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2025年5月23日
金曜日は、林業や森林、自然に関する本をご紹介する日です。
今回林業の魅力シリーズ第238弾で取り上げるのは、
林業研究者・門脇仁氏による一冊。
『広葉樹の国フランス-「適地適木」から自然林業へ』
ヨーロッパ随一の森林国フランス。
その林業は、日本とはまったく異なる思想と
歴史、哲学に基づいて動いています。
フランス林業の原点「適地適木」
本書で繰り返し登場するキーワードが「適地適木(てきちてきぼく)」。
これは、その土地に最も適した木を育てるという地形・気候・土壌に
応じた森づくりの考え方です。
この思想の背景には、フランスが過去に経験した過伐採と
荒廃からの復興があります。
「人間が手を入れすぎず、自然に任せることが最善である」という考えが、
持続可能な林業へとつながったのです。
日本とどう違うのか?
日本:戦後の拡大造林でスギ・ヒノキの一斉林が主流
フランス:多様な広葉樹による混交林・多層林の育成が基本
日本:素材生産中心の「伐って売る」林業
フランス:「森を育てることが価値」という発想が主軸
本書は、日本の林業が抱える課題に対して、
「こういう道もある」というヒントを与えてくれます。
森を“つくる”から“読む”へ
門脇氏は、フランスの林業者たちの口から
「読まないといけない」という言葉を何度も聞いたと言います。
これは、森を設計通りに“つくる”のではなく、
森そのものの声を読み取って手を加えるという考え方。
木の種類
地形
湿度や陽の入り方
地域の人々の暮らし
そういった要素を総合的に「読む」ことで、
森と対話する林業が生まれるのです。
林業教育や実践現場への示唆
本書は、林業研修生や森林に関わるすべての人にとって、
次のような視点を与えてくれます:
単一種の植林だけではなく、多様性を重視した森づくりの必要性
長期的視野に立ち、100年後の森をどう残すかという感覚
林業を「仕事」から「文化」へと高める視点
森とともにあるフランスから学ぶこと
『広葉樹の国フランス』は、林業をやっている人にも、
これから関わる人にも、そして森が好きなすべての人に
読んでほしい一冊です。
森は使い捨てではない。人間も森の一部として、
呼吸を合わせながら生きるもの。
そんな当たり前のようで難しいことを、
静かに、しかし力強く教えてくれる本です。
※令和6年度埼玉県林業技術者育成研修40日間のダイジェスト!
ぜひご覧ください。
※職業人講和アーカイブ