

2025年7月30日
林業の魅力シリーズ第285弾
木の年輪と“木取り”の知恵-
昔の大工が知っていた材の使い方
木の断面に現れる年輪には、
その木が生きてきた年月と環境の物語が刻まれています。
私たちが扱う木材は、ただの資材ではなく、
自然が育んだ一つの生命の記録です。
今日は、そんな木の「年輪」を読み解きながら、
昔の大工たちが大切にしてきた「木取り」の
知恵に迫ります。
年輪は「木の履歴書」
木の成長は1年ごとに年輪として記録され、
年輪の幅・向き・密度から、
その木がどんな環境で育ったかを知ることができます。
年輪が広い=早く育った、年輪が密=ゆっくり育った。
これだけでも材質の性格が見えてきます。
木取りとは何か?
「木取り(きどり)」とは、
丸太から板や柱などの部材を切り出すときに、
どの向きでどう使うかを見極める作業のこと。
たとえば、曲がりやすい「板目」は屋根の垂木や見えない場所に、
反りが少ない「柾目」は建具や床板に。
これを見極めるのが、経験と感覚の世界です。
ログビルダーにも通じる考え方
私たちログビルダーも、丸太の「ねじれ」や「流れ(年輪の方向)」
を読んで刻んでいきます。
年輪の向きを正しく理解することで、
完成後に木が暴れず、時間とともに落ち着く家になる。
まさにこの「木取り」の知恵が今も息づいているのです。
木のクセを見抜く技術
「元口・末口」の向き、「赤身(心材)・白太(辺材)」の位置、
「背割り」の入れ方、すべてが木の性格と向き合い、
建築に活かす知恵の結晶。
科学や機械が発達しても、
木を扱ううえでこの知識は今も必要です。
木の年輪と木取りの技術は、古くて新しい知恵です。
建築に携わる人だけでなく、
林業に関わる私たちも木のクセを知り、
活かす目を持つことで、
より良い木材の提供や家づくりに貢献できます。
未来の林業にも受け継がれるべき、
日本の木の知恵-それが「木取り」なのです。
※フォレストカレッジホームページ
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