ではありません。
森の木々、大地、空気、水。
そのすべてを幼稚園や教室と考える。
NPOこぴすのパンフレットでも、森の幼稚園はドイツで発展し、
森林の木々・大地・空気・水などをすべて幼稚園・教室とみなし、
自然の中での体験を通して、子どもの運動能力や自立能力を
高める考え方として紹介されています。
これは、とても大切な考え方です。
子どもに自然を説明する前に、
まず自然の中に入る。
木を見上げる。
土を踏む。
枝を拾う。
虫を見つける。
根っこにつまずく。
斜面を登る。
友だちと相談する。
そこには、机も黒板もありません。
でも、学びはあります。
むしろ、体ごと学ぶ本物の時間があります。
以前、ドイツに森の幼稚園を見学に行ったことがあります。
訪ねたのは、フランクフルトから列車とバスで向かった
Waldkindergarten Lichtwiese という森の幼稚園でした。
そこでは、子どもたちが朝9時に森へ入り、
お昼までずっと森の中で過ごしていました。
雨でも雪でも森に入り、嵐の時だけ休みだと聞いたという記録も
残っています。
そして何より印象的だったのは、
子どもたちが本当に楽しそうに、好きなことをして遊んでいたことです。
木の枝に横になる子。
倒れた木の根元の穴で遊ぶ子。
雪で恐竜を作る子。
先生に本を読んでもらう子。
大人が細かく指示して動かしているのではありません。
子どもたちが、自分で森に関わっている。
そこに、森の幼稚園の本質があります。
カリキュラムがないように見えて、山そのものがカリキュラムなのです。
森には、人工的な遊具のような分かりやすさはありません。
地面は平らではありません。
木の根があります。
滑る落ち葉があります。
細い枝があります。
急な斜面があります。
思い通りにならないことがあります。
でも、それがいいのです。
山には、山のルールがあります。
走れば転ぶ。
濡れた木は滑る。
枝は折れることがある。
虫は急に飛ぶ。
天気は変わる。
友だちと助け合わないとできないことがある。
これは、大人が黒板に書いて教えるルールではありません。
子どもが自分の体で覚えるルールです。
転んだら痛い。
でも、次は足元を見る。
登れなかったら悔しい。
でも、次は別の登り方を考える。
友だちが困っていたら手を貸す。
そうすると、自分も助けてもらえる。
山のルールは、子どもを強くします。
子どもに何かを教えようとすると、
大人はつい答えを先に出してしまいます。
これはこうするんだよ。
それは危ないよ。
こっちにしなさい。
こうやって遊びなさい。
もちろん、安全のために止めなければいけないことはあります。
でも、全部を先回りしてしまうと、
子どもが自分で考える時間がなくなります。
森の中では、答えが一つではありません。
この枝は何に使えるだろう。
この穴には何がいるんだろう。
どうしたらあそこまで登れるだろう。
友だちとどうやったら一緒にできるだろう。
そうやって、子どもは自分で考えます。
大人が教え込まないから、
子どもは自分で見つけます。
大人が整えすぎないから、
子どもは工夫します。
森は、子どもの考える力を奪わない場所です。
森で育つのは、体力だけではありません。
もちろん、体は使います。
歩く。
登る。
しゃがむ。
持つ。
引っ張る。
踏ん張る。
バランスを取る。
でも、それだけではありません。
友だちと関わる力。
自分で決める力。
失敗しても戻る力。
怖いけれど一歩出る力。
小さな発見を楽しむ力。
そういうものも育っていきます。
NPOこぴすのパンフレットでは、自然の中で共に助け合い、苦労し、
笑い、感動する活動が、子どもたちのコミュニケーション能力や
自己肯定感などにも関わると説明されています。
これは、まさに森の力です。
森の中では、子どもは「できる子」「できない子」に分けられません。
虫を見つけるのが得意な子。
枝を集めるのが好きな子。
坂を登るのが得意な子。
じっと観察する子。
友だちに声をかける子。
それぞれの子が、それぞれの形で輝きます。
森は、子どもを一つの物差しで測りません。
NPO法人森林活用研究会こぴすは、
これまで林業技術者育成研修や安全講習など、
さまざまな活動を行ってきました。
でも、こぴすの原点には、やはり子どもがあります。
森を子どもたちに開くこと。
自然の中で自由に遊べる時間をつくること。
子どもが自分らしく育つ場所を守ること。
忙しさの中で、なかなか十分にできなかった部分もあります。
だからこそ、もう一度ここに戻りたいと思っています。
森が、山が、子どもを育てる活動。
それを、もう一度始めたい。
立派なカリキュラムを用意することだけが教育ではありません。
山そのものがカリキュラム。
森そのものが教室。
子どもが自分で動き出す時間そのものが学び。
こぴすが大切にしてきたのは、そういう活動です。
NPOこぴすでは、こうした活動に賛同し、
力を貸してくださる方を募集しています。
森の中で子どもたちが遊び、学び、自分らしく育っていく時間を
守ることは、子どもたちの未来を明るくする活動でもあります。
特別な技術がなくても構いません。
子どもたちを見守る。
森の整備を手伝う。
活動を知ってもらう。
応援してもらう。
一緒に考えてもらう。
その一つ一つが、子どもたちの未来につながります。
NPOこぴすのパンフレットでも、活動をより充実させるため、
市民や企業からのボランティア・寄付への協力を呼びかけています。
一緒に、森から子どもたちの未来を育てていけたら嬉しく思います。
子どもは、森で勝手に育ちます。
もちろん、大人の見守りは必要です。
安全の判断も必要です。
危ない時には止めることも必要です。
でも、大人が全部を決めなくてもいい。
森の中で、子どもは自分で見つけます。
自分で触ります。
自分で考えます。
自分で試します。
友だちと助け合います。
失敗して、またやります。
それが本当の学びです。
こどもの日に、改めて思います。
子どもに必要なのは、
管理された時間だけではありません。
自由に感じ、自由に動き、自由に発見できる場所です。
森には、それがあります。
子どもは森で勝手に育つ。
そして、その森を守り、開き、次の世代へつなげることが、
NPOこぴすの原点なのです。
「カリキュラムがないのがカリキュラム。
その言葉、すごくいいですね。
森の中では、子どもたちが自分で見つけて、自分で動いて、
自分で考える。
大人が全部教えなくても、
山のルールが子どもを育ててくれるんですね。
こどもの日に、こういう活動の意味をもう一度考えるのは、
とても大切だと思いました。」
彩ちゃんの安全物語 第34話が公開されました。
※フォレストカレッジホームページ
https://www.young-leaves.com/