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早稲田大学建築学科の学生が来社|長瀞町の森林・間伐・林地残材を考えるヒアリング調査

2026年5月8日

早稲田大学建築学科の学生が来社

長瀞町の森林・間伐・林地残材を

考えるヒアリング調査

 

はじめに

本日、早稲田大学 創造理工学部 建築学科4年の学生さん4名が、フォレストカレッジにヒアリング調査のため来社されました。

お越しいただいたのは、
市川 真帆さん、野々山 咲希さん、原田 真里さん、平田 唯依子さんの4名です。

 

今回の調査は、早稲田大学建築学科の「設計演習F」という授業における、

「観光ではないまちづくり:平地と中山間地の結節点における新たな公共性の提案 ―埼玉県秩父郡長瀞町―」

という課題研究の一環として実施されたものです。

長瀞町というと、一般的には観光地としてのイメージが強い地域です。
ライン下り、岩畳、宝登山、桜、紅葉。
多くの人が「見る場所」「訪れる場所」として長瀞を思い浮かべると思います。

しかし、今回の学生さんたちのテーマは、単なる観光ではありません。
長瀞町を含む秩父地域の森林、間伐、林地残材、そして地域の暮らしや公共性をどのようにつなげるかという、非常に大切な視点からのヒアリングでした。

 

 


長瀞町と森の話

ヒアリングでは、まず長瀞町を含む秩父地域の森林についてお話ししました。

長瀞町だけでなく、秩父地域全体は埼玉県内でも森林資源が豊かな地域です。
間伐は現在も行われていますが、単に「木がある」「森がある」というだけでは、森林は地域の力にはなりません。

山に木があっても、そこから木を出す人がいなければ活用できません。
運ぶ人、加工する人、使う人、買う人がつながって初めて、森林資源は地域の中で生きてきます。

学生さんたちには、

「山の問題は、山の中だけでは解決しない」

という話もしました。

これは林業の現場にいると、本当に強く感じることです。
木材価格の問題、所有者の高齢化、搬出コスト、林地残材、地域の担い手不足。
どれも山の中だけで考えていては解決できません。

町の中に木を使う場所があること。
木に触れる人がいること。
木を運ぶ仕組みがあること。
そして、山に関心を持つ人が増えること。

その一つひとつが、森林を動かす力になります。

 


間伐材と林地残材の活用

今回のヒアリングでは、間伐材や林地残材についても質問がありました。

間伐材は、状態が良ければ建築材、土木用材、杭、薪、チップ、バイオマス燃料などに活用できます。
しかし、細い材、曲がった材、枝葉、搬出しにくい場所にある材は、どうしても山に残されやすくなります。

いわゆる林地残材です。

ただし、林地残材は「いらない木」ではありません。
使い方を考えれば、立派な地域資源になります。

フォレストカレッジでは、間伐材を使ってログハウス、ログテーブル、ログベンチ、丸太の小物などを作ってきました。
また、ヒノキやスギの枝葉を使った精油づくり、細い枝や端材を活かしたロケットストーブづくり、薪利用などにも取り組んできました。

木は、まっすぐできれいな材だけが価値を持つわけではありません。
曲がり、節、太さの違い、香り、手触り。
そうした一つひとつが、その木の個性です。

問題は「木があるかどうか」ではなく、
「その木をどう使うか」
です。

 


森のようちえんと、山全体を教材にする考え方

ヒアリングでは、NPO法人森林活用研究会こぴすの活動についてもお話ししました。

こぴすでは、森のようちえんや森林療育、バリアフリーの森づくりなど、山そのものに価値を見出す活動を行ってきました。

森のようちえんでは、建物の中だけを教室とは考えません。
森の木、大地、空気、水、虫、鳥の声、落ち葉、斜面、木の根。
それらすべてが教材になります。

整備されすぎた公園ではなく、本来の山をそのまま使う。
そこには、人工的な遊具では得られない学びがあります。

子どもたちは、森の中で転びます。
枝を拾います。
虫を見つけます。
坂を登ります。
落ち葉で滑ります。
時には怖がり、時には笑い、時には自分で工夫します。

その体験の中で、身体感覚、危険を察知する力、仲間と協力する力、自分で判断する力が育っていきます。

山は、木材を生産する場所であると同時に、人を育てる場所でもあります。

 


私が長瀞町で育った話

今回は、私自身が長瀞町で育ったこともあり、子どもの頃に森で遊んだ話もしました。

昔の子どもにとって、山や川は特別なイベント会場ではありませんでした。
日常の遊び場でした。

木に登る。
川で遊ぶ。
山道を歩く。
落ちている枝を拾う。
秘密基地を作る。
危ない場所を覚える。
どこまで行くと帰れなくなるか、体で覚える。

今考えると、それはとても大きな学びでした。

もちろん、今の時代にそのまま同じことをすればよいという話ではありません。
しかし、自然の中で自分の体を使い、自分の頭で考え、自分の感覚で危険を知る経験は、今の子どもたちにも必要だと思います。

森林をまちづくりに活かすということは、観光地として人を呼ぶことだけではありません。
地域の子どもたちが自然と関わる場所を残すこと。
高齢者や障害のある方も森に入れるようにすること。
木を使うことで山を守ること。
地域の人が、山ともう一度つながること。

そこに、これからの「観光ではないまちづくり」のヒントがあるのではないでしょうか。

 


おわりに

今回来社された4名の学生さんたちは、非常に熱心に話を聞いてくださいました。
質問も具体的で、長瀞町や秩父地域の森林を、単なる景観や観光資源ではなく、地域の暮らしや公共性の中でどう位置づけるかを真剣に考えていることが伝わってきました。

若い世代が、森林や中山間地域の課題に関心を持ってくれることは、本当にありがたいことです。

林業の現場にいると、どうしても目の前の作業や課題に追われます。
しかし、学生さんたちのような外からの視点が入ることで、私たち自身も改めて地域の森林の価値を見直すきっかけになります。

山は、伐るだけの場所ではありません。
守るだけの場所でもありません。
使い、学び、育ち、つながる場所です。

今日のヒアリングが、学生さんたちの研究や提案に少しでも役立てば嬉しく思います。

市川さん、野々山さん、原田さん、平田さん、
本日は遠いところお越しいただき、ありがとうございました。

 

※フォレストカレッジホームページ
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