

2026年9月27日
チェーンソー組付けをテーマに、2026年9月27日(日)、令和8年度埼玉県林業技術者育成研修Day20を実施しました。
参加者は5名。
昨日のDay19では、STIHL MS210をキャブレター、クラッチ、フライホイール、そしてエンジン本体まで分解しました。
今日はいよいよ組付けです。
……と言いたいところですが、組付ける前にやることがあります。
徹底的な清掃です。
昨日まで内部に隠れていた汚れやカーボン、古いガスケットなどをきれいに取り除き、部品の状態を確認してから組付けへ進みます。
そして今日は、もう一つ大切なことを学ぶ日になりました。
無理だと思ったら、止めること。
予定どおりに進まなかったからこそ、忘れにくい一日となりました。
今日も恒例の表情体操からスタートです。
Day20まで続けてくると、研修生にも変化が見えてきました。
最初の頃は人前に立つだけでも緊張していましたが、今では前へ出ても堂々と話せるようになってきました。
技術だけではなく、
人前で話す。
仲間へ伝える。
自分から動く。
こうした力も、将来指導する立場になったときには必要です。
研修の積み重ねは、こんなところにも表れてきます。
作業台には、昨日分解したMS210の部品が並びます。
しかし、すぐに組み始めるわけではありません。
まず、組付け時の注意点を確認しました。
分解は外していけば進みます。
ところが組付けは、
どの部品が先か。
向きは合っているか。
どのスクリューを使うのか。
締め付け方は正しいか。
一つ間違えると、その先へ進めなくなります。
そして何より、
汚れたまま組まないこと。
まずは、組付けできる状態まで部品をきれいにします。
昨日は、エンジンまで取り外しました。
今日は、チェーンソー組付けに備え、部品一つひとつを確認しながら清掃します。
シリンダーフィンに詰まった汚れ。
ピストンに付着したカーボン。
シリンダーやクランクケースに残ったガスケット。
キャブレター内部。
普段の清掃では手が届きにくい場所まで、分解した今だからこそきれいにできます。
チェーンソーを分解する目的は、単に構造を見ることだけではありません。
分解したからこそ確認できる場所を点検し、整える。
これも大切な整備技術です。
取り外したピストンを見ると、ヘッド部分にはカーボンが付着していました。
せっかくここまで分解したのですから、きれいにします。
カーボンの状態を見ることは、これまでエンジン内部で何が起きていたのかを知る手がかりにもなります。
ただ外して、また戻すのではありません。
外した部品を観察する。
状態を確認する。
必要な清掃をする。
そこまでやって初めて、分解する意味が出てきます。
続いて、シリンダーとクランクケースです。
接合部分に残っている古いガスケットなども丁寧に取り除きます。
新しく組み付ける前に、接合面をきれいな状態へ戻す。
ここで雑に済ませれば、組み上げた後の不具合につながる可能性があります。
組付けというと、
「部品を元に戻す作業」
と考えがちです。
しかし実際には、
正しく戻せる状態をつくることから組付けは始まっています。
今日、最も伝えたかったことの一つです。
清掃が終わり、いよいよチェーンソー組付けへ進みます。
ここで研修生が挑戦したのが、ピストンをシリンダーへ入れる作業です。
ピストンにはピストンリングがあります。
リングを正しい位置に合わせ、慎重にシリンダーへ入れていかなければなりません。
ピストンリングの合口位置を正しく合わせる。
リングをきちんと縮める。
そしてシリンダーへ少しずつ入れていく。
エントリーモデルではシリンダー入口が入りやすい形状になっているものもありますが、それでも初めて行う研修生には簡単ではありません。
ここで今日の大きな出来事が起こりました。
ピストンをシリンダーへ入れる練習中、ピストンリングを1本破損してしまいました。
そのため、本日の組付けはここで断念。
翌週へ持ち越すことになりました。
予定どおり組み上がらなかった。
それだけを見ると「失敗」に見えるかもしれません。
しかし、今日の研修で一番大切な教材になったのは、むしろこの場面でした。
機械整備では、
「もう少し押せば入るかもしれない」
「力を入れれば何とかなる」
という瞬間があります。
そこで大切なのが、
違和感を感じたら止めること。
入りにくいのには理由があります。
位置が合っていないのか。
向きが違うのか。
部品が引っ掛かっているのか。
力を加える前に、一度止めて原因を考える。
機械は、力で説得してはいけません。
今日、特に確認したのがピストンリングの位置です。
ピストンリングは、ただ溝へ入れておけばよいわけではありません。
ピストン側の位置決め部分に合わせて、リングの合口を正しい位置へセットします。
位置がずれた状態で無理にシリンダーへ押し込めば、リングを傷めたり破損させたりする原因になります。
つまり、
「入らないから押す」のではなく、
「なぜ入らないのかを見る」。
この考え方はチェーンソー整備だけではありません。
現場のさまざまな仕事にも通じます。
今日はキャブレターについても、さらに踏み込んで学びました。
キャブレタークリーナーを使って清掃し、内部の構造やメタリングダイヤフラム側についても確認しました。
Day19でキャブレターを「外す」ことは経験しました。
Day20では、
外した部品をどう見るか。
どう清掃するか。
どこを確認するか。
へ、一段深く進みます。
分解と組付けを経験することで、これまで「一つの部品」に見えていたキャブレターの中にも、さらに細かな仕組みがあることが分かってきます。
今日の予定は、MS210を清掃し、チェーンソー組付けを完成させることでした。
しかし、完成までは到達できませんでした。
ピストンリングを破損し、作業は翌週へ持ち越しです。
だからといって、この一日が無駄だったわけではありません。
むしろ、
組付け前には徹底して清掃すること。
部品には正しい位置と向きがあること。
違和感があったら、いったん止まること。
力任せに進めないこと。
実際に経験したからこそ、強く記憶に残ることがあります。
うまくいった作業だけが研修ではありません。
うまくいかなかった理由を考え、次に同じことを繰り返さない。
そこにも大きな学びがあります。
昨日、調子よく動いていたMS210を自分たちで分解しました。
今日、徹底的に清掃し、組付けを開始しました。
しかし、ゴールまでは届きませんでした。
次回10月3日(土)、Day21。
チェーンソースキルアップ「チェーンソーの組付け」を続けます。
新しいピストンリングを用意し、もう一度組付けへ挑戦。
そして最後に待っているのは、
エンジン始動です。
分解前には絶好調だったMS210。
果たして、研修生たちの手でもう一度エンジンを目覚めさせることができるのか。
物語は、もう一週続きます。
うまくいかないときに力で押し切らず、止まり、原因を考え、やり直せる技術者へ。
チームビギナー2026は、「失敗」も次の技術へ変えていきます。
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