

2025年7月24日
林業の魅力シリーズ 第281弾
切株は語る-
木を倒したあとに始まる物語
本日は「林業の魅力シリーズ」フリーテーマの日。
林業に関わる者にとって、「木を倒す」という行為は、
日常であり、儀式でもあります。
そのあとの「切株(きりかぶ)」-
何気なく通り過ぎてしまうその存在に、
実は深い時間と生命の記録が刻まれていることを
ご存知でしょうか?
年輪は、木の人生そのもの
切株に広がる年輪の輪。
それはまるで、木が自ら刻んだ日記のようです。
雨の多かった年は、年輪が太く
日照不足や虫害の年は、細く歪む
突然の成長、停滞、回復…まるで人間の人生のように、
年輪は揺れながら広がっていきます。
木は、何十年・何百年という時間を黙って
立ち尽くしながら生きてきたのです。
倒されたあとに「始まる」こと
多くの人は、木を倒した瞬間を「終わり」と見ます。
しかし、林業者にはそれが「森の循環の入口」で
あることがわかっています。
切株からは・・
春になれば、コケが生え、キノコが芽を出し
夏には、虫たちの住処となり
秋には、草が覆い、腐葉土が育ち
やがて、そこから新たな苗木が生えることも
一本の木の死が、無数の命をつなぐ拠点になる。
切株は、終わりではなく、「未来の土台」なのです。
切株と向き合うとき、心が静まる理由
切株に腰かけたことはありますか?
その場にしゃがみ、年輪をじっと眺めたことはありますか?
するとふと、自分が
「この森の歴史の続きにいる」
「誰かがこの木を植え、育て、私が伐り、また誰かが未来を作る」
という“つながり”を感じる瞬間があります。
切株は、無言でそうしたことを私たちに語りかけてくれるのです。
木を伐ることへの敬意と責任
林業者は、伐ることを破壊ではなく、循環の一部としてとらえます。
だからこそ、切株を雑に扱わない。
チェーンソーの刃を最後まで丁寧に抜く。
切り口を滑らかに仕上げる。
時には木口に手を当てて「ありがとう」と言う。
そうした「小さな行為」が、
林業を単なる産業ではなく、
文化や哲学に昇華させる要素なのかもしれません。
切株は、森の声を代弁する
切株は、立っていた木の記録であり、
森に残されたメッセージでもあります。
それを読むか、見過ごすかは、私たち次第です。
これから森に入るとき、
一本の切株に立ち止まってみてください。
もしかしたら、あなたに語りかけてくる言葉があるかもしれません。
※フォレストカレッジホームページ
※X