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林業の魅力シリーズ

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霜降の日に考える|森の木は冬支度をどう始めるのか

2026年10月23日

林業の魅力シリーズ 第553弾

はじめに|霜降の日、森は冬へ向かい始める

 

霜降(そうこう)は、秋が深まり、冬の気配を感じる頃を表す二十四節気の一つです。

朝、森に入ると、空気が少しひんやりと感じられる季節になってきました。

夏には青々としていた広葉樹の葉も、少しずつ黄色や赤色に変わっていきます。

足元には落ち葉。

枝先には、これから寒い季節を迎えるための小さな芽。

森の景色は、静かに変わり始めています。

でも、ここで一つ疑問が生まれます。

「木は、どうやって冬が近づいていることを知るのだろう?」

人間には暦があり、天気予報もあります。

けれども、木にはカレンダーがありません。

それでも、毎年季節に合わせて姿を変えています。

今日は霜降の日に、そんな森の木々の冬支度について考えてみましょう。

 


霜降の森で冬芽を観察する彩ちゃん。紅葉する落葉樹と緑を保つスギやヒノキから、木の冬支度の違いを学ぶ風景。

 


Ⅰ.霜降を待たずに始まる、木の冬支度

木は、霜降になったから突然冬支度を始めるわけではありません。

実は、もっと前から準備を進めています。

大切な手がかりの一つが、日の長さです。

夏至を過ぎると、少しずつ昼の時間が短くなっていきます。

秋になると気温も下がり始めます。

多くの樹木は、こうした日長や気温の変化に応じて、成長の進め方を変えていきます。

春から夏に伸びていた枝も、やがて伸長を止め、次の季節に備えます。

その代表的なものが「冬芽(ふゆめ)」です。

冬芽は、翌年に伸びる葉や枝、花などのもとになる芽です。

樹種によっては夏のうちから形成が始まり、秋には冬を越すための姿が整ってきます。

小さな芽の中には、次の春の準備がすでに進んでいるのです。

森の木は、冬が来てから備えるのではなく、季節の変化を感じながら少しずつ準備しています。

人間にはなかなか気づかないほど静かな変化ですが、木の中では大切な働きが続いているのです。

 


Ⅱ.霜降の頃、葉が色づき落ちる理由

秋の森で最も目立つ変化といえば、紅葉でしょう。

緑色だった葉が、黄色や赤色に変わっていきます。

美しい景色ですが、これは単なる色の変化ではありません。

木が寒い季節に備えている姿でもあります。

葉の緑色には、光合成に関わる「葉緑素(クロロフィル)」が関係しています。

秋になり、葉緑素が分解されていくと、もともと葉に含まれていた黄色い色素が目立つようになります。

また、カエデなどでは赤い色素がつくられ、鮮やかな紅葉になることがあります。

落葉樹は葉の中にある利用可能な養分を回収しながら、やがて葉を落としていきます。

では、なぜ葉を落とすのでしょうか。

冬は気温が低くなり、水分を吸い上げにくい時期でもあります。

そんな季節に大きな葉をつけ続けることは、水分を失う原因になります。

そこで多くの落葉樹は、葉を落とし、寒い時期を乗り越えるのです。

落葉は、木が弱っているから起きるのではなく、冬を生き抜くための大切な仕組みです。

華やかな紅葉の向こうには、木の生命を守る働きが隠れているのです。

 


Ⅲ.霜降を迎えても、緑を保つスギとヒノキ

では、スギやヒノキはどうでしょうか。

秋になっても、葉は緑色を保っています。

カエデやケヤキのように、秋にすべての葉を落とすわけではありません。

スギやヒノキは、常緑針葉樹です。

常緑樹といっても、葉が永久に落ちないわけではありません。

古い葉を少しずつ落とし、新しい葉へと更新しています。

では、冬の間も夏と同じように活動しているのでしょうか。

そうではありません。

スギやヒノキも、季節に応じて生理的な活動を変化させています。

気温が低くなると、光合成などの働きは条件によって低下します。

常緑針葉樹の中には、寒い時期に吸収した光のエネルギーを熱として逃がし、葉を守る仕組みを持つものもあります。

葉を落とす木。

葉を残す木。

冬の越し方は違っても、どちらもその環境に適応しながら生きています。

同じ森の中でも、木の冬支度にはそれぞれの方法があるのです。

 


おわりに|霜降の日、木の小さな変化を見つける

霜降という言葉には、霜が降り始める頃という意味が込められています。

しかし、10月23日になれば、必ず霜が降りるわけではありません。

暖かい地域もあれば、すでに寒さが厳しくなっている山もあります。

木々の変化も同じです。

早く葉を色づかせる木。

まだ緑の葉を残している木。

すでに冬芽を整えている木。

同じ季節でも、木の種類や育つ場所によって、その姿は違います。

だからこそ、森を歩く楽しさがあります。

カレンダーに書かれた季節だけでなく、目の前の木が教えてくれる季節にも気づいてほしいと思います。

葉の色を見る。

枝先の小さな芽を見つける。

足元の落ち葉に目を向ける。

そんな小さな観察から、森を見る目は少しずつ変わっていきます。

木は、冬になるとすべての活動を止めてしまうわけではありません。

寒い季節を生き抜き、次の春を迎えるための準備を進めています。

霜降は、森が静かになる日ではなく、木々の命の営みに目を向ける節目なのかもしれません。

森で働く。未来を育てる。

森の木々が季節に合わせて生き方を変えていくように、私たちも自然の変化を知り、その営みを大切にしていきたいものです。

森を理解することは、森とともに生きる未来を考えることにつながっているのです。

 


彩ちゃんのひとこと

「木の冬支度って、寒くなってから始まるものだと思っていました。

でも、冬芽はもっと早くから準備されているんですね。

葉を落とす木もあれば、緑の葉を残す木もある。

同じ森なのに、それぞれ違う方法で冬を迎えているなんて面白いです。

今度森へ行ったら、紅葉だけでなく、枝先の小さな冬芽も探してみたいと思います!」

 

 


note更新のお知らせ(10月21日更新)

彩ちゃんの安全物語58話

『その明るさ、まだ作業できると思っていないか?』

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