※杉の特性を存分生かしたタイニーログハウス
※オンライン説明会(YouTubeライブ)アーカイブ
※現地説明会(YouTubeライブ)アーカイブ
※動画で昨年の埼玉県林業技術者育成研修の様子をチェック!
※動画でレクリエーションゲームをチェック!
2025年5月27日
林業の魅力シリーズ第240弾
千利休-自然素材と向き合った「わび」の建築美学
火曜日は、林業や自然、環境に貢献した人物を取り上げる日です。
本日は、林業者ではなく日本の「自然素材の思想」を極めた人物、
千利休(1522–1591)を深掘りします。
彼は、安土桃山時代の茶人にして、わび茶の完成者。
茶道という枠にとどまらず、日本の木造建築・工芸・空間美学に
大きな影響を与えた存在です。
千利休が追い求めた「わび・さび」
利休が大成したわび茶は、華美な唐物(中国製)や金銀装飾を排し、
“何もない”空間に宿る精神性を重視するものでした。
そこにあるのは、
自然のままの木材
素焼きの土器
風雪に耐えた竹
使い込まれた炉の灰色の壁
つまり、自然素材そのものが持つ美しさへの深い信頼です。
利休と林業的視点:素材の「生かし方」
利休が使った茶室や茶道具には、以下のような素材が選ばれました:
素材 | 用途 | 特徴 |
---|---|---|
杉・檜 | 茶室の柱や天井、建具 | 節や曲がりを生かした“ありのままの形” |
竹 | 茶杓・花入れ・天井材 | 割ったまま、焼いたままの質感 |
土 | 壁塗り・茶碗・水指 | 粗さと素朴さを活かす“侘び”の象徴 |
藁や樹皮 | 屋根材、下地 | 土着的な素材として自然とのつながりを演出 |
ここには、素材の一生に寄り添う林業者の感性と重なる思想があります。
茶室「待庵」に見る“最小の建築”
千利休が設計したとされる国宝・待庵(たいあん)は、わずか二畳の茶室。
しかしその中には、
木材の肌を隠さない「化粧しない建築」
光と影が刻一刻と変化する「自然光の演出」
竹一本に宿る「思想の凝縮」
が込められており、“間”の感性と“素材の呼吸”を共に味わう空間です。
森の恵みと精神文化の融合
千利休が行ったのは、
「自然素材を削ることなく、思想を削り込んでいく」という逆転の美学でした。
林業もまた、
無駄に伐らず
伐った木を活かしきり
生きていた記憶を製品に宿す
という意味で、利休の「素材との対話」に通じています。
「削らない美」「語らない力」
千利休の茶道は、語らずして深く、飾らずして豊か。
その本質は、木や竹が語る“沈黙の美”を、
素材の持ち味ごと丁寧に受け止める姿勢にあります。
この美学は、現代の林業や木造建築にこそ、
改めて根づかせるべき“日本の知恵”ではないでしょうか。
※令和6年度埼玉県林業技術者育成研修40日間のダイジェスト!
ぜひご覧ください。
※職業人講和アーカイブ