2025年10月2日
林業の魅力シリーズ 第328弾
木を“倒すか、残すか”──森と人の間でゆれる判断力
森を歩いていると、「この木は伐った方がいいのか、
それとも残すべきか」──そんな問いに出会うことがあります。
見た目が立派でも、中が腐っていたり、
将来的に他の木の生育を妨げたりすることもあれば、
逆に少し歪んでいても、森全体の安定に貢献している木もある。
林業とは、こうした「判断の連続」でもあります。
1. 境界線はどこにある? 倒す木・残す木
「これは伐ってください」と明確に指示できる木ばかりではありません。
実際の現場では、木の状態だけでなく、地形、周辺の植生、日照条件、
次の世代の森の構造まで考慮する必要があります。
すでに寿命を迎えた老木
根が浅く、風で倒れそうな木
他の木々を陰で圧迫してしまう木
これらは“伐る理由”になるかもしれません。
しかし一方で──
シンボルツリーとして残したい木
多様な生物が棲みついている木
後継樹が育つまで日陰を提供する木
これは“残す理由”にもなるのです。
2. 彩ちゃん、森の声を聴く?
彩ちゃん:「校長先生、この木、ちょっと傾いてますけど……残すんですか?」
校長:「うん、すぐには倒れない。
でも、この木があることで、こっちの若い木が風から守られてるんだよ」
彩ちゃん:「なるほど……そういうつながり、気づきませんでした」
森は、一本の木だけでは語れません。
複数の木が支え合い、空間を共有し、地中でもネットワークを張って生きている──
その“関係性”を読み解く力が、林業には求められます。
3. 木の“ねじれ”を見る──木理から芯を見抜く力
「木のねじれを見る」とは、単に“ねじれている木”を観察することではありません。
木目(木理)の流れから、
その木がどのように育ってきたか
どの方向に力がかかっているか
どこに“芯”があるか
──を見極めることなのです。
とくにログハウスでは、ねじれを読み違えれば、建てた後に隙間や歪みが生じます。
逆に言えば、
木を読める人には、森の未来が見える。
これが、「木を伐る・残す」の判断の中にも通じる技術なのです。
4. 決断の“間”にこそ、林業の奥深さがある
森林は工場ではありません。すべてが“計算通り”にはいきません。
倒すべきかどうかの判断を迷う時間
“残す”という選択肢に込める未来への視点
一見曖昧に見えるその“間”に、職人の知恵が宿る
林業とは、「人の都合」だけでも、「自然任せ」だけでもない、
“あいだ”を丁寧に読み取る仕事でもあるのです。
note連載「彩ちゃんの安全物語」更新情報
2025年10月1日、noteにて最新話を公開しました!
第5話「私のチェーンソーが、木を切った──」
ついに自分で整備したチェーンソーで伐倒に挑戦する彩ちゃん。
これまでの学びがつながる“成長の瞬間”をお見逃しなく!
https://note.com/forestcollege/n/n09fdec217e61
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