

2025年8月29日
林業の魅力シリーズ第306弾
森と木と建築の日本史-彩ちゃんと一緒にタイムトラベル
今日はちょっと歴史をのぞいてみましょう。
海野聡さんの『森と木と建築の日本史』。
名前だけ聞くと「大学の講義みたい…」と
構えてしまうかもしれませんが、
実は「木と人の物語」をのびやかに語ってくれる本です。
「木の家が当たり前」の日本で、
森と人がどんな関係を育んできたのか
ここを知ると、
今私たちが立っている森の風景も違って見えてきます。
彩ちゃんも「えっ、日本の神社やお寺って、
木の文化の集大成なんですか?」と驚いていました。
森と木と建築のつながり
古代:森は聖域。木は神の依代として使われ、
社殿も「森の延長」に建てられました。
中世:お寺や城郭の建築ラッシュで、大規模伐採が行われる。
木は「資源」として使われ始めます。
江戸時代:薪炭林や用材林がきちんと区分され、
いまの「持続可能な林業」の基礎が生まれました。
「建築の歴史は、木をどう使うかの知恵の歴史でもある」
こう言い換えてもいいくらいです。
森と祀り:建築=社殿、森林=社叢という一体性
日本の建築史を語るうえで欠かせないのが「祀り」との関係です。
社殿(建築)と、その背後に広がる社叢(森林)は、
本来切り離せない存在でした。
神社建築はただの建物ではなく、森そのものが「神域」として守られ、
木々の生命力と建築が響き合う場だったのです。
社殿は森の入口に置かれ、参道はその森を抜けて神へと近づく道。
つまり、建築は“森への門”であり、
森林は“建築を包み込む聖域”として機能していました。
この「社殿=建築」と「社叢=森林」の一体性こそ、
日本独自の森と建築の結びつきを象徴しています。
現代建築においても、地域の鎮守の森や神社林をどう活かすかは、
都市林業や地域デザインを考える上で重要なヒントになるでしょう。
彩ちゃんの一言
「校長先生、もし江戸時代の人たちが今の森を見たら、
きっと“ちゃんと循環できてるね”って褒めてくれるんじゃないかな。
逆に、私たちはもっと森の声を聞かなきゃですね!」
やっぱり、彩ちゃんが入ると話が柔らかくなりますね。
この本は、建築や歴史に興味がある人だけでなく、
「木と暮らすってどういうことだろう」と思う人にもおすすめです。
森は人間にただ木材を与えてきたのではなく、
「文化を育てる土壌」でもあった。
そんな気づきをくれる一冊です。
お知らせ
林業は便利な道具と豊かな自然に支えられていますが、
その一方で「危険」と隣り合わせでもあります。
事故を減らすためには、教科書的な知識や動画だけでは
伝わりにくい、“実感”が必要です。
そこで私たちは、「安全を物語にして伝える」という
新しい取り組みを始めました。
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