

2026年7月28日
現場や講習の予定が入っていない日。
一般的には「仕事のない日」に見えるかもしれません。
しかし、森の仕事人には、そんな日にしかできない仕事があります。
チェーンソーを清掃する。
刈払機の部品を確認する。
ヘルメットやフェイスガードを見る。
壊れかけた教材を直す。
工具や交換部品を整理する。
現場がある日は、目の前の作業を安全に進めることが優先されます。
講習の日には、受講者を見ることが中心になります。
だからこそ、予定のない日に立ち止まり、道具とゆっくり向き合います。
道具を直す時間は、次の仕事を始めるための準備です。
道具は、ある日突然壊れたように見えることがあります。
しかし実際には、その前から小さな変化が出ていることがあります。
ネジが少し緩んでいる。
部品に細かなひびがある。
動きがいつもより重い。
汚れがたまっている。
コードやベルトが傷んでいる。
現場で使う直前に不具合が見つかれば、作業計画を変更しなければなりません。
予備がなければ、仕事そのものが止まります。
もっと危険なのは、異常に気づかず使い続けることです。
だから、時間に余裕がある時に点検します。
壊れた道具を直すだけでなく、壊れる前の変化を見つける。
それが整備の大切な役割です。
清掃は、見た目をきれいにするためだけではありません。
木くずや油、土、草などが付いたままでは、その下にある傷や緩みが見えません。
汚れを落とすことで、
部品の摩耗。
小さな亀裂。
ボルトの緩み。
変形。
油漏れ。
などに気づきやすくなります。
チェーンソーを清掃しながら、前回の作業も思い出します。
切れ方はどうだったか。
音に変化はなかったか。
始動はいつも通りだったか。
扱いにくさはなかったか。
道具をきれいにすることは、道具が出していた小さな合図を確かめることでもあります。
道具というと、機械や工具ばかりを思い浮かべます。
しかし、ヘルメット、イヤーマフ、フェイスガード、手袋、防護ズボンも大切な道具です。
ヘルメットに大きな傷はないか。
フェイスガードはきちんと動くか。
イヤーマフの部品は傷んでいないか。
手袋に穴はないか。
防護ズボンに破れはないか。
現場へ出る朝は、時間が限られています。
そこで初めて故障に気づくより、仕事のない日に確認しておいた方が安心です。
安全装備は、身につければ必ず守ってくれるものではありません。
正しく使える状態に保たれていて、初めて力を発揮します。
講師にとっては、チェーンソーや刈払機だけが道具ではありません。
写真。
模型。
実習用の木材。
災害事例の資料。
説明用の部品。
受講者に見せる練習教材。
これらも大切な仕事道具です。
何度も使えば、教材も傷みます。
部品が外れる。
表示が見えにくくなる。
説明しにくい形になる。
実際の機械と合わなくなる。
仕事のない日に教材を直しながら、
「もっと分かりやすく見せられないか」
「初心者が間違えやすい部分を強調できないか」
と考えます。
修理は、元の状態へ戻すだけではありません。
次の講習を、前回より分かりやすくする時間でもあります。
道具を使うだけでは、見えないことがあります。
外す。
清掃する。
部品を比べる。
組み直す。
動きを確かめる。
そうすることで、道具の仕組みが見えてきます。
なぜこの位置に部品があるのか。
どこへ負担がかかるのか。
どの部分が摩耗しやすいのか。
どの状態になると危険なのか。
自分で直せない部分もあります。
専門的な修理が必要な場合は、無理に分解せず、整備を依頼する判断も必要です。
大切なのは、何でも自分で直すことではありません。
道具の状態を理解し、自分で対応できる範囲を知ることです。
古くなったからといって、すぐにすべてを捨てるわけではありません。
安全に使用できない機械を、現場へ戻してはいけません。
しかし、動かなくなった道具でも、
内部構造を見せる教材。
部品の違いを説明する見本。
故障箇所を学ぶ教材。
として使えることがあります。
長く使った道具には、その道具が働いてきた跡があります。
どこが傷みやすいのか。
どんな使い方で摩耗するのか。
手入れを怠るとどうなるのか。
新品だけでは伝えられないことがあります。
古い道具を安全に役立てる工夫も、仕事人の知恵です。
整備が終わり、道具が決められた場所へ戻る。
必要な部品がそろっている。
安全装備も確認できている。
教材も使える状態になっている。
そうすると、次の仕事の朝が変わります。
慌てて探さない。
不具合に驚かない。
不足した部品を急いで買いに行かない。
落ち着いて現場へ向かえる。
安全な仕事は、現場での注意だけで作られるものではありません。
仕事のない日に行った、小さな整備の積み重ねが支えています。
森の仕事人が、仕事のない日に道具を直すのは、暇だからではありません。
次の現場を安全に始めるためです。
汚れを落とす。
小さな異常を見つける。
安全装備を確認する。
教材を直す。
必要なら専門家へ修理を依頼する。
道具を使う日だけが、森の仕事ではありません。
道具を休ませ、整え、次に備える日もあります。
仕事のない日に道具を直す時間が、次の仕事の安全を作っている。
人が道具を大切にすれば、道具もまた、長く人の仕事を支えてくれます。
「仕事のない日は、道具もそのまま休ませるのだと思っていました。
でも、時間に余裕がある日だからこそ、汚れを落とし、小さな異常を見つけ、次の仕事に備えられるんですね。
道具を直すことは、壊れたものを元へ戻すだけではない。
次の現場を安全に始めるための、大切な仕事なんだと思いました。」
※フォレストカレッジホームページ
https://www.young-leaves.com/