

2026年7月14日
森の仕事というと、どんな姿を思い浮かべるでしょうか。
チェーンソーを持って山へ入る。
木を伐る。
枝を払う。
丸太を運ぶ。
斜面を歩く。
たしかに、それは林業の大切な仕事です。
しかし、森の仕事は山の中だけで行われているわけではありません。
研修の資料を作る。
安全講習の内容を見直す。
道具を整える。
受講生のことを考える。
次の現場の段取りを組む。
新しい教材を考える。
事故を減らす方法を探す。
こうした仕事も、すべて森へつながっています。
山へ行けない日にも、森の仕事は止まりません。
むしろ、現場から少し離れた時にしか見えないものもあります。
今日は、
山へ行けない日にも、森の仕事は動いている
という話を書きます。
林業というと、どうしても現場作業が中心に見えます。
木を伐る。
植える。
下刈りをする。
間伐をする。
搬出する。
しかし、その現場を動かすためには、たくさんの準備があります。
作業計画を立てる。
危険箇所を確認する。
天候を見る。
道具をそろえる。
人員を考える。
研修生に何を教えるか決める。
安全資料を作る。
連絡を取る。
現場は、突然始まるわけではありません。
その前に、見えない仕事が積み重なっています。
森の仕事は、山へ入る前から始まっています。
山へ行けない日には、理由があります。
天候が悪い。
現場の条件が整わない。
道具の修理が必要。
体調を整えなければならない。
別の仕事を優先する必要がある。
そんな時、無理に山へ行くことが仕事ではありません。
体を休める。
治療を受ける。
疲労を回復させる。
次の仕事に備える。
これも仕事を続けるために必要です。
林業は一日だけ頑張る仕事ではありません。
長く続ける仕事です。
だから、休む時間も無駄ではありません。
森へ戻るために体を整えることも、森の仕事の一部です。
毎日現場に入っていると、目の前の作業に集中します。
今日の木。
今日の斜面。
今日の道具。
今日の予定。
それは当然です。
しかし、少し現場を離れることで、全体を見直せることがあります。
この教え方で伝わっているだろうか。
道具の配置はこれで安全だろうか。
研修生はどこでつまずくのか。
教材は分かりやすいか。
もっと事故を減らす方法はないか。
現場の中では見えなかった問題が、離れることで見えてきます。
近くで見る目と、遠くから見る目。
どちらも必要です。
森の仕事には、現場を見る力と、現場を離れて考える力の両方が要ります。
林業研修では、現場実習だけでなく、資料も重要です。
文章。
写真。
図。
災害事例。
安全確認。
作業手順。
振り返り。
良い資料があれば、研修生は現場で学んだことを整理できます。
しかし、資料を作ることは簡単ではありません。
専門用語が多すぎないか。
初めての人にも分かるか。
安全上の大切な部分が伝わるか。
文字ばかりになっていないか。
実際の現場とズレていないか。
一つひとつ考えます。
資料を作る時間は、山の中にはいません。
でも、その資料は次の現場で人を守ります。
机の上で作る一枚の資料も、森の安全につながっています。
林業では、道具の良し悪しが作業に大きく影響します。
チェーンソー。
刈払機。
防護具。
目立て道具。
測量器具。
教材。
練習装置。
今ある道具をどう使うか。
もっと安全にできないか。
もっと分かりやすく教えられないか。
もっと疲れにくくできないか。
初心者でも理解しやすくできないか。
こうしたことを考える時間も、森の仕事です。
現場では、道具を使います。
現場の外では、道具をどう生かすかを考えます。
道具を改良することは、未来の現場を作ることです。
講師の仕事は、授業中だけではありません。
講習が終わった後も考えます。
あの人は理解できただろうか。
あの動きは危なかった。
次回は別の説明をした方がよい。
もっと実技の時間を取った方がよい。
あの人には別の声かけが必要かもしれない。
人によって、理解の仕方は違います。
体力も違う。
経験も違う。
不安も違う。
目標も違う。
だから、同じことを同じように教えるだけでは足りません。
山へ行けない日でも、受講生の顔を思い浮かべながら次の授業を考えます。
それも、森の仕事です。
事故は現場で起きます。
しかし、安全は現場だけで作られるわけではありません。
事前に危険を考える。
教材を作る。
ルールを確認する。
道具を整える。
