

2025年8月15日
林業の魅力シリーズ第296弾
センス・オブ・ワンダー|
自然との出会いが人生を変える瞬間-
レイチェル・カーソンのまなざし
金曜日の林業の魅力シリーズは、
自然や森にまつわる1冊の本を紹介する日です。
今回ご紹介するのは、かつて第86弾で『沈黙の春』を取り上げた
レイチェル・L・カーソンによるもう一つの名著、
『センス・オブ・ワンダー』。
科学者であり、詩人のような感性を持つ彼女が語った
「自然との出会いが人生を変える瞬間」は、
今を生きる私たちの心にも深く響きます。
1. レイチェル・カーソンという人
レイチェル・カーソンは、環境運動の母とも呼ばれる
アメリカの海洋生物学者・作家。
彼女が1962年に発表した『沈黙の春』は、
農薬による自然破壊の危険を訴え、
世界的な環境保護意識を喚起しました。
その彼女が生前に唯一遺したエッセイが、
この『センス・オブ・ワンダー』です。
2. 「センス・オブ・ワンダー」とは何か
この本の核心にあるのは、
“ワンダー(驚き・感動・不思議さ)”という感覚の大切さです。
自然の中で風に揺れる木々を見上げる、夜空を見つめる、
川のせせらぎに耳を澄ます・・
そうした瞬間に人が感じる“ことばでは表せない感動”こそが、
人生の豊かさを育てるとカーソンは語ります。
「子どもに知識を教えるよりも、
驚きの心を失わせないことが大切だ」-本文より
この言葉は、林業や森林教育に携わる者にも、
大きな気づきを与えてくれます。
3. 森林とワンダー──林業者にとっての視点
林業は、山に入り、木を見て、森と向き合う仕事です。
技術や理屈だけでなく、“森を感じる感性”が必要です。
本書の「ワンダーの心」は、
木のねじれを見抜き、葉の音の違いに気づく力、
森の小さな変化に反応できる感覚と通じます。
また、子どもたちに森林の魅力を伝える立場としても、
この本が語る「自然との出会いの美しさ」は
非常に重要な示唆を含んでいます。
4. 森と人をつなぐ1冊として
『センス・オブ・ワンダー』は、科学の知識ではなく、
自然と人との感情のつながりを描いた、心に沁みる1冊です。
ページ数も少なく、言葉もやさしく、
どんな年齢の方でも読みやすい名作。
森や自然に関わるすべての人に、
「感性を取り戻す時間」を与えてくれる本だと思います。
『センス・オブ・ワンダー』は、
自然と人間の間にある“感覚”の橋を思い出させてくれる本です。
木を伐る人も、森を歩く人も、草を触る人も、
空を見上げる人も-すべての人にとって、
自然との関係は数字ではなく、心の動きから始まる。
そんな“原点”に立ち返るきっかけとなる一冊として、
心からおすすめします。
※フォレストカレッジホームページ
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