

2025年9月30日
林業の魅力シリーズ第326弾
ハゼノキ(櫨)──紅葉とロウと、日本文化を照らした木
木々が色づき始める季節。
今回は「秋」と「伝統文化」を象徴する一本の木──
ハゼノキ(櫨)に注目します。
紅葉の美しさに見惚れるだけではなく、
江戸から明治にかけて「灯りの文化」を支えた存在でもあります。
「ハゼノキって、燃やす木ですか?」
いえいえ、違います。
むしろ、燃やす“ためのロウをつくる木”なんです。
ハゼノキとは?
ハゼノキ(学名:Toxicodendron succedaneum)はウルシ科の落葉高木。
主に西日本に分布し、高さは10mを超えることもあります。
特徴は、秋になると葉が真っ赤に紅葉する美しさと、
実から採れる「木蝋(もくろう)」。
この木蝋は、かつて和ろうそくの原料として日本の夜を照らし続けました。
木蝋って何?
木蝋とは、ハゼノキの実から採れる天然のロウ。
実を収穫し、蒸して油分を取り出し、冷やして固めるとロウができます。
江戸時代から明治にかけて、和ろうそくの原料はほぼこの木蝋。
石油系の蝋燭と比べて、ススが少なく、揺らぎが柔らかいのが特徴です。
「柔らかい光」「静かな時間」──
まさに、日本家屋と調和した灯りだったのでしょう。
彩ちゃんのひとこと
「ロウソクって石油からできてると思ってました!
まさか森の木の実から作られてたなんて!」
「森と文化がつながってるって、ちょっと感動です」
研修の現場でも、
こうした“自然と文化の接点”に気づいてもらえる瞬間があります。
林業との関係は?
現在では木蝋の需要が減ったため、ハゼノキは野生化したものが多く、
植林されることは少なくなりました。
ですが、かつては林業の一部として栽培され、
「木を育て、灯りを作る」ことが仕事の一部だったのです。
そして、紅葉するハゼノキは庭木や公園樹としても人気。
街中の「彩り」としても、今も私たちの身近に残っています。
ハゼノキは、森に育ち、文化を照らした静かな英雄。
紅葉の美しさに加え、「灯りをつくった木」としての一面も、
ぜひ知っておいてほしいと思います。
森の木が、人のくらしと文化に深く結びついていた時代──
今こそ、そんな「つながり」にもう一度目を向けてみたいですね。
彩ちゃんの安全物語 第4話|目立ての効果を体感する!
自分の整備と先生の整備の違いを、切り子(キリコ)で体感した彩ちゃん。
「目立てってここまで変わるんだ…!」
体験から学ぶ安全性と技術の奥深さを描いた物語です。
https://note.com/forestcollege/n/nacd700e3bf2e
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