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2025年6月25日
林業の魅力シリーズ第260弾
千歯扱きと里山の木-山と農がつないだ道具のかたち
かつて日本の農村では、稲や麦を脱穀するために
「千歯扱き(せんばこき)」という道具が広く使われていました。
鉄製の歯が何本も並んだこの脱穀機は、
近代農機が普及するまでは欠かせない存在でした。
しかしこの千歯扱き、実は山と深い関わりがある道具だったことを
ご存じでしょうか?
山の木が支えた“農の道具”
千歯扱きの本体やフレームに使われていたのは、
クリ、ケヤキ、サクラなどの広葉樹。
これらは里山で伐られ、乾燥させ、曲がりや反りが少ないよう
職人の手で選別されていました。
道具の材として使われた理由は、以下のとおり:
クリ:虫に強く、湿気にも強いため長持ち
ケヤキ:粘りがあり、力が加わってもしなって割れにくい
サクラ:滑らかな木肌で、手触りがよく加工しやすい
つまり、「木の特性を見抜く知恵」が
千歯扱きという道具に込められていたのです。
農と林がひとつだった時代
現代のように「林業=山」「農業=田畑」と
はっきり分けられていなかった時代、人々は山の恵みを農の道具に使い、
農の副産物を山に戻すというサイクルで暮らしていました。
里山の薪を使って米を炊き、田の稲が終われば山の木で作った道具で扱き、
また山に感謝して植える-
そうした循環の中に、林業の原点があったとも言えるでしょう。
今、千歯扱きに学ぶこと
林業や森林教育に携わる今の私たちにとって、
千歯扱きは単なる懐かしい農具ではありません。
それは「木をどこにどう使うか」を考える力を育て、
「山の木が生活をどう支えるか」を実感させてくれる教材でもあります。
・使うために伐り、活かすために選ぶ。
・使われることで森が守られる。
その視点こそ、次の林業世代に伝えたい本質です。
千歯扱きの歯の隙間を、稲がすり抜けるその瞬間。
そこには、山と暮らしが一体だった時代の知恵と工夫が詰まっています。
林業が“自然を使う技術”であるならば、
私たちはその道具と木の関係をもっと深く知るべきかもしれません。
木を知ることは、人を知ること。
そう思える千歯扱きの物語です。
※令和7年度埼玉県林業技術者育成研修オンライン説明会(25/06/09)
※令和6年度埼玉県林業技術者育成研修40日間のダイジェスト!
ぜひご覧ください。
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