

2026年10月21日
木の色は、同じ一本の木でも違っています。
丸太を輪切りにした木口を見ると、中心が赤っぽく、外側が白っぽく見えることがあります。
スギの丸太では、その違いがはっきりわかるものもあります。
「同じ木なのに、どうして色が違うのだろう?」
実は、その色の違いには、木が長い年月をかけて成長してきた仕組みが関係しています。
今日は、木の内部に目を向けてみましょう。
木の幹を横から切った断面を「木口」といいます。
その木口を見ると、中心部分と外側部分で色が異なることがあります。
一般に、内側の部分を心材(しんざい)、外側の部分を**辺材(へんざい)**と呼びます。
スギなどでは、心材を「赤身」、辺材を「白太」と呼ぶこともあります。
では、なぜ色が違うのでしょうか。
木は成長する過程で、外側に新しい木部をつくり、幹を太くしていきます。
辺材は主に水分を運ぶ役割を担っている部分です。
その一方で、内側の古い木部では、やがて水分を運ぶ働きが失われ、心材へと変化していきます。
この過程で、樹種によってさまざまな成分が蓄積し、心材の色が変わることがあります。
つまり、木の色の違いは、単なる模様ではなく、木の内部で起きてきた変化の表れなのです。
木の色を観察すると、樹種ごとの個性も見えてきます。
例えばスギ。
心材は赤褐色系、辺材は白色から淡い黄白色系のものが多く、両者の境界が比較的はっきりしています。
ところが、スギの心材がすべて同じ赤色というわけではありません。
個体によって赤みの強さが違い、黒っぽく見えるものもあります。
一方、ヒノキの心材は淡い黄褐色や淡い紅色を帯びることがあり、辺材との色の違いがスギほど目立たないものもあります。
同じ針葉樹でも、木の色の現れ方には違いがあるのです。
さらに、同じ樹種でも、成長した環境や木材中の成分、乾燥や時間の経過によって色合いが変化します。
だから、同じ山で育った木を並べても、まったく同じ色になるとは限りません。
一本一本の木が、それぞれ異なる表情を持っている。
そこが天然木の面白さでもあります。
では、心材と辺材では、色だけでなく木材の性質も違うのでしょうか。
答えは、違いがある場合が多い、ということです。
心材には、樹種によって腐朽や虫害に対する抵抗性を高める成分が含まれることがあります。
一方、辺材は水分を通す働きを担ってきた部分であり、乾燥や保存処理の際の性質も心材とは異なります。
ただし、赤身だから必ず丈夫、白太だから必ず弱い、というわけではありません。
強度や耐久性は、樹種、木材の状態、使用する環境などによって変わります。
木を使う仕事では、見た目の美しさだけでなく、その木材がどのような性質を持ち、どこに使うのが適しているのかを考えることが大切です。
例えば、柱や梁、床、壁、家具。
同じ木材でも、使う場所によって求められる性能は違います。
そのためには、木の色を見て終わりにするのではなく、木目や節、乾燥状態なども確かめる必要があります。
木の色は、木材を知るための大切な手がかりの一つなのです。
木の色には、自然がつくり出した違いがあります。
同じ一本の木でも、中心と外側で色が違う。
同じ樹種でも、育った木によって色が違う。
同じ材でも、時間の経過とともに表情が変わっていく。
工業製品のように、すべてを同じ色にそろえることはできません。
けれども、それは天然木の欠点ではありません。
むしろ、一本一本が違うことこそ、木という素材の魅力ではないでしょうか。
木材を手にしたとき、少しだけ木口を眺めてみてください。
そこには、長い年月をかけて育った木の姿が残されています。
森の木を知ることは、その木を大切に使うことにつながります。
そして、木の違いを理解することが、森の豊かさを理解する第一歩にもなるのです。
木の色の違いに気づくこと。
そんな小さな発見からも、森を見る目は少しずつ育っていきます。
「スギの木口を見ると、赤いところと白いところがありますよね。
今までは色が違うな、くらいにしか思っていませんでした。
でも、そこには木が成長してきた仕組みが隠れていたんですね。
今度から木口を見るのが、もっと楽しみになりそうです!」
※フォレストカレッジホームページ
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