

2025年8月1日
林業の魅力シリーズ第287弾
『「広葉樹の国フランス」に学ぶ』再訪
-門脇仁氏の思想にふれる
「広葉樹の国フランス」に学ぶ-この一冊を第238弾で紹介してから、
多くの方から反響をいただきました。
そして何より、著者である林業研究者・門脇仁氏ご本人から
ご連絡をいただいたことは、私たちの活動に大きな励みとなりました。
さらに明日、門脇氏がわざわざ当校の見学にいらっしゃることになり、
ここであらためて本書の魅力、そしてその根底にある氏の思想について
再び深掘りしたいと思います。
適地適木と「森の品格」
門脇氏が重視するのは、「適地適木」の思想です。
これは「どこにでも好きな木を植える」のではなく、
「その土地が本来もつ生態的な力を読み解き、それに見合う木を選ぶ」という考え方。
環境への尊重が前提にあり、持続可能性の本質を突く理念です。
本書では、フランスの森に見られる多様な広葉樹林の手入れの知恵や、
地域と林業のバランスのとれた関係を紹介しています。
そしてこれが、林業を「産業」から「文化」へと昇華させている点が
本書の最大の魅力です。
本を超えた交流のはじまり
今回の再訪には、もう一つの意味があります。
それは「本と現場の対話」-
つまり、著者と読者、思想と実践、研究と現場との橋渡しです。
門脇氏のように、書籍のなかで示された理念を、
現場で確かめたいという気持ちを持つ研究者とつながることができるのは、
私たちにとって大きな学びの機会です。
明日の出会いを前にして、あらためて本を読み返し、
その核心にある「森の尊厳」というメッセージを噛み締めています。
私たちの林業にも“フランス的な知恵”を
日本の林業が、より豊かな方向に進むためには
「数字」や「効率」だけでなく、
「対話」「文化」「多様性」を柱に据える必要があります。
門脇氏の思想はその大きなヒントを与えてくれます。
この再紹介を通じて、一人でも多くの方に、
森との向き合い方を問い直すきっかけになればと願っています。
※フォレストカレッジホームページ
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