2024年8月14日
秩父銘仙 - 彩り豊かな絹織物の魅力
今回の埼玉の伝統工芸品シリーズ第5弾では、「秩父銘仙」にスポットライトを当て、
その歴史、技法、そして他の織物との違いについて詳しく紹介していきます。
秩父銘仙は、その美しさと独特の技術で知られ、埼玉が誇るべき伝統的工芸品の一つです。
秩父銘仙は、絹糸を使用して作られる織物で、
その最大の特徴は「ほぐし捺染(ほぐしなっせん)」という技法にあります。
明治41年に坂本宗太郎氏によって特許が取得されたこの技法は、
経糸(たていと)に粗く仮織りした緯糸(よこいと)に型染めを施し、
製織する際に緯糸を手でほぐしながら織っていくというもので、
これにより表裏のない生地が出来上がります。
角度によって色の見え方が異なる「玉虫効果」も、秩父銘仙ならではの特徴です。
この「ほぐし捺染」技法により、秩父銘仙は鮮やかで華やかな色彩を持つ織物として、
特に女性たちの間で手軽なおしゃれ着として大正から昭和初期にかけて全国的な人気を博しました。
軽やかでしなやかな風合いと独特の模様が、秩父銘仙を一躍有名にしました。
秩父銘仙の歴史は、古くは崇神天皇の時代にまで遡ります。
この時代に、知々夫彦命が秩父の住民に養蚕と機織の技術を伝えたことが始まりとされています。
山に囲まれ、稲作には不向きだった秩父地方では、養蚕業が発展し、
やがてその副産物である「太織(ふとおり)」という野良着が生産されるようになりました。
この「太織」が後に「秩父銘仙」と名前を変え、独特のほぐし捺染技術の開発により、
大胆で華やかなデザインの織物へと進化しました。
明治時代から昭和初期にかけて、秩父銘仙は全国的に人気を誇り、
当時の秩父地域では約7割の市民が織物関連の仕事に従事していたと言われています。
秩父銘仙は2013年12月26日に国の伝統的工芸品に指定されました。
これは、埼玉県内で江戸木目込人形、春日部桐箪笥、岩槻人形に続く四例目の指定です。
この指定により、後継者育成や需要開拓などの事業に対して国からの財政的支援を受けることができるほか、
全国の伝統的工芸品の物産展等への出店も可能となり、さらなる発展が期待されています。
秩父銘仙と同じく、秩父地方で生産される「秩父織」もまた有名な織物ですが、
両者は異なる特徴を持っています。
秩父織は、主に木綿糸や絹糸を使用し、シンプルで素朴なデザインが特徴です。
これに対し、秩父銘仙は鮮やかな色彩と大胆な模様が特徴で、特にファッションアイテムとして高く評価されてきました。
秩父銘仙は、埼玉県を代表する伝統工芸品であり、その歴史や技術は現在も大切に受け継がれています。
絹糸を用いた織物として、その美しさと技術の高さは他に類を見ないものであり、
今でも多くの人々に愛されています。
秩父銘仙の魅力は、その歴史とともに、これからも受け継がれていくことでしょう。
※ちちぶ銘仙館のホームページ
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