

2025年11月30日
ログハウス講座 専門知識編 vol.62
木は本当に弱いのか?──
強度・燃え方・耐久性を科学で読み解く
「木は弱い」
「木は燃えるから危ない」
「木はすぐ腐る」
ログハウスを建てる時、
こうした誤解を耳にすることがあります。
しかし、木を科学的にみると、
これらは“半分正しいようで、半分まちがい”。
今日は、木の強さ・燃え方・耐久性について、
研修テキスト「木を科学する」から
大事なポイントをわかりやすく紐ときます。
1. 木は「軽いのに強い」──比強度という真実
木材は鉄と比べると軽い。
しかし重さあたりの強さで見ると、
スギやヒノキのほうが鉄よりも強いという事実が
テキストに書かれています。
重量が軽い → 地震時の揺れに強い
これが木造住宅が地震に強いと言われる理由のひとつです。
木材の細胞構造は“自然のハニカム構造”のようなもので、
軽くて強い素材として非常に合理的なデザインになっています。
2. 木は「燃える」が、ゆっくり燃える──炭化という鎧
木は燃えます。
しかし、燃え方が鉄やアルミと全く違います。
木は火にさらされると、
外側が炭の層になり、中身を保護するという性質があるのです。
炭化層は熱を通さず、内部の温度上昇を遅らせます。
テキストによると、
木材は1分で約0.6〜0.8mmしか断面が減らない
つまり、
30分経っても約25mmしか減らないという驚異の耐火性。
一方でアルミは熱で溶けて“ストン”と強度が落ちる。
木が古くから主要な建材として使われてきたのは、
こうした 火に対する強さ があったからです。
3. 木は「腐る」が、腐る条件ははっきりしている──
腐朽菌の科学
木は水気が溜まり、空気と温度がそろうと腐る。
しかし逆に言えば、
その条件を揃えない限り木は腐らない。
腐朽菌の条件(テキストより)
含水率 25%以上
湿度 85%以上
温度 3〜45℃(最適は30℃前後)
酸素が必要
栄養(糖分など)
逆に言えば…
水が抜ければ腐らない
空気がなければ腐らない
25%以下の乾燥材なら腐らない
古い木造建築が1000年残る理由がここにあります。
ログハウスで重要なのは水が溜まらない構造・施工。
適切に作れば、木はコンクリートより長く持つことも
珍しくありません。
4. 木は異方性──方向で強さが違う
木の強さは“方向”によって違います。
繊維方向(縦方向)… 最も強い
半径方向(年輪に直角)… 中くらい
接線方向(年輪に沿う)… 最も弱い
テキストでは、一般針葉樹の伸縮比を
繊維方向:接線方向:半径方向 = 1:10:5
と説明しています。
ログハウスのノッチや溝が繊細なのは、
この異方性を理解して加工しないと隙間が生じるからです。
木を理解した職人ほど、木の流れを読むのがうまい。
“木が暴れない方向”に削ることができるのです。
まとめ
木の弱点は、
仕組みを理解していないときに弱点になるだけで、
正しく使えば
木は強く、燃えにくく、長持ちする素材です。
自然が何億年もかけて進化させた構造体。
私たちはその恩恵を住まいに取り入れているだけなのです。
次回、vol.63では
「木はなぜ動くのか?──水分・収縮・乾燥の科学」
をじっくり解説します。
ログハウスの“生きているような動き”の理由が見えてきます。
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