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2025年6月27日
林業の魅力シリーズ第262弾
木と人のあいだを取り戻す
『木ごころを知る』(中川重年 著)から学ぶ、
森との向き合い方
木を伐る。木を使う。木で家を建てる―
林業に携わる私たちは、日々“木”と向き合う仕事をしています。
でも、木に「心」を通わせているか?と問われたら、
少し立ち止まることがあるかもしれません。
本日ご紹介するのは、中川重年著『木ごころを知る』(はる書房)。
この本は、単なる木材利用の解説書ではありません。
木に向き合う「人の心の在り方」を問い直す文化論的な一冊です。
木ごころとは何か?
著者・中川重年氏は、植物社会学や森林環境学の研究者として、
各地で人と木の関係を見つめ続けてきました。
本書で繰り返し語られるのは、
「木と人とのつながりは、科学や工学だけでは語り尽くせない」という視点。
たとえば・・
木の硬さや乾きやすさを“肌で覚える”
家具職人が木の声を聴くように刃を入れる
森に入る前に心を整える
そんな昔ながらの感覚の中にあるのが「木ごころ」なのです。
炭焼き、ログハウス、椅子づくり…暮らしのなかの木文化
本書では、国内外の木との関わり事例も豊富に紹介されます。
・椅子を自作する人々(ドイツやイギリスの田園地帯)
・里山の炭焼きが地域文化を支えていた日本の集落
・ログハウス建築に生きる木目の見極め
いずれも、木を使うこと=暮らしを深める行為であった時代の話。
それは決して懐古主義ではなく、現代の林業にも通じる実践知でもあります。
林業研修にも“木ごころ”の導入を
若い林業研修生にとって、
「なぜこの木を使うのか」「どこにどんな木を使うべきか」は
技術的な問題だけでなく、
“木に寄り添う姿勢”を学ぶきっかけでもあります。
林業研修にこの本を取り入れれば、
木材の性質を感覚的に理解する
木を扱うときの作法や気持ちの整え方
「木は使うほどに関係が深まる」ことを体感する
といった、“手と心”の教育にもつながるでしょう。
『木ごころを知る』は、木に触れる人すべてに向けて書かれた、
やさしく、しかし深い本です。
私たち林業者にとっても、「伐る」「使う」ことの背後にある
文化や思いをあらためて見直す機会になります。
木を知るとは、人と自然の関係を知ること。
そして「木ごころ」を持つとは、木に敬意を持つこと。
その精神を、これからの林業に受け継いでいきたいと
感じさせてくれる一冊です。
※令和7年度埼玉県林業技術者育成研修オンライン説明会(25/06/09)
※令和6年度埼玉県林業技術者育成研修40日間のダイジェスト!
ぜひご覧ください。
※職業人講和アーカイブ