

2026年5月12日
先週は、NPOこぴすの原点として、
子どもと森、森の幼稚園、バリアフリーの森を見てきました。
森は、子どもを育てる場所です。
でも、それは子どもだけの話ではありません。
大人になっても、人はまだ育ちます。
森に入ると、見る力、待つ力、判断する力、助けを求める力が問われます。
今週は、
森で育つ力は、大人にも必要だ
というテーマで、林業の魅力を見ていきます。
森の中を歩いていると、いろいろな木に出会います。
まっすぐ空へ伸びる木。
少し曲がって伸びる木。
根元で大きくうねる木。
途中で枝を張り出す木。
倒れかけても、そこからまた上へ伸びる木。
木を見る時、私たちはつい、
まっすぐな木を「良い木」と見てしまうことがあります。
もちろん、木材として見れば、
まっすぐな木には大きな価値があります。
柱や梁に使いやすい。
製材しやすい。
歩留まりも良い。
林業や木材利用の面では、まっすぐ育った木はとても大切です。
でも、森の中で生きる木の強さは、
まっすぐかどうかだけでは測れません。
風に耐える。
雪に耐える。
日陰で光を探す。
斜面で根を張る。
倒れかけても、また上を向く。
そういう木も、確かに強いのです。
まっすぐな木だけが、強いわけではありません。
森の中で曲がった木を見ると、
「どうしてこんな形になったのだろう」
と思うことがあります。
そこには、多くの場合、理由があります。
斜面で育った。
雪の重みを受けた。
風の強い場所だった。
近くに大きな木があり、光を求めて曲がった。
一度傷ついたあと、そこからまた伸びた。
木は、自分で場所を選べません。
生えた場所で、
与えられた条件の中で、
どうにか光を受け、根を張り、生きていきます。
その結果として、形が生まれます。
まっすぐではない木は、
ただ曲がっているのではありません。
その場所で生きてきた履歴を、体に刻んでいるのです。
人は、形のきれいなものを評価しがちです。
まっすぐ。
整っている。
無駄がない。
見た目がよい。
もちろん、それも一つの価値です。
しかし、森の中では、
見た目だけでは判断できない強さがあります。
たとえば、根です。
地上に見える幹が少し曲がっていても、
根がしっかり張っている木があります。
風で揺れても倒れない。
斜面に踏ん張る。
雨のあとも土をつかむ。
そこには、見えない強さがあります。
また、枝の張り方にも意味があります。
光を受けるために広がる。
風を逃がすように伸びる。
周囲の木との関係の中で、場所を見つける。
木の強さは、見た目の姿だけでは分かりません。
本当の強さは、環境の中で生き続ける力にあります。
曲がるというと、
弱いように感じるかもしれません。
でも、自然の中では、曲がれることが強さになることがあります。
風を受けて、少ししなる。
雪の重みを受けて、耐える。
障害物を避けて、別の方向へ伸びる。
倒れかけても、そこから上を向く。
固すぎるものは、折れることがあります。
一方で、しなやかなものは、
力を受け流しながら残ることがあります。
これは、人にも通じます。
何があっても絶対に曲がらない。
自分のやり方だけを通す。
予定通りでなければ動けない。
それは強さに見えて、
現場では危うさになることもあります。
林業の現場でも同じです。
風が変われば判断を変える。
足場が悪ければやり方を変える。
体調が悪ければ無理をしない。
危ないと思えば一度引く。
しなやかに変われる人は、現場で強い人です。
子どもも、大人も、
全員が同じようにまっすぐ育つわけではありません。
早く伸びる人。
遠回りする人。
一度止まる人。
失敗してから伸びる人。
人より時間がかかる人。
違う方向に枝を伸ばす人。
それでいいのだと思います。
大事なのは、同じ形になることではありません。
その人が、どんな環境の中で、
どう根を張り、
どう光を探し、
どう立ち続けているか。
そこを見ることです。
まっすぐに見えない成長にも、意味があります。
遠回りしたから見えるものがあります。
失敗したから身につくものがあります。
曲がったから折れずに済んだこともあります。
人の成長も、木と同じで、形だけでは判断できません。
林業では、木をただ眺めるだけではありません。
その木がどう育ったのか。
どちらへ重心があるのか。
どこに力がかかっているのか。
どんな癖があるのか。
木の形を見て、そこから判断します。
まっすぐな木には、まっすぐな木の読み方があります。
曲がった木には、曲がった木の読み方があります。
曲がっているから悪い。
傾いているから駄目。
そう単純には言えません。
むしろ、その形に意味があるからこそ、
よく見る必要があります。
林業の現場では、
木の形を読むことが安全につながります。
そして、木の形を読む目は、
人を見る目にもつながっていくように思います。
形だけで決めつけない。
その背景を見る。
これは森が教えてくれる大切な見方です。
まっすぐな木は美しい。
それは確かです。
木材としての価値もあり、
人の暮らしを支える大切な存在です。
でも、森の中には、
まっすぐではない木もたくさんあります。
曲がった木。
斜面に踏ん張る木。
枝を大きく張る木。
一度傷ついても伸びている木。
それらもまた、その場所で生き続けてきた木です。
強さとは、形のきれいさだけではありません。
環境に合わせる力。
折れずに残る力。
必要な時に曲がれる力。
もう一度上を向く力。
そういうしなやかさも、強さです。
大人になっても、人は森で育ちます。
森の木々を見ていると、
自分の成長もまた、まっすぐでなくていいのだと思えてきます。
まっすぐな木だけが、強いわけではない。
森は、そんな静かな励ましをくれる場所です。
「まっすぐな木だけが強いわけではないんですね。
曲がった木にも、斜面で踏ん張った木にも、
ちゃんとそこで生きてきた理由がある。
人も同じなのかもしれません。
早く伸びる人も、遠回りする人も、
途中で曲がりながら育つ人もいる。
大事なのは、形だけで見ないことなんですね。
森を見る目が、少し変わった気がします。」
彩ちゃんの安全物語 特別編が公開されました。
※フォレストカレッジホームページ
https://www.young-leaves.com/