

2026年2月17日
林業の技術は、
本では覚えられません。
動画でも、マニュアルでもない。
山の空気。
木のクセ。
危険の気配。
それは全部、
人からしか伝わらないもの です。
今日は、
私にその“型”を教えてくれた、
名もなき親方の話をします。
その人は、有名人ではありません。
賞もない。
肩書きもない。
ただ、
毎日山にいて、
毎日静かに仕事をしている人でした。
口数も少ない。
「見て覚えろ」が基本。
今なら「不親切」と言われるかもしれません。
でも、不思議と。
その背中からは、
ものすごい安心感が出ていました。
「この人の近くにいれば、事故らない」
本能的にそう思える人でした。
ある日、
私は伐倒方向を少し甘く読んでしまいました。
倒れた木は、
狙いより半歩ズレた。
大事故ではない。
でも、親方はすぐに言いました。
「半歩ズレるってことはな、
次は一歩ズレるってことだぞ」
静かな声でした。
怒鳴りもしない。
でも、胸に刺さりました。
林業は「まあいいか」が命取りになる。
その日から、
私は“半歩”を甘く見なくなりました。
親方の動きは、いつも同じでした。
立ち位置。
道具の置き方。
逃げ道の確認。
声のかけ方。
全部が決まっている。
無駄がない。
ブレがない。
つまり、
自分の「型」を持っている人 だったんです。
型があるから迷わない。
迷わないから事故らない。
林業はセンスじゃない。
型なんだ。
それを教えてくれたのが、あの親方でした。
有名な偉人の言葉も、もちろん大切です。
でも。
本当に役に立っているのは、
あの山の中で教わった一言や、
何気ない動きだったりします。
林業の技術は、
人から人へ、静かに手渡されていく。
それはまるで、火を分けてもらうみたいに。
今度は私が、
誰かにその火を渡す番です。
あの名もなき親方のように。
彩ちゃんの安全物語 第23話が公開されました。
『その空気、読んでいないか?』
※フォレストカレッジホームページ
https://www.young-leaves.com/