2025年8月6日
林業の魅力シリーズ第290弾
「下げ振り」-
垂直を極める、職人と測量の相棒
重力が導く「まっすぐ」の道具
「下げ振り(さげふり)」とは、
糸の先に重りを吊るすだけの極めてシンプルな道具。
しかし、その正確さは自然界そのもの。
重力によって示されるこの“垂直の基準”は、
古今東西の職人たちにとって、まさに「信頼の象徴」でした。
ログハウスにおける必須道具
ログハウスを組み上げるには、
壁の垂直を正確に保つ必要があります。
その際、ログの小口(こぐち)に描いたプラムライン(垂線)と、
下げ振りの糸を照らし合わせながら、
1本1本のログを精密に積み上げていきます。
また、扉や窓などの開口部に垂直な墨付けを行う場面では、
2本の下げ振りを開口部の左右に垂らし、
横からのぞいたときに2本の糸が1本に重なるところを
手書きで書いていきます。
これによって、間口に対して直角な開口部を実現できます。
測量にも使われる-コンパス測量との連携
下げ振りは測量実習や現場測量でも重要な役割を果たします。
特にコンパス測量において、測点(ポールの立つ場所)の
真上にコンパスを設置する際、
コンパスの下に下げ振りをぶら下げて、
測点の中心に合わせるという使い方がされています。
これにより、誤差を最小限に抑え、
正確な方位と位置関係を確保できるのです。
「ログも測量も“垂直”が命。
下げ振りは、目に見えない“まっすぐ”を見せてくれる道具。」
どこでも使える、100年後も残る道具
下げ振りは電池もセンサーも要らず、
いつでも・どこでも・だれでも使える。
たとえ未来がどんなにテクノロジーに支配されようと、
重力がある限りこの道具は役に立ち続けるでしょう。
※フォレストカレッジホームページ
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