2025年4月12日
第53回 全国林業後継者大会 埼玉2025に寄せて
林業という仕事に、どれほどの人が誇りと希望を感じているだろうか。
どれほどの若者が、「木を伐る」「森を育てる」その未来に夢を描いているだろうか。
私たちの国、日本は、国土の約7割が森林です。
しかし、その豊かな森の多くが、人の手を必要としている。
木は勝手には育たない。伐って、植えて、育てて、また使う・・
その循環を守る「継ぎ手」がいなければ、森は黙って衰えていく。
だから私は、今年も声をあげます。
「林業の未来は、今を生きる私たちの手の中にある」と。
森を引き継ぐ。それは、命をつなぐこと。
私がログビルダーとして、また林業教育者として、
森と向き合ってきたのはもう何十年も前のことです。
汗をかき、丸太と向き合い、子どもたちに自然の大切さを語りながら、
私はずっと問い続けてきました。
「誰がこの森を継ぐのか?」
「この森を、100年先の子どもたちに渡せるのか?」
林業職業訓練校を立ち上げ、
「誰もが挑戦できる林業」
「命を守る安全教育」
に取り組み続けてきました。
でも、それでも、まだ足りない。
もっと多くの人に、森の声を届けなければ。
もっと多くの人に、林業の可能性と誇りを知ってもらわなければ。
森の継ぎ人──まだ熟語になっていない言葉を未来へ
令和7年度の林業技術者育成研修のテーマに、
「森の継ぎ人(もりのつぎびと)」という言葉を掲げました。
まだ辞書にも載っていない、未完成な言葉です。
けれど私は思います。
かつて“杣人”が山を守ったように、“山守”が集落の命を背負ったように、
これからは“森の継ぎ人”という新しい言葉が、
次の時代の林業を語る言葉になっていくはずだと。
“継ぐ”とは、「受け継ぎ、守り、発展させる」ということ。
それは単なる技術や仕事の継承ではありません。
生き方の継承であり、森と人とを結ぶ祈りのようなものです。
埼玉から全国へ。後継者たちの声を届ける大会に
そんな思いを胸に、私はこの5月24日、
第53回全国林業後継者大会 埼玉2025の舞台に立ちます。
ただの“パネリスト”ではありません。
全国の林業の仲間とともに、林業の未来を語り、支える“継ぎ人”として登壇します。
どうか、会場に足を運んでください。
林業の現場で悩んでいる方も、これから林業を志す方も、
地域の暮らしと森を考えるすべての方も。
今こそ、林業の未来を私たちの手で作り出すときです。
今こそ、「森の継ぎ人」という言葉に命を吹き込むときです。
最後に
私は、林業という仕事を“誇り”だと思っています。
そして、“願い”だとも思っています。
未来の森に、100年後の笑顔を残すために――
全国林業後継者大会で、あなたの“想い”と出会えることを願っています。
高橋昭夫
株式会社FOREST COLLEGE 代表取締役
林業職業訓練校主宰/ログビルダー/林業安全教育者