

2026年8月12日
林業を仕事にしていると、山へ入った時の見え方が変わります。
木を見ると、
太さはどうか。
混み具合はどうか。
枝はどこまで残っているか。
間伐は必要か。
地面を見ると、
作業道は通せるか。
斜面は急ではないか。
水はどちらへ流れているか。
そんなことを、いつの間にか考えています。
仕事だから当然です。
でも時々思います。
今日は、何も考えずに山を見てもいいのではないか。
山が好きで林業の仕事へ入った人でも、経験を積むほど見る目は細かくなります。
「あの森は混んでいるな」
「あそこは手が入っている」
「あの斜面は作業しにくそうだ」
ただ「きれいだな」と思えばよかった景色を、いつの間にか分析しています。
それは悪いことではありません。
むしろ、山を深く知るようになった証拠でもあります。
ただ、仕事の目ばかりになると、最初に山を好きになった気持ちを忘れてしまうことがあります。
だから、たまには仕事の目を休ませます。
山へ行くからといって、いつもチェーンソーやヘルメットを持っていく必要はありません。
今日は仕事ではない。
そんな日は、道具を置いて出かけます。
山道を走る。
少し車を止める。
森の匂いを感じる。
風の音を聞く。
それだけです。
「この木をどうするか」
「この森をどう整えるか」
を考えない。
ただ、
「今日は気持ちがいいな」
と思う。
林業を仕事にしていても、山は仕事場だけではありません。
好きな場所でいてもいいのです。
森の仕事人日記なら、やはりジープの話も外せません。
山道を走る車はいろいろありますが、ジープには少し独特の楽しさがあります。
舗装された道路から山道へ入る。
窓の向こうに木が近づく。
道が細くなる。
町の音が遠くなる。
目的地を決めず、
「今日はこの辺まで行ってみようか」
という日もあります。
仕事なら時間も目的も必要です。
でも休日なら、途中で気になる場所を見つけたら止まればいい。
山を仕事にしない日は、目的地より途中の時間が楽しいのかもしれません。
山へ行ったからといって、何か特別なことをしなくてもいいと思います。
登頂しなくてもいい。
長い距離を歩かなくてもいい。
たくさん写真を撮らなくてもいい。
少し景色のよい場所で車を止める。
椅子を出す。
コーヒーを飲む。
風を見る。
それだけでも十分です。
普段は仕事の段取りを考え、研修のことを考え、次の講習の準備を考えています。
だからこそ、
何もしない時間を予定に入れる。
そんな日があってもいいのだと思います。
仕事をしていると、何もしない時間をもったいなく感じることがあります。
この時間で何かできたのではないか。
仕事を一つ終わらせられたのではないか。
そんなことを考えます。
でも、ずっと仕事のスイッチを入れたままでは、いつか心まで疲れてしまいます。
山で何もしない。
空を見る。
風を感じる。
木漏れ日を眺める。
すると、不思議と次の日にはまた仕事をしたくなります。
休むことは、仕事から逃げることではありません。
また仕事へ戻るための時間でもあります。
面白いことに、
「今日は仕事として山を見ない」
と決めても、完全に仕事の目が消えるわけではありません。
「あの木、きれいに育っているな」
と思ったり、
「この森は気持ちがいいな」
と思ったりします。
でも、そのくらいでいい。
詳しく調べない。
評価しない。
直そうとしない。
ただ感じる。
仕事で身につけた目を捨てる必要はありません。
その目を少し休ませるだけです。
林業をしていると、山は仕事場になります。
危険を読む場所。
木を育てる場所。
技術を使う場所。
人を教える場所。
でも、それより前に山は、
風が吹く場所。
鳥が鳴く場所。
木陰がある場所。
静かになれる場所。
だったはずです。
仕事が長く続くほど、その原点を忘れないことも大切なのではないでしょうか。
山が嫌いになってしまったら、山の仕事を続けるのは苦しくなります。
だから時々、
仕事をしないために山へ行く。
そんな時間を持ちたいと思います。
森の仕事人にも、山を仕事として見ない日があります。
木を評価しない。
作業計画を考えない。
道具を持たない。
ただ山を見る。
ジープで少し走って、気に入った場所で止まる。
コーヒーを飲む。
風の音を聞く。
それで一日が終わってもいい。
仕事として山を知れば知るほど、山を見る目は深くなります。
でもその一方で、
「山が好きだからここにいる」
という単純な気持ちも大切にしたいと思います。
森の仕事人にも、山を仕事として見ない日がある。
そんな日があるからこそ、また次の日、仕事として山へ向かえるのかもしれません。
「林業を仕事にすると、森へ行ってもつい木の状態や斜面を見てしまいそうです。
でも、たまには何も評価せず、ただ『きれいだな』と思うだけの日があっていいんですね。
仕事のために山へ行く日と、山が好きだから行く日。
両方あるから、長く山と付き合えるのかもしれないと思いました。」
※フォレストカレッジホームページ
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