2025年10月8日
林業の魅力シリーズ第331弾
下刈鎌(したがりがま)──
林業の足元を支える名脇役
林業の現場で最も地味で、
しかし最も欠かせない道具のひとつ──
それが「下刈鎌」です。
植えた苗木が雑草に覆われないように草を刈り、
成長の場を整える。
大きな機械よりもずっと静かに、
森の“基礎”を支えている存在です。
下刈鎌とは?
「下刈り」とは、植林した苗木のまわりに生える雑草や
低木を刈る作業。
そのときに使うのが「下刈鎌(したがりがま)」です。
鎌の形状は地域や作業内容によってさまざま。
刃がカーブしているもの、柄が長いもの、
軽量タイプなど多彩です。
彩ちゃん:「この鎌、鎖の刃みたいにギザギザしてますね!」
校長先生:「それは“草の根を逃がさない”ための工夫なんだ。
見た目は地味でも、刃の角度や厚みには職人の知恵が
詰まってるんだよ。」
素材と進化
昔は鍛冶職人が一本一本手打ちで仕上げていました。
今はステンレスやチタン製など、
軽くて錆びにくい素材も登場。
それでも、現場のベテランは言います。
「いい鎌は“音”でわかる」と。
彩ちゃん:「音で?」
校長先生:「そう、草を刈る“スパッ”という音が軽やかだと
刃の通りがいい。音で道具の機嫌を感じ取れるようになると
一人前だよ。」
足元を支える技
下刈りは“苗木を育てるための第一歩”。
真夏の炎天下、斜面で鎌を振るう姿は、
林業の忍耐と誇りの象徴です。
鎌が滑らかに動くとき、
森の未来がひとつ息を吹き返します。
彩ちゃん:「派手じゃないけど、
いちばん大事な仕事かも…」
校長先生:「そうだね。
森づくりは“刈る人”がいてこそ成り立つんだ。」
チェーンソーや重機が主役になりがちな
現代の林業ですが、
実は“鎌一本”が未来の森を支えています。
下刈鎌──それは、静かに働き、
確実に森を守る名脇役。
今日もどこかで、誰かが草を刈りながら、
次の100年の森を育てているのです。
note連載「彩ちゃんの安全物語」更新情報
2025年10月1日、第5話を公開しました!
『私のチェーンソーが、木を切った──』
自分で整備したチェーンソーで伐倒に挑戦する彩ちゃん。
これまでの学びがつながる“成長の瞬間”をぜひご覧ください。
https://note.com/forestcollege/n/n09fdec217e61
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