2025年6月14日
電気配線の工夫と美しい仕上がり
-見せない工夫が、暮らしを美しくする。
ログハウスにおける電気配線は、単なる機能ではなく
「美意識」の問題でもあります。
天然木の風合いを生かしたログウォールに、
電線やスイッチボックスが露出していたら、
その魅力が一気に損なわれてしまいます。
そこで重要になるのが、
「配線計画は建てる前から勝負が決まる」ということ。
ログハウスの電気配線は、仮組みの段階で丸太内部に
配線ルートを仕込むという技術によって、
美しさと機能性の両立が実現されるのです。
美しさの裏にある技術:ログに通した1本の穴
ログ壁を構成する1本1本の丸太には、あらかじめ電線用のルートを仕込む
「貫通穴」が設けられています。
しかもただの丸穴ではありません。
スイッチやコンセントの収まりを美しく見せるため、
四角く「掘り込み加工」したうえで、
配線ボックスがぴったり納まる設計になっています。
これは完成してからでは絶対にできない工程。
建前の前に、仮組みの段階で“見えない仕込み”を
徹底して行うのがログハウスビルダーのこだわりです。
スイッチ・コンセントも「魅せる」デザインに
スイッチ類にも木製プレートやスリムなデザインを採用することで、
無垢材の壁との調和を図る工夫も広がっています。
また、最近では「横型4口」のような機能性と美しさを兼ね備えた器具も
登場しており、設計の自由度も高くなってきました。
完成後にできないこと、今だからこそ
ログハウスは壁を解体して配線を通すことが難しく、
「今しかできない配線の仕込み」が極めて重要。
そのために、電気配線の図面は設計段階から
完全に描き込まれているのが当たり前です。
実際の施工では:
ログの仮組み段階で電線ルートの穴をあける
コンセント位置を実生活に合わせて調整
スイッチの高さや操作性を検討
…といった手間を惜しみません。
仕上がりの美しさは、見えない工夫から生まれる
ログハウスにおいて電気配線は「最後に取り付けるもの」ではなく、
「最初に設計するもの」です。
完成時に配線が見えないのは、美意識だけでなく計算と技術の結晶。
「ここにこんな穴が…」と見た目ではわからないところこそ、
ログビルダーの腕の見せどころなのです。
※令和6年度埼玉県林業技術者育成研修40日間をダイジェストでまとめました。
ぜひご覧ください。