

2025年7月28日
林業の魅力シリーズ 第283弾
空から見守る林業へ-
ドローンによる樹木診断の最前線
月曜日は、「林業・自然・建築・
地球環境に関わる技術革新」を追いかける日。
第283弾では、今や林業に欠かせない存在となりつつある
“空から森を診る”ドローン技術に注目します。
林業にドローン?それは“測量”だけじゃない
数年前まで、林業におけるドローンの役割といえば
「森林境界の測量」「航空写真の撮影」が主でした。
しかし現在は・・
樹木の健康状態を診断する
病気やストレスの“兆候”を空中から見つける
病害虫の発生源をピンポイントで特定する
そんな「森の診療ドクター」としての活用が広がりつつあります。
何をどう診断するのか?
ドローンに搭載されるのは、特殊なカメラです。
マルチスペクトルカメラ:
目では見えない「近赤外線」などを捉え、
葉の水分量や光合成の活性を測定
病気やストレスを受けた樹木は、
反射する光の波長が変わるため、異常を早期に察知できます
サーモグラフィー:
樹木の表面温度の違いを読み取る
根の不調・水分不足・幹の異常などを“熱の偏り”で可視化
可視光ズームカメラ:
葉の色の変化や害虫の食害痕を拡大撮影
特定エリアに絞ったピンポイント診断に有効
活用事例が広がっている
山形県:ナラ枯れの拡大防止に空中診断を導入
岐阜県:カラマツ林で樹幹内部の乾燥状態を空撮データで解析
海外:オーストリアやカナダで、
ドローン+AIによる病害マップの自動作成が進行中
さらに、森林組合レベルでもドローン活用の研修や導入が
進みつつあり、「空から見る林業」が現場に定着し始めています。
林業に変化をもたらす3つの可能性
早期発見による被害最小化
病気・虫害・乾燥・倒木リスクのある木を早期に特定
作業計画の効率化
異常箇所の把握により、間伐や伐採のエリアを最適化
安全管理の高度化
危険木や不安定な地形の事前把握により、事故リスクを軽減
テクノロジーで「守る林業」へ
木を伐るだけではない、
木を見守り、守るための林業が今、動き始めています。
それを支えるのが、ドローンをはじめとする空の技術。
空から見ることで、
これまで見えなかった森のSOSが、静かに浮かび上がるのです。
“守る林業”という次のフェーズへ。
その一歩を、私たちはすでに踏み出しています。
※フォレストカレッジホームページ
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