

2026年8月23日
令和8年度 埼玉県林業技術者育成研修
FORESTRY TRAINING REPORT|DAY 12
2026年8月23日(日)、令和8年度埼玉県林業技術者育成研修Day12を実施しました。
本日のテーマは、安全です。
参加者は5名。
午前は、安全衛生実技として5S活動などの動画を見ながら安全管理について学び、リスクアセスメント演習を行いました。
午後は、深谷消防署寄居分署・鶴谷署員を講師に迎え、普通救命講習を実施しました。
学んだ内容は、
です。
林業では、まず事故を起こさないことが最優先です。
しかし、万一事故や急病が起きたときには、仲間の命を守るために行動できなければなりません。
今日は、
事故を防ぐ安全
と
事故が起きたときに命を守る安全
その両方を学ぶ一日となりました。
研修の一日は、恒例の表情体操から始まりました。
仲間の顔を見る。
声を出す。
体調の変化に気づく。
こうした何気ない行動も、林業現場の安全につながります。
作業を始める前に、仲間の様子を見る習慣をつけることも大切です。
安全衛生では、『徒然草』第109段の「高名の木登り」を紹介しました。
高いところで作業しているときには、誰でも慎重になります。
ところが、もう大丈夫だと思った低いところで、人は油断します。
林業でも同じです。
難しい伐倒。
急斜面。
大きな木。
こうした場面では誰もが緊張します。
しかし、
「もう終わった」
「ここまで来れば大丈夫」
「慣れているから問題ない」
と思った瞬間に事故が起こることがあります。
安全は、危険な作業の最中だけ意識するものではありません。
最後まで気を抜かない。
これは昔も今も変わらない安全の基本です。
午前は、5S活動などの安全衛生動画を使って学習しました。
5Sとは、一般に、
を通して、安全で働きやすい環境をつくる活動です。
林業現場でも、道具が散らばっている、必要なものがすぐ取り出せない、足元に障害物がある状態では事故の危険が高まります。
必要なものを必要な場所へ置く。
使ったものを元へ戻す。
不要なものを片付ける。
一見すると単純なことですが、これによって無駄な動きや探す時間を減らすことができます。
安全と作業効率は、別々のものではありません。
整理された現場は、安全であり、仕事も速い。
ここも今日の大切なポイントです。
続いて、リスクアセスメントについて学びました。
事故が起きてから、
「危なかった」
と気づいても遅すぎます。
作業を始める前に、
どこに危険があるのか。
どのくらい重大な事故になるのか。
どうすれば危険を減らせるのか。
を考える必要があります。
林業現場には、
など、さまざまな危険があります。
危険をゼロにすることは難しくても、危険の存在を先に知れば、事故の可能性を減らすことはできます。
研修生は、資料を使ってリスクアセスメント演習にも取り組みました。
ただ答えを聞くだけではありません。
危険要因を自分で探し、
「何が起こる可能性があるのか」
「その事故はどの程度重大なのか」
「どんな対策を取ればよいのか」
を考えます。
将来、現場で指導する立場になれば、自分だけ安全であればよいわけではありません。
仲間の作業を見て、
「そこは危ない」
と言える力が必要です。
研修で目指している「指導者としての林業技術者」にも、リスクアセスメントの考え方は欠かせません。
午後は、深谷消防署寄居分署の鶴谷署員を講師に迎え、普通救命講習を行いました。
林業現場は、市街地や病院から離れた山間部で作業することがあります。
万一、仲間が倒れたり負傷したりしたとき、救急隊が到着するまでの時間に、その場にいる人が何をするかが重要になります。
助けを呼ぶ。
119番通報する。
傷病者の状態を確認する。
必要であれば心肺蘇生を始める。
AEDを準備する。
救急隊へ確実に引き継ぐ。
救命は、一人で行うものではありません。
周囲と協力しながら行動します。
心肺蘇生では、訓練用人形を使って胸骨圧迫を練習しました。
説明を聞くだけでは、いざというとき身体は動きません。
実際に人形の胸を押してみると、
どの位置を押すのか。
どの程度の強さが必要なのか。
一定のテンポを保つことがどれほど大変なのか。
初めて分かることがあります。
救命処置には勇気も必要です。
しかし、その勇気を支えるのは、事前に練習した経験です。
続いて、AEDの使い方を学びました。
AEDを開ける。
電源を入れる。
音声案内を聞く。
パッドを貼る。
傷病者から離れる。
必要に応じて電気ショックを行う。
そして、すぐに胸骨圧迫を再開する。
実際に訓練用AEDを操作することで、手順を確認しました。
AEDは、専門家だけが扱うものではありません。
必要な場面で、現場にいる人が使用するための機器です。
知っているだけではなく、一度でも触った経験がある。
それが、緊急時の行動につながります。
異物によって気道が塞がれた場合の対応についても学びました。
写真では、研修生が訓練用人形を使い、実際の手順を確認しています。
普段の生活でも起こり得る緊急事態です。
林業現場だけの知識ではありません。
職場でも、家庭でも、地域でも役立つ技術です。
事故を起こさないこと。
これが安全管理の第一です。
しかし、どれだけ安全に取り組んでも、突然の体調不良や事故を完全になくすことはできません。
そのとき、
何もできずに救急隊を待つのか。
それとも、必要な応急手当を行いながら救急隊へつなぐのか。
そこには大きな違いがあります。
心肺蘇生やAEDの操作を覚える目的は、資格を取ることではありません。
目の前に救える命があったとき、動ける人になること。
それが今日の普通救命講習の目的です。
講習終了後、鶴谷署員を囲んで記念撮影を行いました。
安全衛生から始まり、リスクアセスメント、心肺蘇生、AED、異物除去、止血法まで、非常に内容の濃い一日となりました。
鶴谷署員には、実際の救命現場を想定した貴重な指導をいただきました。
ありがとうございました。
今日の研修には二つの安全がありました。
一つは、
事故を起こさないための安全。
整理整頓をする。
危険を見つける。
リスクを評価する。
対策を考える。
もう一つは、
事故や急病が起きたときに命を守る安全。
心肺蘇生をする。
AEDを使う。
異物を除去する。
止血する。
救急隊へつなぐ。
どちらか一方だけでは十分ではありません。
林業技術者として安全に働き続けるためには、事故を防ぐ力と、万一のときに動ける力の両方が必要です。
次回は8月29日(土)、Day13。
いよいよチェーンソー特別教育へ進みます。
これまで学んできた安全衛生が、本格的なチェーンソー教育の土台になります。
森で働く。未来を育てる。
そして何より、仲間と自分の命を守る。
それがすべての技術の出発点です。
※フォレストカレッジホームページ
https://www.young-leaves.com/