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2025年4月30日
皮むき間伐-森を枯らし、森を活かす伝統技術
水曜日は、古来から伝わる伝統や技術、道具を紹介する日です。
第224弾では、木を伐らずに立ったまま枯らすという不思議な技術、
「皮むき間伐(かわむきかんばつ)」を取り上げます。
森を守るために、木を静かに枯らす-
そこには先人たちの深い知恵が宿っていました。
皮むき間伐とは?
皮むき間伐とは、木の幹の周囲をぐるりと一周剥皮し、
水分や栄養の流れを止めて立ち枯れさせるという方法です。
方法:
地面から1〜2mほどの高さで、ナタや皮むき器を使って樹皮を一周剥ぐ
木はすぐには倒れず、数ヶ月〜1年ほどかけて自然に枯れる
目的:
森に急激な変化を与えずに間伐効果を得る
森の中に光を入れ、下草や若木の成長を促す
重機や人手が足りない山林でも安全に作業可能
この技術は、戦前・戦後の自伐林家や修験者、
薪炭林管理者の間で広く用いられていました。
皮むきのメリットと知恵
皮むき間伐には、現代の林業では見落とされがちな多くのメリットがありました。
急な伐採を避けることで、生態系への配慮ができる
木材の乾燥が進み、後の伐採時に軽くなる
伐倒作業が不要で安全性が高い(急斜面や高齢者にも向く)
また、林業地では「皮むき間伐=やさしい間伐」と呼ばれることもあります。
時間をかけて森を見守る-それがこの技術の本質です。
現代への応用
最近ではこの伝統技術が、新たな課題への対処法として見直されています。
シカ食害対策:わざと枯らすことで、シカの“餌木”として利用
薪材の乾燥:自然乾燥を現地で始められ、運搬時には軽量に
炭焼き用材の事前処理:ムダのない炭材づくりとして応用
これらの取り組みは、環境負荷の少ない林業として注目されつつあります。
皮むき間伐は、ただ木を枯らす技術ではありません。
それは、森に急激なストレスを与えず、
少しずつ未来を整える技術です。
時間と自然の力に委ねるこの手法には、
現代の効率重視の林業では得がたい“間”の知恵が詰まっています。
森を活かすために、森を枯らす。
この逆説にこそ、私たちが学ぶべき伝統があるのかもしれません。
※令和6年度埼玉県林業技術者育成研修40日間のダイジェスト!
ぜひご覧ください。
※職業人講和アーカイブ