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2025年5月14日
木遣り-山と心を動かす“声の技”
水曜日は、古来から伝わる伝統や
技術、道具、風習を紹介する日です。
林業の魅力シリーズ第231弾(昨日、第230弾)では、
山仕事の現場で木を運ぶときに欠かせなかった
「木遣り(きやり)」について深掘りします。
重い木を、何人もの力で動かす。
その時、ただ力を合わせるだけでは足りない。
「声」で心を一つにし、山と向き合う。
それが、木遣りの本質でした。
木遣りとは?
木遣りは、山から切り出した木を運ぶときや、
建築現場で柱を立てるときに、
作業者たちが呼吸を合わせるために歌われた掛け声や労働歌です。
「エンヤートット」「ヨーイトマカセ」などの節回し
担ぎ手のリズムを合わせ、安全に力を伝える目的
単調な作業の中に、心を奮い立たせる役割も
歌いながら運ぶことで、ただの作業が儀式的な意味合いを帯び、
木への敬意や仲間との結束が深まりました。
地域ごとに異なる木遣りの文化
木遣りは、日本各地の山村や大工の世界に受け継がれてきました。
関東・甲信地方: 山からの木出し、建前での「御用木遣り」
近畿・四国: 神社仏閣の修築に合わせて、木遣りの唄が奉納されることも
東北地方: 山神様に捧げる行事の一環として木遣りを歌う地域も
歌詞には地域の方言や信仰、風景が込められ、
まさに声の民俗資料と言えるものです。
木遣りの精神-声が力を超える瞬間
木遣りは単なる労働の音楽ではありません。それは、
木に対する敬意 仲間への信頼 自然と一体になるための儀式
として、山と人とをつなぐ音でもありました。
息が合えば、力が合う。力が合えば、木が動く。
この「声の技術」には、人と自然の距離がもっと近かった時代の
知恵が詰まっています。
現代に残る木遣りのかたち
現代では、実際の作業で木遣りが使われることは減りましたが、
神社の建前や御柱祭などの伝統行事
保存会や祭礼により唄い継がれる木遣り節
地域の学校での民俗学習教材
としてその精神は残っています。
また、木を扱う職人や林業者の中には、
木遣りのリズムや呼吸の合わせ方を
今も安全作業の心得として語る人もいます。
機械や道具が進化しても、「声」という原始的な力が、
人と森をつないできた歴史は忘れてはいけません。
木遣りは、山で生きる人々の心の音です。
その声に耳を傾けることで、
私たちは森と向き合う姿勢を今一度取り戻せるかもしれません。
次に木を動かす時、
あなたの心にも木遣りの節が響くかもしれません。
※令和6年度埼玉県林業技術者育成研修40日間のダイジェスト!
ぜひご覧ください。
※職業人講和アーカイブ