連絡方法を決める。
緊急時の対応を考える。
こうした準備があることで、現場の安全性は高まります。
安全とは、その場の注意力だけではありません。
準備の積み重ねです。
現場の外でどれだけ考えたか。
そこが、現場の強さになります。
山へ行かない日を、仕事が止まった日だと思う必要はありません。
前へ進む形が違うだけです。
現場で進む日。
机で進む日。
人と話して進む日。
体を整えて進む日。
何もせず、休むことで進む日。
仕事にはいろいろな進み方があります。
毎日同じ動きをしなくてもよい。
大切なのは、次につながっているかどうかです。
今日は山へ行けなくても、明日の森につながることを一つする。
それで十分な日もあります。
山へ行けない時、人は「できないこと」に目が向きます。
現場に立てない。
道具を持てない。
予定通り動けない。
人に任せなければならない。
悔しさを感じることもあります。
しかし、できないことだけを見ていても前には進みません。
今できることは何か。
文章を書く。
資料を直す。
計画を考える。
連絡をする。
人に伝える。
体を整える。
次の準備をする。
できることは必ずあります。
仕事人とは、何でも一人でやる人ではありません。今できる仕事を見つけられる人です。
森の仕事は、一人ではできません。
現場へ行けない時には、誰かに任せる必要があります。
道具を運んでもらう。
現場を確認してもらう。
写真を撮ってもらう。
講習を支えてもらう。
連絡を代わってもらう。
任せることを、弱さのように感じる人もいます。
しかし、仕事を続けるためには必要です。
人に伝える。
役割を分ける。
任せた人を信じる。
必要な情報を共有する。
これも仕事の技術です。
一人ですべて抱えるより、仲間と動かした方が強い仕事になります。
林業は、長い時間の中で行われます。
自分一人で全部を見ることはできません。
植えた人。
育てた人。
伐る人。
運ぶ人。
使う人。
教える人。
次の世代へ伝える人。
たくさんの人がつながって森を支えています。
だから、自分が山へ行けない日にも、別の誰かが森で働いています。
自分はその仕事を支える。
教える。
整える。
考える。
伝える。
それも立派な役割です。
森の仕事は、誰か一人の力ではなく、人から人へ受け継がれて動いています。
森の仕事人日記では、いつかジープの話も書いていきます。
ジープに乗って山へ向かう朝は、特別な時間です。
エンジンをかける。
道具を積む。
山道へ入る。
森の空気に近づいていく。
でも、毎日ジープに乗れるわけではありません。
乗れない日もある。
山へ向かえない日もある。
それでも、頭の中では森の仕事を考えています。
次はどこへ行くか。
何を積むか。
どんな仕事が待っているか。
車が止まっていても、気持ちまで止まっているわけではありません。
森へ向かう準備は、静かに続いています。
森の仕事人というと、いつも山で動いている人を思い浮かべるかもしれません。
しかし、本当の仕事人は、状況に合わせて仕事の形を変えます。
動ける日は動く。
考える日は考える。
教える日は教える。
任せる日は任せる。
休む日は休む。
大切なのは、無理に同じ形を続けることではありません。
その時にできる形で、森とのつながりを保つことです。
止まらないとは、いつも動き続けることではありません。形を変えながら続けることです。
山へ行けない日にも、森の仕事は動いています。
資料を作る。
道具を考える。
安全を見直す。
受講生を思う。
次の現場を準備する。
人に任せる。
体を整える。
どれも、森へつながる仕事です。
林業は、木を伐ることだけではありません。
人を育てる。
安全を作る。
道具を整える。
次の世代へ伝える。
そうした見えない仕事があるから、現場が動きます。
山へ行けない日にも、森の仕事は止まっていない。
森の仕事人は、場所が変わっても、できる形で仕事を続けています。
「森の仕事って、山の中だけで進んでいるわけではないんですね。
資料を作ること。
道具を考えること。
安全を見直すこと。
体を整えること。
人に任せること。
現場へ行けない日にも、次の森へつながる仕事がある。
動けない時は止まっているのではなく、違う形で前へ進んでいるんだと思いました。」
※フォレストカレッジホームページ
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