

2026年7月20日
今日は海の日です。
海の日と聞くと、青い海、砂浜、船、港、海水浴などを思い浮かべる人が多いと思います。
林業のブログで、なぜ海の話をするのか。
そう思われるかもしれません。
しかし、森と海は別々の世界ではありません。
山に降った雨は、森の土へ染み込みます。
小さな流れとなり、沢へ集まります。
沢は川となり、やがて海へ向かいます。
山。
森。
沢。
川。
海。
水は、これらを一つにつないでいます。
森を育てる仕事。
森を整える仕事。
木を伐り、植え、また育てる仕事。
そうした山の仕事は、森の中だけで完結しているわけではありません。
遠く離れた川や海、そして私たちの暮らしにもつながっています。
今日は海の日に、
森と海のつながりについて考えてみたいと思います。

森から始まる水の旅
山に降った雨は、森を通り、川となって海へ向かいます。
海には、たくさんの川が流れ込んでいます。
その川の水をたどっていけば、山へ行き着きます。
山に降った雨や雪は、地表を流れるだけではありません。
森の土に染み込み、少しずつ蓄えられます。
落ち葉。
土。
木の根。
小さな生き物。
土の中の隙間。
森には、水を受け止めるさまざまな仕組みがあります。
森に染み込んだ水は、時間をかけて沢へ流れ出します。
その水が集まり、川となり、海へ向かいます。
海の日は、海だけを見る日ではなく、
海へ水を送り出している山や森にも目を向ける日
と考えてもよいのではないでしょうか。
手入れされた森へ入ると、地面には落ち葉や枝があります。
その下には、柔らかい土があります。
雨が降ると、その土が水を受け止めます。
雨水を一度にすべて流すのではなく、地面の中へ染み込ませます。
そして、少しずつ沢や川へ送り出します。
森が水を抱えることで、雨が降っていない時にも沢の水が流れ続けます。
もちろん、森だけですべての洪水や渇水を防げるわけではありません。
しかし、森が水の流れを穏やかにする働きを持っていることは確かです。
木だけではありません。
落ち葉。
土。
根。
下草。
地面の小さな凹凸。
そのすべてが、水を受け止める森を作っています。
森の中が暗すぎると、地面に光が届きにくくなります。
下草や低い植物が育ちにくくなることがあります。
地面を覆う植物が少なくなれば、強い雨が直接土に当たります。
表面の土が流れやすくなり、沢や川へ入る土砂が増えることもあります。
山から流れ出した土は、川を通って下流へ向かいます。
そして最終的には海へ届きます。
つまり、山の中で起きていることは、山だけの問題ではありません。
上流の森の状態は、川や海ともつながっています。
森を健全な状態に保つことは、水の流れを守ることでもあります。
「森を守る」と聞くと、木を一本も伐らないことだと思う人もいるかもしれません。
しかし、人工林では、木を植えた後の手入れが必要です。
植える。
下刈りをする。
除伐する。
間伐する。
木を育てる。
伐採する。
そして、また植える。
この循環が林業です。
木が混みすぎた人工林では、適切に間伐することで、残された木へ光や空間を与えます。
地面へ光が届けば、下草が育つ環境も作りやすくなります。
木を伐ることだけを切り取れば、森を減らしているように見えるかもしれません。
しかし、育てた木を適切な時期に使い、次の木を育てることは、森を将来へつなぐ仕事です。
大切なのは、伐るか伐らないかだけではありません。
伐った後に、森をどうつないでいくかです。

