2025年8月27日
林業の魅力シリーズ 第304弾
シラカシとクヌギ-
薪炭林が支えた暮らしと循環の知恵
林業の魅力シリーズ第304弾、
本日は水曜日恒例の「伝統的な技術や知識」。
今回は、かつて日本の生活を支えてきた
「薪炭林管理」に焦点を当てます。
シラカシやクヌギ-どこにでもある雑木林の木々ですが、
昭和の初めまで彼らは燃料の要。
人々の暮らしに不可欠な存在でした。
1. 薪炭林とは何か
薪炭林とは、薪や炭を生産するために育てられた森林のこと。
特にクヌギやシラカシは、炭材としての質が高く、
繰り返し伐っても萌芽更新(株から芽を出す性質)するため、
「切ってもまた育つ」持続可能な資源循環を実現していました。
この萌芽更新を利用した「 coppice(コピス)林業」は、
ヨーロッパでも行われていた知恵です。
2. 暮らしを支えた燃料
江戸から昭和にかけて、炊事や暖房に使われたのは
石油でも電気でもなく、薪と炭。
クヌギ炭は火力が強く火持ちがよいことから
茶道の炭にも重宝され、シラカシは安定した燃焼で
生活燃料として広く用いられました。
薪炭林はただの“燃料供給地”ではなく、
人々の暮らしそのものを形づくる存在だったのです。
3. 森林管理の仕組み
薪炭林は 15〜20年周期で伐採され、
萌芽更新によって次の世代が育ちました。
これにより「森を守りながら利用する」サイクルが成立。
同じ場所から何度も資源を得るこの仕組みは、
現代のSDGsや持続可能な林業の思想に直結しています。
4. 彩ちゃんのひと言メモ
「切ってもまた生えてくるなんて、不思議!
薪炭林って、昔の人の知恵と森の力が一緒になった
“循環の林業”なんですね」
シラカシやクヌギの薪炭林は、
過去の遺物ではありません。
エネルギー革命によって一時的に役割を失ったものの、
持続可能な森づくりの象徴として今も見直されています。
「切ってもまた育つ森」-
その知恵は、現代の私たちにとっても大切なヒントです。
自然と暮らしを結ぶ循環の知恵を、
次世代へどう伝えていくか。
それが、彩ちゃんと一緒に考えたいテーマです。
お知らせ
林業は便利な道具と豊かな自然に支えられていますが、
その一方で「危険」と隣り合わせでもあります。
事故を減らすためには、教科書的な知識や動画だけでは
伝わりにくい、“実感”が必要です。
そこで私たちは、「安全を物語にして伝える」という
新しい取り組みを始めました。
より多くの人に、林業のリアルと学びを物語として
届けるために-公式noteを開設しました。
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