

2025年10月14日
林業の魅力シリーズ第334弾
松永安左エ門──“電力の鬼”が愛した森と
茶の心【睡足軒の森】
「ねえ校長先生、今日の“森の偉人”って、
“電力の鬼”って呼ばれてた人なんですか?」
「そう、松永安左エ門さん。実業家だけど、
実は“森”をとても大切にしていたんだよ」
彩ちゃんは、林業スクールの授業中に
そう声をかけてきた。
今週のテーマは、「偉人と森」。
ちょっと硬い話に聞こえるかもしれないけど、
彩ちゃんは興味津々だ。
睡足軒の森ってどんなところ?
放課後、彩ちゃんと一緒に訪れたのは
埼玉県新座市にある「睡足軒の森」。
松永安左エ門氏がかつて所有していた広大な森林と邸宅跡だ。
「うわ〜……すごく静か。森の中に吸い込まれそう……」
彩ちゃんがそう呟いたとき、風がさっと竹林を抜けていった。
ここには「茶人・松永安左エ門」の感性が随所に感じられる。
整えられた小道、苔むした石、
そして人の気配を優しく受け止める木々たち──
森林と文化を結んだ男
「電力の鬼」として戦後の電力再編を成し遂げた松永氏だが、
その晩年は、この森に“心の拠り所”を求めていたという。
「電気だけじゃなくて、森にも明かりを灯してたんですね」
彩ちゃんの言葉に、校長先生は頷く。
彼にとって森とは、茶の湯の精神を体現する場であり、
人が立ち戻るべき“静けさ”そのものだったのだ。
平林寺と柳瀬の森
彩ちゃんは帰り道、少し考え込みながら言った。
「松永さんって、森を残してくれて
ありがとうって気持ちでいっぱいになります」
新座市の平林寺には松永氏の墓があり、
隣接する所沢の柳瀬にも彼が手入れした広大な森が
広がっていた。
「今度、クラスみんなでお茶会してもいいですね。森の中で」
それは、きっと松永氏も喜んでくれるはずだ。
森は“木を育てる”場所であると同時に、
“人の心”を育てる場所でもある。
彩ちゃんのような若者が、偉人の想いを感じ、
自分の言葉で「森の未来」を語ってくれる──
林業には、こんなに豊かな文化の側面がある。
だからこそ、林業っておもしろい!
note連載「彩ちゃんの安全物語」更新情報
2025年10月8日 更新!
第6話『森を守るって、どういうこと?』
倒木処理の現場で、彩ちゃんが“森を守る”という言葉の
意味に向き合う回です。
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