森が水を育てる
落ち葉や土に受け止められた雨は、少しずつ沢へ流れ出します。
森から海へ向かうのは、水だけではありません。
水は、土や岩、落ち葉などからさまざまな成分を受け取りながら流れます。
森の中で生まれた小さな流れが沢になり、川になり、海へ届く。
その過程で、山と川と海の生態系はつながっています。
森を守ることと、海を守ることは、まったく別の活動ではありません。
山の環境を整えることが、川の環境を支え、最終的に海へも影響していきます。
だからこそ、海のことを考える時には、海岸だけを見るのではなく、その水がどこから来たのかを見ることも大切です。
埼玉県には海がありません。
それでも、私たちの暮らしは海とつながっています。
山に降った雨が川を流れます。
川の水は、農業や生活、産業にも使われます。
そして最終的には海へ向かいます。
海のない県に住んでいても、海と無関係ではありません。
山の仕事をしていても、海と無関係ではありません。
森の水を守る。
川を汚さない。
土砂を必要以上に流さない。
木材を無駄なく使う。
こうした行動は、遠くの海へつながっています。
森を守るためには、木を育てるだけでなく、育てた木を使うことも必要です。
家。
家具。
道具。
紙。
薪。
木のおもちゃ。
木材を使うことで、山の木に価値が生まれます。
その価値が、次の森林整備へつながります。
伐った木を使い、また植える。
この循環が続けば、森を育てる仕事も続けられます。
使わなければ、山へお金や人が戻りにくくなります。
森を守るというと、自然に手を触れないことだけを考えがちです。
しかし、人が植えた人工林では、
手を入れ、木を使い、また育てること
が森を続けるために必要です。
私が長く関わってきたログハウスも、森と暮らしをつなぐものです。
山で育った木が、丸太として使われます。
木の形をできるだけ残しながら、住まいや建物になります。
森で育った木が、人の暮らしを包む。
木を伐ることと、木を使うことが一つにつながります。
そして、木が使われた分だけ、次の森をどう育てるかを考えなければなりません。
林業とログハウスは別々の話ではありません。
森で木を育てること。
木を伐ること。
木を使うこと。
暮らしの中で木を生かすこと。
すべてが一つの循環です。
林業に携わる人は、海から遠い山の中で働いています。
チェーンソーを使う。
木を伐る。
苗木を植える。
下草を刈る。
森を調査する。
作業道を整える。
目の前に海は見えません。
波の音も聞こえません。
それでも、その仕事は海へつながっています。
森の中で水と土を守る。
それは、川の上流を守ることです。
川の上流を守ることは、海へ続く水の道を守ることでもあります。
林業で働く人は、海の上流で働いている。
海の日には、そのことも知ってもらいたいと思います。
子どもたちに森と海のつながりを伝える時、難しい説明は必要ありません。
森で小さな沢を見る。
水に触れる。
落ち葉の下の土を見る。
水がどちらへ流れているか考える。
「この水は、どこまで行くのだろう」
そう問いかけるだけでも、子どもの想像は広がります。
小さな沢が川になり、遠くの海へつながっている。
森で見つけた一滴の水が、海まで旅をするかもしれない。
そう考えると、森の見え方も、海の見え方も変わります。
自然は、場所ごとに分かれているのではありません。
水によってつながっています。
私たちは毎日、水を使います。
飲む。
料理をする。
洗う。
風呂に入る。
農作物を育てる。
製品を作る。
水は、暮らしに欠かせません。
その水がどこから来て、使った後にどこへ行くのか。
普段はあまり意識しないかもしれません。
しかし、水の流れをたどれば、森、川、町、海がつながっていることが分かります。
森の問題。
川の問題。
海の問題。
それぞれを別々に考えるのではなく、一つの水の流れとして見ることが大切です。
海の日だから海へ行く。
それもよいと思います。
海を眺める。
海辺を歩く。
船を見る。
海の生き物を知る。
そして、少しだけ山や森のことも思い出してもらいたいと思います。
この海へ流れ込む水は、どこから来たのか。
その上流には、どんな森があるのか。
誰が森を育て、整えているのか。
森と海は、遠く離れているようでつながっています。
海を守ることは、山を守ることでもあります。
山を守ることは、海を守ることにもつながります。
「海の日だから、海のことだけを考える日だと思っていました。
でも、海へ流れる水をたどると、川があり、その先には森や山があるんですね。
山に降った雨が森に蓄えられ、沢になり、川になり、海へ向かう。
森を整える林業の仕事も、遠くの海につながっている。
これから海を見る時は、その水が始まった森のことも思い出したいです。」
海の日に、森の話を書きました。
一見すると、森と海は離れているように見えます。
しかし、山に降った雨は森に蓄えられ、沢となり、川となって海へ流れます。
森の土。
木の根。
落ち葉。
小さな生き物。
沢。
川。
海。
それぞれが水によってつながっています。
森を育てること。
森を整えること。
木を使うこと。
次の木を植えること。
そうした林業の仕事は、山の中だけで終わるものではありません。
川へつながり、海へつながり、私たちの暮らしへつながっています。
山の仕事は、海にも届いている。
海の日の今日、海を支えている森と、森を支えている人たちのことも思い出していただければと思います。
※フォレストカレッジホームページ
https://www.young-leaves.com/