2025年6月21日
ログ壁のメンテナンスとクラック対策
ログハウスの魅力は、何といっても天然木のぬくもりと美しさ。
その一方で、木材特有の動きによって生じる
“クラック(ひび割れ)”は、ログハウスの宿命ともいえます。
今回は、そんなクラックとの上手な付き合い方と、
快適なログライフを長く楽しむためのメンテナンス方法を
ご紹介します。
クラックはなぜ起こる?
木材は呼吸をしています。
乾燥と湿気、気温の変化によって膨張・収縮を繰り返すため、
その過程で表面や端部に亀裂が入ることがあります。
これがクラックです。
クラックの主な原因
木材の乾燥による内部応力の変化
季節ごとの湿度差
日射による急激な乾燥
そして、ログ材の内部にたまっていた水分が抜けるとき、
まるで板が“割れて跳ねる”ように「パーン!」という大きな音が響くことも。
これは“ラップ現象”とも呼ばれ、初めて経験した人は
「今の音、何!?」「お化け!?」と驚くこともしばしばです。
クラックの見極め方:心配なものとそうでないもの
木の割れはすべてが危険なわけではありません。
クラックの種類 | 対応の目安 |
表面に浅く入った割れ | 経過観察でOK(自然現象) |
芯まで貫通しそうな深い割れ | 雨水侵入や断熱性低下の恐れあり、補修を検討 |
繰り返し開閉する場所(窓枠やドア周辺) | 隙間風や気密低下の原因に、早めに対処 |
クラックの補修方法
コーキング材やログ専用パテを使った補修
割れの奥までパテやシーリング材を充填
乾燥後、表面を平らに整える
上からオイルステインで目立たなく仕上げ
補修時の注意点
割れが広がる前に行うのがベスト
防水性・通気性を両立させた専用品を使用
塗装とメンテナンスで防ぐ
木材の乾燥や紫外線からログ壁を守るには、塗装が不可欠です。
塗料の種類と特徴
オイルステイン系:木目を活かせる、防虫・防腐・防カビ効果あり
ウレタン塗料系:耐候性が高く長持ちするが、木の質感は隠れる
メンテナンスのサイクル目安
1年目:初期点検・必要に応じて再塗装
3年目:全面点検・補修+再塗装推奨
5年目以降:5年ごとの定期塗装
クラックは敵ではなく、木と生きる証
ログハウスにとって、クラックは木の“息づかい”のようなもの。
大きな音で驚くことがあっても、
それは自然とともに生きる家ならではの風情です。
日常の点検と早めの対応で、
ログハウスは何十年と美しさと快適さを保ち続けることができます。
※令和6年度埼玉県林業技術者育成研修40日間をダイジェストでまとめました。
ぜひご覧ください。