2025年8月26日
林業の魅力シリーズ 第303弾
夏を彩る「ムクゲ」-無窮花が語る文化と暮らし
本日は火曜日恒例「樹木深掘りシリーズ」。
今回は、夏から初秋にかけて咲き誇る花木-
ムクゲ(木槿)に注目します。
8月の庭先や公園を歩くと、
薄紅や白の大輪が鮮やかに咲き誇る姿を見かけます。
その可憐さに似合わず、実はムクゲは「無窮花」と書き、
尽きることのない命の象徴として古くから人々に
愛されてきました。
1. ムクゲの特徴と強靱さ
ムクゲはアオイ科の落葉低木。高さ2〜3mほどに育ち、
7月から9月にかけて次々と花を咲かせます。
1日花でありながらも、毎日新しい花をつけ、
長い花期(約100日間)を楽しめるのが特徴です。
乾燥や大気汚染にも強く、都市環境にもよく適応するため、
庭木や生け垣、公園樹として広く利用されてきました。
2. 文化におけるムクゲ
日本では古くから俳句や和歌に詠まれ、
「槿花(きんか)の夢」という儚さを表す言葉も生まれました。
一方、韓国では「無窮花(ムグンファ)」と呼ばれ、
国花として国民の不屈の精神を象徴しています。
文化ごとに「儚さ」と「永遠性」という、
相反するイメージを与えてきたのもムクゲならではです。
3. 木材としての利用
ムクゲは花木としての印象が強いですが、
実は木材利用も可能です。
材質はやや硬く、細工や器具材、杖などに
利用されることもあります。
ただし規模的に素材生産には向かないため、
主に生活道具の木としての役割を果たしてきました。
4. 彩ちゃんのひと言メモ
「ムクゲって一日で花がしぼむのに、
毎日新しい花を咲かせるんですね。
なんだか“諦めない力”を持っているみたいで、
私も元気をもらえました!」
ムクゲは、儚さと強さをあわせ持つ夏の花木。
公園や庭先を鮮やかに彩りながら、
人々に「日々を新たに生きる姿勢」を教えてくれます。
私たちの暮らしのすぐそばにあるムクゲは、
林業の素材というより、
文化や心を支える木として息づいてきました。
この季節、ぜひ一輪のムクゲに足を止めて、
その小さな“生命の物語”を感じてみてください。
お知らせ
林業は便利な道具と豊かな自然に支えられていますが、
その一方で「危険」と隣り合わせでもあります。
事故を減らすためには、教科書的な知識や動画だけでは
伝わりにくい、“実感”が必要です。
そこで私たちは、「安全を物語にして伝える」
という新しい取り組みを始めました。
より多くの人に、林業のリアルと学びを物語として
届けるために-公式noteを開設しました。
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